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動機が弱くても抜群の成果を上げている人の正体

動機は強ければ良い、という訳ではない

既に何度かご紹介しているキャリパープロファイルは、その人固有の「内的動機」を客観的に測定し、実際の行動にどのような影響を及ぼすかを判断する上で、極めて有用であることが世界的に認められたソリューションです。国や人種を問わず、職種・職位の適性を判断することが可能ですが、適性の判断には、以下に示す21の指標が主に用いられています。

キャリパープロファイル21の指標

このような指標を目にすると、往々にして「数値の高さ=適性の高さ」といった印象を受けがちですが、もちろんこの指標はそれほど単純ではありません。

たとえば「切迫性」という指標は「せっかちな人」と単純化されやすいのですが、「徹底性:細かいところまでやり抜く」という指標と組み合わせると、その人なりの個性が浮かび上がってきます。「切迫性」が強く、「徹底性」が弱い人は、細かいことよりも成果に拘って動く傾向があります。そのため、一つのアイディアに拘り過ぎて、そこから抜け出せなくなることはなく、ダメなら素早く見切りを付けて新しい事を始めようとします。

「切迫性」が高い人は、そのほかにも「目的達成のためにあらゆる手段を講じる」「仕事が(とりかかるのも、仕上げるのも)早い」等の性格・行動となって表れます。このような動機の傾向を持つ人は、スピードが求められる仕事では活躍するでしょう。

逆に「徹底性」の数値が低く出ることで、細かな点を見落としてしまう、などの短所がセットになってきますが、このように、ある動機が強くても、別な動機が弱いことで、活躍に繋がることがあります。

動機が弱くても成果を上げている人たち

過去に、何千、何万と受検されているキャリパープロファイルですが、中には、動機を示唆するすべての指標が平均よりも低く出ているにもかかわらず、実際には抜群の成果を上げ、社内でも高く評価されているような人が現出することがあります。

たとえば企業で一定の成果を上げている研究開発者は、一般的には「主張力」や「影響欲」が強く、「新奇・リスク志向」「切迫性」なども高い数値を示すことが多いのですが、こうした研究開発者を「陽」とすると、あらゆる動機が弱く、殆どの数値が低く出ているにもかかわらず、誰もが成し得なかったような成果を出して評価されている「陰」の研究開発者も存在しています。

以下に示すグラフは、「社内で優秀な成果を上げている研究開発者」のみを対象としたキャリパープロファイルの受検結果です。グループ1が「陽」、グループ2が「陰」で、その差は歴然としています。

グループ1(青帯レンジ)とグループ2(赤帯レンジ)で、2つのグループの動機の違いを示しています。両グループとも業界、企業、職位などの属性に偏りはなく、130名のキャリパープロファイルの結果データを単純にクラスター分析した結果です。

「納得できないことはやりたくない」

明らかにグループ2の多くの指標が低く出ていることが読み取れると思います。動機が弱い部分は、いくらやっても楽しいと感じることはなく、興味が沸いてこないため、本来やりたくないことを意味しています。グループ2の研究開発者は、周囲の目や批判を気にすることなく、自分がやりたいことを優先したがっているのです。インタビューにおいても、グループ2の対象者からは、「周りの人に合わせて自分のやりたい事を諦めるのは意味がない」とか、「他の人がやっていることに興味がない」という発言が多く出ています。

グループ2の正体が「自分の動機を頑なに信じ、素直に従った結果、他の研究開発者が及ばない成果を出すことができた人たち」なのだとすると、その珠玉の人材をしっかりと受け止めて、理解し、かつ育む環境が何よりも重要になります。上司や管理者にとってはなかなか難しい存在ですが、理解できない、意のままにならないという人をすべて「問題児」として扱ってしまっては、組織はいつしか均質化・平準化が進み、成果を出すことが次第に困難になってゆきます。

「あいつは何を考えているのか、そもそも普段何をやっているのかわからない」とボヤきたくなるような人がいたら、まずはその人の内的動機を探ってみることを、強くお薦めします。