C²-Wave 六本木けやき坂

メンタルケアとカウンセリング専門相談室C²-Wave六本木けやき坂のアカウントです。仕事現場や日々出会う人々の発する言葉にどう向き合っていくか日々模索しています。https://www.c2-wave.net/ ブログ:https://c2waveblog.exblog.jp/

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    最近の記事

    ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#20

    ー 夢 (2) ー   どういった場合(相談内容や精神症状)にカウンセリングで夢を取り上げるかについて決まっているわけではない。個人的には相談者本人が夢について話したい、その夢が気になったり見ることに苦痛を感じたりするなどと訴える場合にほぼ限られる。ただまれにだが、こちらから夢の話題を向ける場合もある。相手がその日体調や気分がすぐれなかったり情緒的に不安定だったり、何をどう話してよいのか戸惑うといった、何らかの理由からカウンセリングがうまく進んでゆかなかったりするような場合

      • ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#19

        ー 夢 (1) ー 人はその生涯のおおよそ3分の1もの時間を眠りという世界で過ごす。それは残り3分の2のあいだの心身を健康な状態に保ち、私たちの明日を有意義で快適なものにするため心身にすぐれた鎮静(痛)および疲労回復効果を与えてくれるものだ。「睡眠を制する者は人生をも制する」とは私の勝手な言説だが、実際あながちまったくの誇張だとも思わない。睡眠という時間を私たちは有意義に過ごす必要があるのだ。  けれども残念なことに、老若男女を問わず多くの現代人が慢性的に睡眠不足だったり眠

        • ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#18

          ー孤独ー  「孤独」の意味についていくつかの辞書を引いてみると、どれもおおむね頼りになる家族やこころの通じ合う友人や仲間がなく、一人ぼっちで寂しいこと、などとある。分かりやすい定義だが、その他にもともとは孤独の「孤」はみなしごを指し「独」は老いて子どもがいない人を意味したとある。つまりかつては、家族身寄りのない一人ぼっち状態をもっぱら意味する時代が長かったのかもしれない。  私たち人間は社会的動物といわれるように、孤独にもともと敏感だ。孤独に対して容易に不安や恐怖を感じや

          • ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#17

            ー教訓(3)・過去ー  意識的であれ無意識的であれ、人が過去を正しく記憶・認識することに失敗してしまうのは、本人が「今現在」不愉快な状況に置かれており、本人にそうした不愉快さを受け入れるだけの精神的余力がないためだと感じることが多い(もっとも、今に苦しんでいるから人はカウンセリングに来られるのだからこれは当たり前といえば当たり前のことかもしれないが)。  人は精神的ストレスや悩みを抱えつつも、そうした負担を軽減あるいは解消するためまずまず機能するなんらかの対処法を駆使しなが

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#16

            ー教訓(2)・記憶ー  後年カウンセラーとしてキャリアを重ねるうえで、重要な2つの教訓を得ることとなった過去のあるエピソードと教訓の1つについて述べ、さらにもうひとつの教訓が人の「記憶」に関係するものであること、エピソードを読んだ後ではそれは少し衝撃的な内容になるかもしれないことをあらかじめお断りした、というところまでが前回の内容である。  そこでまず、面倒でもどうかもう一度前回のエピソード部分を読んでいただければと思う(教訓(1))。エピソードの内容については、話を分かり

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#15

            ー教訓(1)・複雑ー  私がまだ二十代だった頃経験した、後年カウンセラーのキャリアを重ねるうえで重要な2つの教訓を得ることとなったあるエピソードがある。  当時私は、国の内外で起きる武力紛争や自然災害、飢饉や疫病に対する人道援助や救援を主な任務とする国際機関の日本支部の職員をしていた。ある海外出張からの帰国便の中で、ひとりの北欧出身の中年男性と隣同士になった。身なりがよくいかにも有能で多忙なビジネスマン風情といった雰囲気を醸し出す人好きのする落ち着いた物腰のその男性は、かな

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#14

            ー背中ー  精神的に困難や障害を抱え相談に来られる人に相対するときの難しさは、たとえば内科や外科など身体の病気で医療機関を受診する人との場合と比べるとわかりやすいかもしれない。病院では医師が患者の身体や患部を直接見たりさまざまな診察や検査を行い、病因や病名などを特定し治療方法を決めることができる。もし精神分野の専門家が同じように相手のこころや精神を直接あるいは何らかの手法を用いて見たり触ったりすることができるならば、その人が抱える問題や精神状態を明確に把握することはそう難し

