Kosuke Inudo

塾講師 生徒たちはカバンの中にテキストとノートと筆箱の他に、世の中を詰めて通っていると…

Kosuke Inudo

塾講師 生徒たちはカバンの中にテキストとノートと筆箱の他に、世の中を詰めて通っていると考えています。

マガジン

  • 映画・ドラマ・読書レビュー

    見た映画やドラマ、読んだ本の感想を綴っていきます。

  • ポストコロナ時代の学力崩壊

    コロナ禍以降の子どもたちの学力が従来にない形で崩れているように感じています。その理由や対応策について探ります。

  • 子どもたちの変化を考える

    学習塾で20年余り指導してきました。2008年頃からの小中高生の生活や考え方の変化を、実際の触れ合いとともに書いています。

  • 現代のスポーツを論じてみる

    学生時代がスポーツ記者になりたかった筆者が、既存のマスコミがあまり触れないスポーツのアレコレを色々と書いてみるマガジン。

最近の記事

映画「ディアファミリー」レビュー

幼少の頃、西春(現:北名古屋市)という町に住んでいた。正確に書くと幼稚園までは徳重駅近くの旧西春町、卒園した春休みに一回り広いマンションに越した。そちらは西春駅近くの旧師勝町だ。 春になると休みの日に子どもの趣味に付き合うことを面倒がる父が年に一度ドラえもんの映画に車で連れて行ってくれるのが慣例だった。空港線と呼ばれる道を東へ。豊山町に入りあと1㎞で名古屋空港という場所でY字に分岐する南側へと車を進める。空港の南側を沿うように東へ進むと春日井市に入り名鉄小牧線の踏切。それを越

    • 探求型授業で中学生の学力が壊れ始めている その1

      現在中学校の定期テストの結果が返却中である。noteにも書いているが近年1学期の中間テストを廃止している学校が増えているので6月下旬にある期末テストが年度最初の中学校が多い。1年生は初めての定期テストの結果を知ることになる。 今回、塾では2番目に多い中学校の1年生の平均点に度肝を抜かれた。 5教科平均231.0点。つまり1教科あたり46点程度である。全教科50点を取れば真ん中より上になる。中2後半から中3前半の学習内容が難しくなり中だるみしやすい時期でもない。それなりに緊

      • 子どもたちの変化を考える その12

        コロナ禍における子どもたちの変化を書いてきた。しかし実態は分かりにくい。コロナ禍と様々な改革が同時に起こったからだ。私は愛知県の尾張地域に住んでいるので、地域限定の変更も含めて以下列記していく。定員割れ欄の数字は私の塾から距離が近い公立高校15校のうち、定員割れした学校数を示す。 【2020年度】 ・コロナ休校(4~5月) ・小学校で探求学習スタート ・運動会が午前のみに→2024年度も継続中 ・プール授業の中止(2021年まで) ・学芸会の廃止→現在も継続中 ・通知表から

        • 暴走老人と思われる方との立ち話

          週に3,4回ランニングをしているコースがある。その途中に数本の木が植わっていてベンチとトイレと水飲み場が備えられている休憩所がある。公園と呼べる規模ではない。中学校の隣の小さな休憩所だ。 そこに天気の良い平日の10時過ぎにほぼ毎日いるお年寄りがいる。とても声が大きく一方的に話している。そして休憩所の前の遊歩道を通る人に「こんにちは!」とほぼ必ず声をかける。若い未婚の女性とかちょっと恐怖を感じるのではないだろうか?と感じるくらいの大きな声で挨拶をしている。 私は横を走って抜

        映画「ディアファミリー」レビュー

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        • 映画・ドラマ・読書レビュー
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          3本
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          2本

