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お仕事仲間4:後輩指導に悩む日々【お仕事のお話】

近年私の会社は業績が良くないので新入社員を雇わなくなった。そんな中で、今年は唯一の学卒生として台湾出身の男性が入社した。

入社してすぐは各部署にて研修、その後私の部署に配属された。彼のお父さんは昔に私の会社と関わりがあったらしく、日本で仕事を学ばせるならここだと考えたそうだ。

新入社員の彼は台湾の大学を理系で、日本の大学院を文系で卒業している、非常にマルチな人材。日本語も本人は苦労しているのかもしれないが、なんの問題もなくやり取りができる。

ここまでは普通の外国人新入社員という感じだろう。私は彼の面倒見役に任命され、業務内容や会社のルールを教えることになった。


最初は日本語のやりとりや、日本での文書作成を教えるのに多少つっかえたりした。彼はそもそも文書の型を知らないし、日本語特有の書き方に慣れていない。それを1つひとつ訂正すると、結局自分が書いた方が早いのでは?と思ってしまった。そりゃ新入社員なんだから当たり前なのに、なぜか自分の業務を圧迫されるのが嫌で、ついつい先走ってしまった。とはいえ、この辺りはまだ心に余裕があったので、ゆっくり教えることは心がけていた。

問題はその後、彼は本当は開発業務を学びたいらしく、一緒に商品の試作をすることになった。私自身1年ぶりの試作、通常の企画業務に加えて、後輩を教えながら商品を作らないといけなくなった。大変だろうな、と思いながらも、久しぶりにものづくりもしたいと思ったので引き受けた。

私は大学院の研究生活で、毎日自分の実験スケジュールを立て、自分でPDCAを回していた。試薬を測ったり、実験器具の操作に慣れていた。一方、彼はそもそもほとんど手を動かす研究をしてこなかった。ずっとシミュレーションの計算をし続ける研究をしていたらしいので、何かを「測る」という作業や、自分でスケジュールを立てて、結果を出すことに慣れていないのだ。そんな彼にいきなり即戦力になってもらう必要があった。普通に考えて無理、今考えても無理。

彼はかなりマイペース、操作に慣れていないのもあるけど、言われたことを覚えるのにかなり時間がかかるし、試作の準備もゆっくり自分のペースで進めるので、私が手伝わないと1日で終わらない。新入社員に残業をさせるわけにはいかないので、最後を請け負うのは私になる。私も最初の頃は、先輩や上司にかなりカバーしてもらった。でもそれは1人でできないからではなく、分担しても1日で終わらない量だったから。彼の場合は、申し訳ないけど十分1日で終わる量なのだ。

後、彼はメモを取らなかった。それで同じことを何度も聞いてくる。「それは違うよね?」と伝えて納得してくれて、積極的にメモを取るようになったが、次はそのメモを見返さない。だから結局次も「わからない」のだ。わからなければ何回聞いてもいい、とも思うのだが、果たしてそれで彼は成長するのか?私は彼に成長して、1人で業務をこなせるようになってほしい。いずれはそれが当たり前だと思うので、私は厳しく指導したい。

さらに、彼は聞きたいことを矢継ぎ早に聞いてくる。これは文化の違いからかもしれないが、聞きたいことに対して私が答えたら、次に聞きたいことをそれまでの脈略無視で聞いてくるのだ。それに私は毎回びっくりさせられる。「さっきの話はもういいんかい...!」と、なんとなく聞きたいことだけ聞いて操られている気分になる。これも何度か彼に伝えたつもりだが、伝わっていない。文化の違いを否定することはできないから、もどかしい。

こんなマイペースの彼と毎日過ごし、私はかなり疲弊した。多分普通ならもっとゆっくり教えて、少しのもどかしいことくらいなら我慢して、彼の成長を支えようとしていたと思う。実際、塾のアルバイトや研究室の後輩指導もそんな感じだったから。でも今回は違う。開発スケジュールが詰まっていて失敗できなかったことに加え、私のプライベートが忙しすぎて毎日家に帰ってもリフレッシュできなかったことが重なったので、いつもより余裕がなかった。私情を彼にぶつけるのは申し訳ないが、タイミングが悪かった。今はプライベートも開発スケジュールも落ち着いたから、余裕のなさは少しはマシになったものの、やはり彼のマイペースさには痺れを切らしてしまう。後輩指導難しい。

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