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中高生向け:自由研究のテーマが決まっていないなら、「無料」について考えてみよう!

「無料」でもらえる物や「無料」で受けられるサービスについて、考えたことはありますか? 「無料ならもらっておこう!」と思ってもらってみても、結局使わなかったものはありませんか? 「無料」だからと飛びつくと、悪質商法の被害にあう可能性もあります。この機会に、身の回りにある「無料」について考えてみましょう!

「無料」は本当に「無料」なのか?

政府広報オンラインには、若者に多い消費者トラブルに関するページがあります。

2022年度、18歳~19歳からの相談件数がもっとも多かったのが「脱毛エステ」です。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201801/1.html

脱毛エステの無料体験に誘われた。無料体験を受けた後、断ったにもかかわらず別室へ案内され、有料のエステの勧誘を受け続け、断り切れずに約20万円の全身脱毛コースの契約をしてしまった。

10歳代・女性の事例

「無料体験」をきっかけに、高額の契約をさせられてしまう事例などが多数報告されています。

最初から「20万円」と知っていたら、簡単にはそのお店に足を踏み入れないでしょう。よく考えてから決めるはずです。けれども、「無料」だから深く考えずに行ってしまうのだと思います。

どのような物やサービスでも、「無料だから」ではなく、本当に「必要」かどうか考えることが大切です。

世の中には、「無料」のサービスはたくさんあります。スマホで遊べるゲームはなぜ無料なのか、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSはなぜ無料で利用できるのかなど、興味のあるテーマを選んで調べてみると、様々なことが見えてくるでしょう。

後悔のない選択をするために

もし、テーマが決まらないなら、ぜひ考えてほしい「無料」があります。

今、勉強や部活動を頑張っていたり、将来やりたいことがあるのなら、その「当たり前」が失われてしまうかもしれない「無料」があります。自分のために、未来のために、ぜひ下記について考えてみてください。

まずは、下記のニュースを読んでみましょう。

 

HPVワクチン接種費用、小6~高1男子にも全額助成 東京・中野区
2023年7月20日 18時46分 朝日新聞アピタル

東京都中野区は、女性の子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するワクチン接種について、区内に住む小学6年~高校1年相当の男子の接種費用を助成することを決めた。区によると、男性への助成は都内自治体では初めて。
(以下略)

https://www.asahi.com/articles/ASR7N64W2R7NOXIE046.html

東京都中野区では、区内に住む小学6年~高校1年相当の男子についても、HPVワクチンの接種費用を全額助成すると決めました。つまり、中野区に住む小6~高1の男子はHPVワクチンを接種するときに、お金を払わなくてもよいということです。けれども、ワクチンが無料で配られるわけではありません。中野区が代わりに払うということになりますが、そのお金はどこから出ているのかも考える必要があります。

そしてもう1つ、考えなければならない重要な問題があります。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、2013年4月に小学校6年生から高校1年生までの女子を対象に、無料で受けられる定期接種が始まりました。ところが、接種後にさまざまな症状の訴えがあり、わずか2カ月後に厚労省が「積極的な勧奨(※)はしない」とのスタンスを公表しました。そして、2022年4月から約9年ぶりに積極的な勧奨が再開され、現在、小6~高1の女子は公費(自己負担なし)で接種できます。
※自治体から接種対象の女性へ予診票などを送ること。

男子については、自治体によって異なります。千葉県いすみ市、埼玉県熊谷市(令和5年10月~)などは、公費で接種できます。

では、中野区や千葉県いすみ市などに住む男子は、せっかく「無料」なのだから接種した方がよいのでしょうか?

2013年に接種が始まった後に訴えがあった、「さまざまな症状」とはどのような症状だったのでしょうか。それらの症状は、治ったのでしょうか。

被害を受けた方たちが起こした国や製薬会社に対する損害賠償請求訴訟は、長期化しています。


泥沼の子宮頸がんワクチン訴訟 接種「勧奨」再開も見えぬ着地点
2023/5/28 06:00 産経ニュース

子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチンを接種し健康被害を受けたとして、接種者が起こした国や製薬会社に対する損害賠償請求訴訟が長期化している。平成28年の一斉提訴から6年以上が経過した今も訴訟は全国4地裁で係属しているが、国は昨年、安全性に問題はないとして接種を促す「積極的勧奨」を再開した。双方の主張が対立する中、結論は今なお見えてこない。

https://www.sankei.com/article/20230528-O43HOBT4MRLUVDCIEUIEXJB6LE/

弁護団のサイトには、裁判の進捗状況や「被害者の声」が掲載されています。

国が「安全性に問題はない」とした判断材料の1つが、下記の調査です。

祖父江班による全国疫学調査(厚労省のHPにて公開)


https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000147016.pdf


https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000147016.pdf

このような「多様な症状」の報告を受け、様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません。けれども、「因果関係がない」という証明もされていません。

