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なにをみても、きっと何かを思いだす。

ほら、あそこって雲の辺りをきみは
ゆびさしている。

きみのほらがどこなのかわからない。

ほら、はとっていう。

鳩?

はとが飛んでる。

鳩いる?

いる。

すごいいる。

すごいいるの?

近眼でややこしい病のあるわたしは
白い色と青い色がみわけがつかない。

見分けがつかないくせに、それを
聞くのが好きだ。

ほらどこ? って。

輪郭もあやふやな曖昧な形。
その形が溶けてゆく瞬間が
心地いい。

一瞬色が見えた気がする。

一度だけでいいから夫と同じ色を
みたいとわたしは思った。

ある日届いた招待状。

わたしがするのは空をみあげること
だけだった。

原色ににじむ、朝顔やチューリップ。
ネモフィラ、ポピーたち。

解き放たれた風を運ぶように。

花たちは空に存在していた。

伝書鳩がいる。

雲の白も鳩の白も見えた。

それはわたしに色を教えてくれる
鳩たちだった。

夫は伝書鳩士。

色を伝えるために鳩の才能を
みぬいてその力を伸ばすことに
晩年は勤しんでくれた。

今日もわたしは夫のつくった空の
色を見上げてる。

🕊    🕊    🕊     🕊

⇧みえますか?鳩の絵文字っていつも
薄すぎて心細くなります。

今週は久しぶりにショートショートnote
書いてみました。
お題は『伝書鳩パーティー』です。
ぜんぜんパーティーぽくないですが。
読んで頂きましてありがとうございます!



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