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HPVワクチン訴訟、アメリカの死亡事例「死因はガーダシルの副反応であると認定」

SNS上でのHPVワクチン問題では、前回の記事で取り上げた名古屋市の調査を挙げる人のほか、「HPVワクチンは安全だから世界的に推奨されているのだ」と言っている人もいます。けれども、2018年にアメリカで「死因はガーダシルの副反応である」と認定された訴訟もありました。日本だけでなく、アメリカでも多数の訴訟が起きているのです。「安全」だと断言するには、時期尚早ではないでしょうか。

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団

前回からの続きです。

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団のサイトには、現在進められている訴訟の情報が公開されています。

例えば、2023年8月18日(金)と8月21日(月)には、HPVワクチン薬害東京訴訟の専門家証人尋問期日が開催されます。

https://www.hpv-yakugai.net/tokyo-2023-8-9/


21日には新たな専門家証人として、応用統計学の専門家である椿広計氏(統計数理研究所所長・名誉教授)が法廷に立つとのこと。

椿氏は、前回の記事で論文を紹介した方です。
名古屋市子宮頸がん予防接種調査に関わる様々な議論への回答と2 つの交絡因子の同時調整分析 椿 広計 統計数理研究所

2023年9月19日(火)には、名古屋地方裁判所1階大法廷において、HPVワクチン薬害名古屋訴訟の口頭弁論期日が開かれます。

このような裁判を傍聴すれば、実際にHPVワクチン接種後の患者の診療に従事してきた専門家が、どのような根拠に基づいて、どう分析しているか知ることができるでしょう。

アメリカでの事例

上記のサイトには、アメリカの被害者遺族について書かれたページがありました。その一部を引用します。

2008年6月、米国メリーランド州在住の女子大学生であったクリスティーナ・ターセルは、ガーダシルの接種後から不整脈を生じるようになり、3回目の接種を受けた18日後に21歳で死亡しました。
 クリスティーナは、高校・大学を通じて成績優秀で、大学ではスタジオアートを専攻し、野球やテニスなどをプレーする活発な女性でした。ワクチン接種前は健康に問題はなく、運動競技に参加する際の検査でも心機能の異常を指摘されたこともありませんでした。
 しかし2007年11月に2回目のガーダシルの接種を受けた後に心電図検査で異常が指摘され、関節痛も訴えるようになりました。
 そして2008年6月の3回目の接種の後は強い疲労感や、めまい、立ちくらみといった症状を訴えるようになり、18日後にはベッドで死亡した状態で発見されました。
 こうしたクリスティーナの死に関する経緯は、米国内において昨年9月に出版された『The HPV Vaccine on Trial』という書籍においても、詳しく紹介されています。
クリスティーナの母であるエミリーは、米国のワクチン健康被害補償プログラム制度(VICP)の下で米国保健福祉省を相手とした補償請求を連邦請求裁判所に提起しました。その後8年にわたる審理を経て、昨年(2018年)8月には裁判所が死因はガーダシルの副反応であることを認定し、その判断が確定しました。訴訟の過程では著名な免疫学者や循環器内科医らが、ガーダシルと致死性不整脈との関係を医学的に説明しています。
(以下略)

https://www.hpv-yakugai.net/2019/10/16/kyushu13/

約8年にわたる審理を経て、裁判所が死因はガーダシルの副反応であることを認定しました。

『The HPV Vaccine on Trial』という書籍は、みすず書房から翻訳されて『子宮頸がんワクチン問題  社会・法・科学』というタイトルで出版されています。

目次を見るだけでも、非常に興味深い内容です。監訳者のメッセージから一部を引用します。

世界中で多くの少女たちがこのワクチンの副作用に苦しみ、放置され、無視され、詐病と罵られ、心身両面で傷ついていたのだが、ごく一部の医療者・研究者を除けば救いの手を差し伸べる人はいなかった。この本によって、やっと彼女らは抗弁する基盤を与えられたことになる。

今回、みすず書房が日本語版に用意したタイトルは「子宮頸がんワクチン問題――社会・法・科学」となったが、このワクチンが少女たちにもたらしたものは、身体的な被害だけでなく、社会から放置され、疎外され、攻撃されるという精神的な被害でもあり、その責任は企業・医学・国・メディアにあることを考えれば、英語版よりもこのタイトルの方が問題を正しくとらえていると言えるのかもしれない。