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#13

            ー命の詩ー  *

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#12

            ー相手ー     社会に生きるとはごく簡単に言えば、「相手がある」ということをさまざま受け入れて暮らしていくことだ。「相手がある」ことを気にせず生きることを難しくさせるように社会はできているといえる。  「相手がある」、つまり他者が存在していることにはメリットもデメリットもある。最大のメリットは、人が最も怖れる「孤独」から生ずるさまざまな不都合を味わわずに済むことである。「ひとりではない」ことは、生存を維持するという意味での「希望」が持てる基本的条件のひとつだ。一方、個人の

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#11

            ー喰(2)ー  Aさんの伯父(#10)の場合、戦争と飢餓という究極の非日常的空間状況を「生きのびるために」食べるという過酷な体験によって負った心の外傷が、後の食行動の異常をもたらした。一方、食に十分に満たされ人々が快楽欲的に「食べるために」生きているような私たちの社会では、日常生活でさまざま体験する「生きづらさ」の苦悩と葛藤が、ときに「食べづらさ」という不可解な行動様式に置き換わっていく。  人が摂食症(障害)に苦しむことになる原因や背景、きっかけは、確たる因果関係の特定

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#10

            ー喰(1)ー  Aさんには、自分の親戚についての遠い過去の、しかしある鮮明な記憶があった。彼の伯父は太平洋戦争に従軍、旧満州で終戦を迎えたがその後ソ連軍によって強制的にシベリアへ送られ、長い強制労働を強いられたのち帰国した。元々優しく穏やかな人柄だったというAさんの伯父は、帰国後しばらくは長い従軍と苦役の影響で心身とも疲弊しきっていたものの、暖かな親戚家族に支えられ、次第に元の優しい伯父に戻っていった。  だが、彼(Aさんの伯父)には一つだけ元に戻らなかったことがあった。

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#9

            ー眼ー  しばらく前のある日、日頃からよく立寄る仕事場近くのカフェで注文の列に並ぼうとしていると、顔見知りのお店スタッフさんが勤務中だったことに気がついた。接客サービスの仕事の大変さは、体がいくつあっても足りないほど忙しい状況でも、明るい笑顔と礼儀正しくていねいな言葉使い、顧客に対するきめ細やかな配慮といった対人社交スキルを発揮し、「感じの良さ」を常日頃から期待されるところだろう。その知人も例外ではなく、忙しくてきぱき立ち回りながらもほがらかな笑顔で接客に励んでいた。  数

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#8

            ー属性ー  以前出席したあるパーティーの席上、初対面の人とふとしたきっかけで会話をすることがあった。しばらく当たり障りのない会話が続いていたのだが、次第になんとなくその人の少しなれなれしい態度や話しっぷりに馴染めず、会話を早く切り上げようと思っていた矢先、相手が偶然にも同じ出身高校であることが分かり、それを境に相手に対する私のそれまでの微妙な感情がきれいに取り払われ、同郷の昔話に長時間花を咲かせることとなった。もしかすると似たような体験の一度や二度は誰にでもあるのではないだ

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#7

            ー写真ー  かつて芸術家にとって、カメラや写真は(感心しないという意味で)あまり面白くない存在だったろう。そもそも、写真の持つ芸術的ポテンシャルを既存芸術と同列のものと考えていなかったことは、ムンクやロダンのこうした言葉からもうかがえる。  けれども、この画期的な文明技術の登場と普及は、既存の芸術表現手法や技法への挑戦、もっと言えばある意味の禁じ手のように映っていたかもしれない。  芸術に携わってきた人々が、芸術活動とそこから生み出される作品によって独占してきた創作表現機会

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#6

            ー印象 ー  「印象」という言葉には、「(誰それ)についての第一印象は~」であるとか「~が印象的だった」「あまり印象に残っていない」といった、人や事象に対するどこか曖昧漠然とした、主観や経験に基づくいわばパッと見の感覚・直観といった意味合いがある。19世紀のフランスを中心に発展した西洋絵画芸術の運動である「印象派」の名称が、クロード・モネの傑作『印象・日の出』について、当時ある高名な批評家が文字通りその表題をもじり、まっとうな評価に値しないおぼろげな”印象程度”の作品だとい

            ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ#5

            ーパズルー  カウンセリングの対話場面で、相手に不安や恐れ、怒りといった精神的葛藤や苦痛が強い場合には、意思疎通が難しくなるときがある。考えをまとめることになかなか集中できず、言葉としてうまく伝えることができなかったり、こちら側が発する言葉の隅々にまで棘や否定を感じ取ってしまい、結果話すこと自体に抵抗を感じ尻込みしてしまうことはよくある事だし無理もないことでもある。  そんな時、その人とのあいだにクッションとなるような何らかのものや行為を介在させると、コミュニケーションが回