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思春期エッセイ集

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思春期時代の短編エッセイ。 ・思春期草創期の幼稚園時代 ・思春期早期の小学校低学年時代 ・思春期前期の小学校高学年時代 ・思春期中期の中学校時代 ・思春期後期の高校時代までを描…
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#カープ

消えた「もみあげ」を描く

消えた「もみあげ」を描く

初対面の人間に、特技を聞かれたときに困ってしまうのは「自慢しすぎていないか」、あるいは「格好つけすぎていないか」という要素を考えすぎてしまうからだ。

その点、僕は特技を聞かれれば、「フラフープを回すことが得意です」とか、「自分でセルフ散髪することが得意です」と即答することができる。フラフープを回すことより、「ギターが弾ける」とか「カラオケ」、「リフティング」とかの方が断然格好いいのだけれども、僕

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メルカリの商品に同封された手紙にほっこりした話

メルカリの商品に同封された手紙にほっこりした話

メルカリで野球のチケットを買ったことがある。僕がメルカリで最初に購入したのは、堂林翔太のフェイスタオルでその次に購入したのが田中広輔の赤いユニフォーム、そしてその後に買ったのが野球のチケットである。

今は違うのだが、僕のかつてのメルカリのアカウント名は「カープ坊や」だった。いかにもカープファン丸出しの、カープのためのアカウントだ。

まだカープファンになりたてだった僕をそれっぽいファンへと簡単に

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僕のアイドルが帰ってくる

僕のアイドルが帰ってくる

順風満帆の高校生活の時間の中で、部分的に悲壮感の漂う時間を過ごしたことがある。これは高校生や中学生といった思春期「ならでは」のものではない。年齢を問わず広く一般的に感じるものであると思っていた。だが、それは局地的なものであるようだった。

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僕が高校3年生のときのことだ。秋風が冷たくなってきた時節であると同時に、日本シリーズがホークス優勝で幕を閉じ、プロ野球への、いやカープ球団への寂しさが

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