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伊藤緑
2021年6月13日 01:30
気づけば言葉を失っていてもう話すことも聞くこともできない言葉はないあるのは一般と普通と当たり前と情感気持ちよさ落としてしまったのかそれとも奪われてしまったのかあるいは自ら捨てたのかいずれにしたって言葉はもうどこにもなくて話はできない一つとして聞こえない
2021年6月12日 00:30
風飼いたいなと思っても風はそのこと許してくれずに雲食みたいなと思っても雲はそのこと許してくれずに雨溶けたいなと思っても雨はそのこと許してくれずに影剥ぎたいなと思っても影はそのこと許してくれずに遠くへ遠くへ消えていく
2021年6月9日 00:30
気づけば大気のなかにいてきゃあきゃあ笑ってられました気づけばお水のなかにいて溺れず泳いでられました気づけばお家のなかにいて服もご飯もありました気づけば校舎のなかにいて問題ぜんぶ解けました気づけば医院のなかにいて胃薬ひとつで済みました気づけば人らのなかにいて言葉は通じておりました気づけば自分はここにいてただただここにおりましたただただここにおりました
2021年6月7日 00:30
見たことのない鳥を見て見たことのない月を見て見たことのない雲を見て見たことのない虹を見て見たことのない花を見て見たことのない虫を見て
2021年6月5日 00:30
朝日は期待を押しつけられて雨は悲しみを握らされた肉体は役割を孕まされて立っている場所は価値に変わった存在の親は科学に代わって存在の子は希望となった言葉はどれも裏返されてすべての行為は意味となったあるは全部ないになったないは全部あるになった
2021年6月4日 00:30
風に揺られる花を眺めて美しさってもので汚して海のにおいと波音触れて心地よさってもので汚して空に向かって腕を広げて気持ちよさってもので汚して時間をじっくり味わい飲んで満足感ってもので汚して滴る汗を甲で拭って価値や義務ってもので汚してすべてに向かって笑みをこぼして意味ってものでひどく汚してそれから幸福なんてもので汚した
2021年6月3日 00:30
種花開いたあとのその見目形と色彩とにおいと美しさで殺し合うもの形が違っているだけで虫喰う生き物みたいに雨は呑むし痛みを見て笑う瞳みたいに輝くし種もし咲かなければ色も形も失ってしまうもの容赦なく殺されてしまうもの理想幸福綺麗によさとこんなにも言葉で飾られた種になっても結局は同じものを孕んでる
2021年6月2日 00:30
人を見ているつもりになってほんとに見てたの言葉の意味で存在触れてるつもりになって実際触れたのそれらの定義存在なんて実際はこれっぽっちもありはしなくて話して分かることなんて目にして分かることなんて響いた言葉の意味と定義とこびりついてる観念ばかりほんとは一つも分かりはしない存在なんてどこにもいない目には一切映らない
2021年6月1日 00:30
気づいたときにはもう輝くことを強いられていて人工の光羽織らされその眩しさで数字にされる光れ輝けと決められた光度になるまで調整させられ仮に達することができなければあるいはその光の熱に耐えかねてもう少しぬるい輝きのほうへと袖を通そうとすればたとえば透明にされたりあるいは睨まれたりもしくは名前が不幸になったり肉体がまとっていた星や月の影のようなあの自然な瞬きや闇