監訳者からのメッセージより


下記は、クリスティーナ・ターセルさんに関するサイト。

アメリカでもどんどん訴訟が起きており、HPVワクチン訴訟に力を入れている法律事務所のHPには、事例が多数紹介されています。以下、Wisner Baum法律事務所のHPから3つの事例を引用しました。詳細に書かれているので、かなり短く編集しています。このページには他の事例も紹介されています。


Caroline Canteraさんの訴訟
ガーダシル後の傷害:子宮頸がん
提出日: 2023 年 3 月 16 日
U.S. District Court for the Western District of North Carolina (Case No. 3:23-cv-00161, MDL No. 3036)

ガーダシルを接種する前は、非常に健康で、定期的な健康診断とスポーツのための健康診断以外には医者に行く必要はなかった。
ガーダシル接種後、予期せぬ疲労、激しい腹痛、全身の衰弱など、無数の症状を経験。倦怠感と時折の腹痛は、生理が4週間以上続いていることに気づくまで続いた。婦人科医の診察を受けると、医師はステージ4の子宮頸がんと診断。複数回の生検、CT スキャン、MRI 検査、6 回の化学療法、30 回の放射線治療、3 回の小線源治療を受け、何度も医師の診察を受けた。
「私は自分の子供をもう産むことができないという辛い事実にも直面しなければなりませんでした。このワクチンがこれほどの害をもたらす可能性があることをメルク社が知っていたなら、なぜ人々に警告しなかったのでしょうか?」

https://www.wisnerbaum.com/prescription-drugs/gardasil-lawsuit/gardasil-injury-cases/

Catherine Bossさんの訴訟
ガーダシル後の傷害: POTS、自律神経失調症、胃不全麻痺、片頭痛、失神、疼痛性障害、子宮内膜症
提出日: 2022 年 9 月 27 日
U.S. District Court for the Central District of California

2016 年 12 月に、最初のガーダシル接種を受けた( 16 歳)。接種する前は、学校や多くの活動を楽しむ普通の 10 代だった。
初回接種の直後、著しい疲労、頭痛、息切れ、低血圧、腹痛を経験。その後、失神、視力低下、嘔吐、断続的なパニック発作を伴う片頭痛を患う。2017年4月、検査を受け、自律神経失調症の症状、おそらく姿勢性起立性頻脈症候群と診断。月が経つにつれて、めまい、倦怠感、頻繁な失神、動悸、息切れ、偏頭痛、ほてり、痛み、不安などが増加した。
(中略 ガーダシル3回目まで接種)
22歳の彼女は、立つことができなくなり、椅子としても使える杖を使って歩いている。彼女はガーダシルに関連するすべての症状を克服するのに苦労しており、再び健康になることを何よりも望んでいる。
「メルク社には、彼らが私の夢を追う機会を奪ったことを知ってもらいたいのです」

https://www.wisnerbaum.com/prescription-drugs/gardasil-lawsuit/gardasil-injury-cases/

Noah Tate Foleyさん(男子)の訴訟 
ガーダシル後の傷害:自律神経系、神経系、異種自己免疫疾患、死亡に至った一連の症状
提出日 2022 年 9 月 26 日
U.S. District Court for the Middle District of North Carolina

11歳の誕生日から2日後の2018年5月7日に、最初で唯一のガーダシルを接種。ガーダシルを接種する前、自己免疫疾患や自律神経系の問題はなかった。

ガーダシル接種から約2週間後、39度に達する発熱を経験。症状は続き、1週間後に血液検査を行った。しかし検査の結果、2018年の夏の間ずっと続くことになる発熱の「原因」は判明しなかった。その後も発熱と倦怠感が続き、2018年10月から7か月間、複数の専門医の診察を受けてきた。
(中略)
2020年9月30日、ほぼ完全に脳死状態に陥った。2020年10月8日、呼吸管を抜去されてから4時間後に亡くなった。彼は13歳だった。

https://www.wisnerbaum.com/prescription-drugs/gardasil-lawsuit/gardasil-injury-cases/

世界で推奨されていたとしても、このような事例も多数でています。安全性に関する問題に、決着がついたわけではないのです。

ですから、今の段階で「安全です」と言い切る人を信用してよいのでしょうか。後悔しない選択をするためには、医師が言っているから、議員が言っているからというだけで信用せずに、自分で納得いくまで調べることが大切だと思います。

次の記事で、訴状から見えてきたことなどを取り上げる予定です。