
#13 命の詩(うた)
詩人にとって言語は恐らく私たちがまったく気がつかないでいる価値に満ちあふれたものなのだ。わずか10語に見たないような言葉で何らかのメッセージを表現しようとする場合、私たちはただ意味を正確に伝えたいと思うものだが、詩人は表現そのものにおいて実際の生の流れ、情緒的な鼓動を扱うのである。
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おもいでが 音もなく
ながい巻物をくりひろげる。
わたしは嫌悪のこころをもって
おのれの生涯を読みかえし
身をおののかせ のろいの声をあげ
なげきつつ にがいなみだを流す。
けれども悲しい記録のかずかずは
もはや消し去るよしもない。
こわいんです。生きてることが、
でも、死ぬことも、こわいんです。
宗宮 彰子(岐阜県、15歳)
わたしは肉体を認知するのがこわい
わたしは魂を認知するのがこわい
深い 心もとない財産
所有物、自由意志のきかない
疑うことをしない相続人に
勝手に課せられた 二重の財産
不滅の問の君主にして
未開拓の、神。
いやだ と言っていいですか
本当にからだの底からいやなことを
我慢しなくていいですか
我がままだと思わなくていいですか
親にも先生にも頼らずに
友だちにも相談せずに
ひとりでいやだと言うのには勇気がいる
でもごまかしたくない
いやでないふりをするのはいやなんです
大人って分からない
世間でいったい何なんですか
何をこわがっているんですか
いやだ と言わせてください
いやがっているのはちっぽけな私じゃない
幸せになろうとあがいている
宇宙につながる大きな私のいのちです
ナザレに着いたとき
私は半分死んでた
とにかく横に
なれる場所が欲しい
私は男に尋ねた
“泊まれる場所は?”
彼はニヤリと笑い
ただ一言“知るもんか”
荷物を下ろして
自由になりなさい
荷物を下ろしなさい
そして その荷を
私によこしなさい
『イージーライダー』監督 デニス・ホッパー アメリカ 1969年
いのちがおわるときも、
夏休みがおわるときのように、
短かったと思うのかなぁ。
緑川 なつみ(神奈川県 14歳)

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