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伊藤緑
2021年5月31日 00:30
偽の魚の声聴いた偽の小鳥の声聴いた偽の子犬の声聴いた偽の葉っぱの声聴いた偽の街路の声聴いた偽の人らの声聴いたそれらを嘘にしてるのは全部自分の耳だった
2021年5月30日 00:30
人の海へとどぶんと入れば音はこもって聞こえない自然のなかにぽつりと入れば音はうるさく聞こえない音は聞けない聞こえない音を聞きたきゃ壊れるか血を流すほかありません
2021年5月29日 00:30
自分の知ってる範囲で理解できる距離でだけ他人を読んでそんなやつはいないとか狂ってるとかこんなやつはクズだとかって全部嗤ってんだね可能性は開かれてる地獄は瞬間瞬間現前してる嘲笑だって結局は地獄の使いのお一方地獄の証明は存在それ自体がやってんじゃんそれで嗤い声の主は存在なんだからさ甲高い響き撒き散らしながらその金づちで建てようとしてんのは楽園でも未来でもなんで
2021年5月23日 00:30
上下にするする流れてく、無数のうちの一枚のよう。消えてたとしても気づかれず、あったところでまじまじと見られることもない、そんな写真の一枚のよう。そのときはあれこれ想われるけれど、ほんの少しすれば回顧されることもない、そんな画像の一枚のよう。目に留まったら無言のままで、削除って字に触れられるような、そんな四角の一枚のよう。
2021年5月18日 00:30
雨のにおいは特急で雨の落ちてく音はチャリ雨の冷たさ自動車で雨の透明フェリーだと言う子の声がふっと聞こえた
2021年5月8日 00:30
校庭ぼんやり見下ろしながら、あの子らみんな、死ぬのが見えた。黒板ぼんやり書きとりながら、前の子の髪、真白に見えた。制服ぼんやり穿きかえながら、浮かぶ筋肉、紙幣に見えた。鉄道ぼんやり乗りかえながら、映った目元、値札に見えた。携帯ぼんやりいじくりながら、あふれる言葉、呪いに見えた。白米ぼんやり飲みこみながら、並んだ料理、汚物に見えた。報道ぼんやり追いかけながら、流れる数字、自分に見えた。
2021年5月6日 00:30
恥かくたんびに死にたぁなって恥をかくんが人生やってそんな慰めつぶやいたってやっぱり死にたぁなるもんでかかんようにて気ぃつけたって人生やっぱり恥でできてて生きてるだけで恥恥恥や恥かくたんびに思うんはなんでみんなは死にたぁならんの?自分の背中が首が頭がかっか燃えてるときの熱この濃い熱に耐えられんくて死にたぁなるんは自分だけ?すぐ冷ませんのみんなだけ?
2021年5月4日 00:30
自分らしくなんて言うけどさそれって自分にらしさを貼りつけてるだけじゃないの勝手に決めたらしさってもんをさ他人にらしさを押しつけられることと自分でらしさを貼りつけることと底のほうでは何が違うの自分で選んだから?自分で自分をこうだって存在しない輪郭描いて最も曖昧なもの明確にしようと言葉で概念で塗りたくって男らしくとか女らしくとか子どもらしくとか大人らしくとか母らしく