        記事

          子どもたちの変化を考える その11

          「コロナ禍」で明らかに変わった所について触れていく。2022年の中3の話題だ。「その9」の後半で挙げた1学期の期末テストが大変優秀だった学年である。 この期末テストが終わってちょうど結果が出た頃のことだ。2,3週間後に部活動の集大成「夏の大会」が開催される時期になった。Jくんの様子が気になった。屋外の部活の中心選手のはずなのに日焼けをしていない。夕方妙に早く塾に来ることも増えた。気になったので聞いてみた。 「部活は最後の大会だよね。調子はどうなの?」 「あ、言ってなかったで

          子どもたちの変化を考える その11

          子どもたちの変化を考える その10

          「その9」までは中学3年生を中心に書いてきた。この先はその枠を外して書いていこうと思う。現在進行形の事象を含むのでそちらの方が都合が良い。「その8」の後半で2020年のコロナ禍休校時に小学校高学年の一部に気になる点が見られたことは既に書いた。 2022~23年で気になった小学生(一部中学生)の言動は以下のとおりである。 生まれた時から同居している祖父母の下の名前を知らない。 駅の前に住んでいるのに駅名を知らない。電車に乗っていくと名古屋に行けるとか云々を知らない。そもそ

          子どもたちの変化を考える その10

          子どもたちの変化を考える その9

          2020~2021年にかけてのコロナ禍前期において子どもたちの様子はそれほど変わらなかった。2020年の中3世代はむしろコロナ禍の前の時期に手を焼いた学年だった。話題は彼らが中学に入学する頃に遡る。スマートフォンを生徒の半数くらいが持っていた。4月の半ば頃だった。マナーモードにするのを忘れた生徒のスマホが常に鳴り続けている。 「音が鳴らない様にするのは当然だけど、そもそも何でずっと鳴っているんだい?」 「グループLINEですよ」 「えっ?」 「小学校の卒業後くらいにできたグ

          子どもたちの変化を考える その9

          0を含む割り算にまつわる物語 後編

          鈴鹿の大叔父であるNおじさんの家に来ていた。Aおばさんは父の叔母、その子どもであるKおじさんとYおじさん。Yおじさん家族は奥さんと二人の子を連れて東京から帰省していた。小さい子どもたちは別の部屋で遊んでおり、父は到着して酒を飲んでソファーで寝ていた。居間のちゃぶ台を7人の大人と2人の子ども、そして私が囲んでいた。皆が私の説明に耳を傾けている。 家で母に説明した通りに解説をした。そのルールに従うと5÷0の答えはどんな数字を当て嵌めてもおかしくなるし、0÷0は何を入れても等式が

          0を含む割り算にまつわる物語 後編

          自由を標榜する教育評論家が現実ではポンコツになる件

          少し先に書こうと考えていたテーマだが前倒しすることにした。 この10年で学校の校則は緩くなった。例えば夏服と冬服の期間云々は撤廃されている学校がほとんどで、中学などは夏服、冬服、ジャージ、半袖の体操服の生徒が混じりあって登校する姿をよく見る。学習道具も「置き勉」が基本となり、何か塾に学校の教材を持ってくるように伝えても、ずっと学校に置いているために難しくなった。 まあ私は小中高と十分に校則は緩くなったと思う。しかし教育評論家や社会学者の一部は「まだ学校には理不尽がたくさん!

          自由を標榜する教育評論家が現実ではポンコツになる件

          0を含む割り算にまつわる物語 前編

          Xが今日も燃えている。算数のことで燃えている。365日24時間燃えている。コンビニが24時間営業を諦めても、Xの算数の話題は常に燃え続ける。 昨日からある小学校の答案だとする画像が話題になっている。 投稿主によると8歳の子のプリントだそうで以下のように回答されていた。 ⑤ 0÷8=0 ⑥ 18÷0=こたえなし ⑤には赤丸がされており、⑥には小さな誤答を示すチェックがあった。 この8歳の子の回答は正解である。先生は「0」が正答だと話しているそうだ。そうだとしたら教師が間違って

