尊さとはお腹がすくこと、隣に座ること、小さな物語を紡ぐということ
8月16日。
大文字山の麓にもう15年住みながら、片手間にしか送り火を見たことがなくて、前日に京都をかすめた台風が置いていったじっとりした空気を吸いながら、どこで見ようか?去年は、その前は、どうしたっけ、来年こそは事前に場所を選定して、下駄を履いてさ、などと話しながらぷらぷらとそぞろ歩いて、普段は人通りなんてまばらな住宅地にぞろぞろ人が歩いている奇妙さに、このうち何人かはこの世の人ではないのかも知れないな、なんて考えながら、赤く天にのぼる火の粉の一粒一粒まで視認できるような