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コロナワクチンの「修飾ウリジン」、なぜ添付文書から削除されたのか?

前回の記事で、8月2日にオミクロン株対応2価ワクチンの初回接種での使用が薬事承認(特例承認の一部変更)されたことを取り上げました。当然、添付文書も改訂されて第6版になっています。けれども、今回の一部変更とは関係ないと思われる部分も変わっていました。


コミナティRTU筋注 添付文書

添付文書はPMDAのサイトで公開されています。


添付文書 第6版より

今回改訂された部分には、**印がついています。

ちなみに、有効期間*は前回の改訂で18ヶ月から24ヶ月に延長されています。

初回免疫としての用法・用量が加わりました。

添付文書 第6版より

前回の記事でも書きましたが、アメリカでは1回となっていますが、日本ではなぜ2回なのでしょうか。



Individuals 5 years of age and older:
Unvaccinated individuals
: A single dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine, Bivalent.

https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/coronavirus-covid-19-cber-regulated-biologics/pfizer-biontech-covid-19-vaccines

初回接種の場合、「2価ワクチンを1回接種」と書かれています。

そのほかの**も、第5版と比較してみます。

添付文書 第6版より


添付文書 第5版より

ギラン・バレー症候群についての内容は変わっていませんが、第6版は「修飾ウリジン」という言葉が削除されています。

添付文書 第6版より


添付文書 第5版

こちらも、「修飾ウリジン」という言葉が削除されています。

よく見ると、下記にも**が付いていました。

添付文書 第6版より


添付文書 第5版より

なぜ「修飾ウリジン」が削除されたのでしょうか。コロナワクチンにとって、「修飾ウリジン」は重要な技術のはずです。

2021年5月27日
“革新的”研究成果がコロナワクチン開発に 女性科学者の思い

遺伝物質「mRNA」は、体内に入れるとすぐに分解されるほか、炎症反応を引き起こしてしまうため、長年、薬などの材料として使うのは難しいと考えられていました。
しかし、カリコ博士らはmRNAを構成する物質の1つ「ウリジン」を「シュードウリジン」に置き換えると炎症反応が抑えられることを発見。
この技術を用いて2020年、新型コロナウイルスのワクチンが開発されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-situation/detail/hungary.html


2021年11月23日

2012年には、シュードウリジンにさらに修飾を加えて改良し、タンパク質をさらに効果的に作ることにも成功した。現在のワクチンに使われているのはこの技術を使ったmRNAである(メチルシュードウリジン)。

https://president.jp/articles/-/51673?page=1

添付文書に戻ります。

添付文書 第6版より

本剤に含有される修飾ウリジンメッセンジャーRNA(mRNA)は脂質ナ
ノ粒子に封入されており、それにより非複製性であるmRNAが宿主細
胞に取り込まれ、mRNAにコードされるSARS-CoV-2のスパイクタンパ
ク質が一過性に発現する。

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/672212_631341JA2028_1_06

作用機序には、「修飾ウリジンメッセンジャーRNA」が含有されていると書いてあります。

では、なぜ削除したのでしょうか。わざわざ消すということは、大きな意味があるはずです。

接種する際に、このことについて質問したら、答えてもらえるのでしょうか。納得のいく説明ができる医師は、いるのでしょうか。


効果・効能は変わっていません!

添付文書が改訂されても、効果効能は「SARS-CoV-2による感染症の予防」であり、「重要化予防」とは書かれていません。そして予防効果の持続期間も、「確立していない」のままです。

添付文書 第6版より

通常は、承認を受けた効果効能の範囲をこえた表現は使用してはいけないはずです(下記参照)。



https://www.mhlw.go.jp/content/001116892.pdf

それなのに、なぜ厚労省は堂々と「重症化を予防します」と言っているのでしょうか。

さらに、7月3日公開のパンフレットには、「2価ワクチンはオミクロンXBB系統株による重症化を予防します」と言っておきながら、8月10日公開のパンフレットには、「9月20日以降、生後6ヶ月以上のすべての方に対して、新型コロナのオミクロン株(XBB.1.5)に対応した1価ワクチン(XBB対応ワクチン)の接種を行います」と書いています。


https://www.mhlw.go.jp/content/001133311.pdf

6月16日の審議会では、あまり効果が期待できないから新しいワクチンを使うと決めているのに、7月3日公開のパンフレットには、効果があるような書き方をしています。こんな詐欺のようなことをして、よいのでしょうか。

資料1-2_令和5年秋冬に用いるワクチンについて 2023年6月16日

オミクロン株対応2価ワクチン(武漢株及び BA.4-5 の成分を含む2価ワクチン。以下「既存2価ワクチン」という。)を追加接種したヒトにおける中和抗体の反応を評価した研究では、XBB.1系統に対する中和抗体価の上昇は、BA.4-5 に対する上昇と比べて低いとされている。
【結論】
現在の流行の主流である XBB.1 系統に対しては、既存2価ワクチンでは中和抗体価の上昇が低く、移行しつつある主流流行株に対してより高い中和抗体価を誘導するためには、最も抗原性が一致したワクチンを選択することが妥当である。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001108705.pdf

そして、新しい1価ワクチンは、7月7日に承認申請(承認事項一部変更申請)されて、まだ承認されていません。

承認されていないのに、もうこんなパンフレットを公開しています。なぜこんなことが許されるのでしょうか。

FDAが変異株の「XBB.1.5」に対応する「1価ワクチン」の開発を製薬各社に推奨したことを発表したのは、6月16日。こんな短期間では、安全性を確認するための臨床試験も十分にできません。そんなものを、生後6ヶ月以上のすべての人に対して使用するなんて恐ろしいことです。

おそらく、9月20日に間に合うように承認されるのでしょう。そうだとしたら、何のための審査なのでしょうか。