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子どもたちの変化を考える その10

「その9」までは中学3年生を中心に書いてきた。この先はその枠を外して書いていこうと思う。現在進行形の事象を含むのでそちらの方が都合が良い。「その8」の後半で2020年のコロナ禍休校時に小学校高学年の一部に気になる点が見られたことは既に書いた。

2022~23年で気になった小学生(一部中学生)の言動は以下のとおりである。

  • 生まれた時から同居している祖父母の下の名前を知らない。

  • 駅の前に住んでいるのに駅名を知らない。電車に乗っていくと名古屋に行けるとか云々を知らない。そもそも移動手段と捉えられていない様子。

  • 「野菜には何がある?」の問いに1種類も答えられない。

  • 祖父母が父母の親だと理解できていない(特殊な事情がある家庭とかではない)。

  • 夏に日没が遅く、冬に早いことを理解していない。毎日ランダムだと認識している。

  • 入塾して1年間週2回通った子に「もう1年だね。今まで何回来たか分かってる?」の問いに「5回くらい」と返答。

  • 金曜日に発する「あした」が、月曜日を意味する。次の学校に通塾する日が「あした」だと認識している。←国語の物語で判明

この中のいくつかはXでタイミングをずらして発信したものがある。ネットって独特だなと感じるのはこれらの事例に対して私に怒りをぶつけてくるコメントが多いことだ。

  • 知らないのなら教えてあげればよい。

  • 児童や生徒をバカにしやがって。

  • 特性に配慮してあげてください(そういった類の診断が付いた子は当然入れていない)。

  • 知らなくて済む時代になったのだから素晴らしいじゃないですか。この子たちも必要になれば自ずと身に付けますよ。

これらのコメントに一部返信をしてみたが諦めた。何だかんだ無責任な人たちである。この生徒たちは保護者がお金を払って少しでも勉強ができるようになってほしい、賢くなってほしいと通わせているわけであるのだから。

例えば「野菜が1種類も答えられない子」はそれだけ聞くと何か特性を抱えているように感じる。しかしこの子は少女系のファッションブランドになると堰を切ったように話し出す。
「あした」の子も一度「マッチングアプリ」について語りだしたら止まらなくなった。その解説の時だけは普段より年齢が5歳くらい上がった話しぶりだった。こういった点から先天的由来の部分が少なく、後天的な交わりの少なさが原因になっているのではと感じるのだ。

具体的な学習指導の中でも異変を感じることがある。例えば「あいうえお」のひらがなを教えた場合に、1週後の児童たちの様子はこうなるものだった。

「あいうえお」だけでなく「かきくけこ以降」も習得している→30%
「あいうえお」は習得した。「かきくけこ以降」は「あいうえお」の経験を生かして2倍~3倍のスピードで進められる→50%
「あいうえお」の一部を忘れていたが、何とか時間内に覚えて次の「かきくけこ」まで終わらせることができた→20%

しかしここ数年A~Cの子が5%ずつ減少して、その15%分が新たな階層を形成しているように感じる。

「あいうえお」を1週間後に忘れている。再度授業で説明するが先週初めて行った時よりも習得するスピードが遅い→15%

このDの子たちについて言及する教育関係者は非常に少ない気がする。あくまでも「できない子」「勉強が苦手な子」の括りの話題もCの子を指してのものがほとんどだ。正直Cの子たちはいつの時代もいる。しかしゆっくりでもコップに水が満たされていく。しかしDの子になると1回目でコップがふやけてしまったり穴が開いてしまったりする様子である。Dの子たちの増加が今の子どもたちに不安要素としてある。

算数でも似たような事例がある。
昨年の初頭に少し反響があった私のTwitterのツイートである。

”秒速8mは1秒間に8m進むことだよ。じゃあ2秒だったら何m?って聞けば、誰でも答えられますよね!”
こんなツイが日常茶飯事だが、上記の問いに答えられる子にはそう悩まない。中の下~下の上。

「10m」(足してしまう)
「14m」(8の段を間違える)
「・・・」(圧倒的多数)

これらの反応が2割くらいいる。

2023年2月18日 Twitter

上記で書いたCの子たちのことを書いた。このツイートから数日後に旧知の小学校教員からDMが来た。その中身は私の想像を越えていた。

先日の犬さんのツイートを見たから6年生に聞いてみました。紙に書いてもらう形式にしたんですけど、「16m」って答えられたのが58%、さらにその後に質問を加えて「1秒8mで進む自転車は、1秒で何m進めますか?」の質問にに対しても正解が72%。空欄の児童が20%いるんですよね。もう秒速とか何mって単語だけで頭がフリーズしちゃう。卒業前に「大丈夫かな?」って不安でならないです。

2023年3月2日 MessengerのDM

これは確かに深刻だなと感じた。これに近い調査結果を同じ時期に発見した。


2022年12月7日 教育新聞

学年が上がるとともに正解率が下がったり、図があった方が出来が悪い学年も存在したりして結構深刻な結果である。しかし同時に目の前で起こっている事象が地域限定の特異なものではなく、全国的に広くみられるという不思議な安堵感があったのもまた事実である。

こんな感じで2022年の後半から23年の前半は特に小学生の様子に異変を感じることが増えた時期であった。

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