          0を含む割り算にまつわる物語 前編

          夏の甲子園の二部制はスポーツ文化終了の序章 中編

          夏の高校野球のニュースが報道されると、大抵こんな意見がネットに飛び交う。 「旧態依然の高野連が!」 「高校野球ほど頭の固い古い組織はない!」 「いつまで戦争を想起させる坊主頭をさせているんだ!」 2000年 延長18回制→延長15回制 2003年 甲子園ベンチ入りが18人に 2013年 休養日の導入(準々決勝後1日) 2018年 延長13回以降はタイブレーク(決勝戦を除く) 2019年 休養日の拡大(準決勝後に1日付加) 2020年 投手の球数制限(一週間に500球以内)

          夏の甲子園の二部制はスポーツ文化終了の序章 中編

          子どもたちの変化を考える その8

          2020年。2月半ば頃の学習塾が最もせわしい時期に、普段の年にはないざわざわ感があった。どうも中国の武漢が発祥の肺炎というのが、大きなニュースになっていきそうだと。それでもSARSやMARSの時も何だか突然マスコミが騒いで、いつの間にやら意識する前に報道されなくなった。どうせ今回もそんな感じで4月くらいには「何だったんだあの騒ぎは」みたいになるものだと思っていた。自分の生活に絡んでくる感覚はもっていなかった。しかし毎年参加していた3月1週のマラソン大会が中止になった2月18日

          子どもたちの変化を考える その8

          夏の甲子園の二部制はスポーツ文化終了の序章 前編

          スポーツ観戦で最も高校野球が好きだ。ここに理屈は無い。母によると4歳の時には既にテレビの前で釘付けになっていたとのこと。5歳の時には父の母校である鹿児島商が出場したのでアルプスに応援に行った記憶が鮮明に残っている。相手は前橋商で11-3で大勝した。知らないおじさんやユニフォーム姿の坊主頭の人たちと歓声を上げた。その次の試合は東洋大姫路と拓大紅陵だった。5歳ながら全出場校を暗唱していたので漢字の学校名を普通に読めた。それを周囲の人が褒めてくれたので更に得意になって好きになった。

          夏の甲子園の二部制はスポーツ文化終了の序章 前編

          叱れない教員&探究型学習の学校は成立するのか

          Xで相互の男性がいる。隣街で町工場を経営されている。実際に顔を合わせたことは無い。どういういきさつか忘れてしまったが、学校か進路の情報のことでコメントのやり取りをしたのがきっかけだったような気がする。3人の子どもさんのことや、若い頃の思い出や、アニメやドラマの感想を連日発信されている。発言に表裏が無くてサクッと入ってくる。裏が無さすぎて少し前に凍結していたのには驚いてしまったw そんなHさんがいつもの調子で娘さんの授業参観の様子をポストされていた。実際に行かれたのは奥様だそ

          叱れない教員&探究型学習の学校は成立するのか

          勉強以外の領域を削ることに寛容な大人たち

          大部分の小中学校、加えて一部の高校の部活動がどんどん縮小・廃止されている。つい先日も全国中学校体育大会が2027年度以降から水泳やハンドボールなどの9競技を削減することを決めた。残るメジャーな競技も大会日程を短縮し参加人数を減らす方向で調整する様子である。 この類のニュースに世論はなぜか賛成ムードである。教員の働き方改革の前には子どもたちの能力向上など取るに足らないものなのであろうか。例えば長男が入部した部活動。6月の予定表には「いよいよ勝負の時。最も頑張る時期がやってきま

          勉強以外の領域を削ることに寛容な大人たち

          生活の中で学びにくい時代

          昨年の今頃に小学校3年生の担任になった教え子が教室にやってきた。算数の「時こくと時間」の単元を指導した直後のタイミングでその話題になった。 「1時間=60分が教科書に出てきますよね?」 「そうだよな。時計を読むこと自体は2年生だもんね」 「私が教員になった頃(10年前くらい)は、1時間=60分を習う前から子どもたちの多くが既に知っていたはずなんです」 「あ~もう話したいことは分かる気がする…1時間=60分を知らない子が多いんでしょ?」 「そうなんですよ。『習ってない

          生活の中で学びにくい時代