HPV ワクチン薬害訴訟全国弁護団 9 月 3 日更新資料より

「原告の声」から

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000989620.pdf

そして、このような方がいるということは「事実」です。接種後の生活が、接種前とがらりと変わってしまいました。そして多くの方は、完治してません。

対立する見解

名古屋市はHPVワクチンと接種後に現れたさまざまな症状の因果関係解明の一助として、名古屋市に住民票のある小学校6年生から高校3年生までの女子約7万人に対してアンケート調査を実施。2015年9月上旬に対象者に調査票を郵送し、約3万人が返送しました。

その結果は、下記のページで公開されています。

これについても、意見が対立しています。

名古屋市立大学鈴木貞夫教授は、約3万人のデータを解析した結果、24項目にわたる症状はワクチンを接種した人と接種していない人で差はみられなかったと結論づけました。


<参考資料>
名古屋市が2015年に実施した「名古屋市子宮頸がん予防接種調査」の解析結果として発表された名古屋市立大学鈴木貞夫教授による論文

「No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study(HPVワクチンと日本の若年女性で報告されているワクチン接種後症状との間に関連性は無い:名古屋研究の結果)」


この論文について、薬害オンブズパースン会議は下記の見解を示しています。

速報の解析を担当した鈴木教授が、あらためて学術誌に投稿した論文
であり、結論において、「ワクチンと報告されている症状あるいは副反応との間に因果関係はないことが示唆された」としている。しかし、鈴木論文は、依然として重大な問題を有しており、上記の結論は誤りであると考える。

https://www.yakugai.gr.jp/topics/file/HPVnagoyachousa_suzukironbun_kenkai.pdf

「名古屋市子宮頸がん予防接種調査」に関する鈴木貞夫論文についての見解 薬害オンブズパースン会議 (2018年年6月11日)

それに対して、鈴木貞夫氏が反論。

『「名古屋市子宮頸がん予防接種調査」に関する鈴木貞夫論文についての見解』に対する回答 鈴木貞夫 (2018年8月8日)

江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授・隈本邦彦氏も、下記のような見解を出しています。

” 名古屋スタディ ” という疫学研究は存在しない
自由記載欄にこそある真実に目を向けるべきである 
 (2021年5月)
隈本邦彦 (江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授、
名古屋大学客員教授、元 NHK 報道部記者)

名古屋市調査のほんとうの意味は、実は自由記載欄にあった。
質問した24 の症状にうまく当てはまらない多様な症状がある場合に「その他」として自由記載する欄があったのだ。これもすべてが公開されている。
そこを読んでみると、この調査の本来の目的である「被害の実態」が明らかになってくる。(中略)
ワクチン非接種群はもともと有病率が高いというバイアスの存在を裏付けるものとなっている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shakairinsho/28/3/28_6/_pdf

名古屋市のサイトで公開されている調査結果には、HPVワクチン「接種なし」「接種あり」両方の自由記載があります。

 自由記載 質問2 (PDF形式, 397.88KB)

 自由記載 質問3 (PDF形式, 393.21KB)

 自由記載 質問6 (PDF形式, 995.73KB)


メディアや医師、政治家も、意見が対立しています。今の段階では、どちらが正しいということはできないでしょう。サリドマイド薬害は、メカニズムがわかるまでに50年かかりました(下記参照)。

わからない中でも大切なことは、「無料」だから接種しようとするのではなく、自分で調べて、しっかりと考えて決めることだと思います。

そもそも、子宮頸がんとはどのような病気なのか、また、ワクチンを接種したらどのくらい予防できるのか、ワクチン以外に予防する方法はないのかなど、納得するまで調べることが、後悔しないためにできることだと思います。


調べる前にぜひ読んでほしい本

偏った情報収集にならないように、調べる前にぜひ読んでいただきたい本を紹介します。読書感想文の課題図書が決まっていない人にもおすすめです。

「ワクチンの境界 ― 権力と倫理の力学」(國部克彦著)

この本のテーマは、「反ワク」と呼ばれるような、ワクチンの危険性ではありません。著者の國部克彦氏は、神戸大学大学院経営学研究科教授です。コロナワクチンを例に、私たちは何かを信じる前に「調べる義務」を負っていることや「検証の大切さ」などを説明しています。

詳細は、下記の記事で取り上げました。

HPVワクチンに関しては、過去の記事でも多数取り上げています。薬害問題についても取り上げているので、あわせて参考にしてください。

これは、中高生の皆さんにとって重要な問題です。接種後に何も起きなかった人もいます。けれども接種したことを後悔している人、接種させたことを後悔している保護者がたくさんいることも事実なのです。メカニズムがわかっていない以上、健康被害が誰に起きるかわかりません。友達が大丈夫でも、あなたも大丈夫とは限らないのです。接種後にどうなるのかは、接種してみなければわかりません。皆さんが後悔のない選択ができるように、ぜひ夏休みの間に考えてみてください。


<HPVワクチン関連>

<薬害関連>