輝くことを強いられて

気づいたときにはもう
輝くことを強いられていて

人工の光羽織らされ
その眩しさで数字にされる

光れ輝けと
決められた光度になるまで調整させられ
仮に達することができなければ

あるいはその光の熱に耐えかねて
もう少しぬるい輝きのほうへと
袖を通そうとすれば

たとえば透明にされたり
あるいは睨まれたり
もしくは名前が不幸になったり

肉体がまとっていた
星や月の影のような
あの自然な瞬きや
闇夜のような
どこまでも深い暗色はもう
造られた光に呑まれて消えた

毎日のように輝きを着て
あるいはそのために歯を食い縛って
基準値以上になるように
汗だらだらに光度保って
少しずつ少しずつ
強くすること試みて

その先にあったものは
マスクとしての破顔と
首に提げる用の
意味価値幸福って名札だけ

そうしてそんな熱い光に
絶えず曝され続けてきたこの肌は瞳は
本来の輝きの冷たさに
あの沈んだ色彩の深さに
すっかり耐えられなくなってしまっていて
真っ白にしか見えなくなってしまっていて

元々肌を包んでいた
淡くてやわらかい光や
深いくすみ
それから闇の存在をもし
もし感じたなら
感じてしまったなら

こぶし握って
笑顔で震える

光り続けながら
輝き続けながら

火傷しようと
溶けようと

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