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「100%メロンテイスト」がダメで、コロナワクチンの「重症化予防効果」はなぜよいのか?

キリンビバレッジは、同社が販売するメロン味のミックスジュースが実際と異なる表示をしていた問題で、景品表示法に違反(優良誤認)したとして、1915万円の課徴金を納付するよう命じられました。実際よりも優れていると偽って宣伝することなどが、優良誤認表示にあたります。このような表示には措置命令が出るのに、コロナワクチンに関してはなぜ許されているのでしょうか。

メロン果汁2%で「100%メロンテイスト」

以下、毎日新聞からの引用です。


トロピカーナ「100%メロン味」、実は2% キリンに課徴金命令
毎日新聞 2023/1/18 15:07(最終更新 1/19 08:18)
キリンビバレッジ(東京都)が販売するメロン味のミックスジュースが実際と異なる表示をしていた問題で、消費者庁は18日、景品表示法に違反(優良誤認)したとして、同社に対し、1915万円の課徴金を納付するよう命じた。
 対象となったのは、2020年6月~22年4月に「トロピカーナ100%まるごと果実感メロンテイスト」(900ミリリットル入り、税抜き250円)で使われていたパッケージ。実際には原材料の98%程度がブドウやリンゴ、バナナの果汁で、メロン果汁はわずか2%程度だった。昨年9月に消費者庁が再発防止などを求める措置命令を出し、同社はパッケージを変更していた。
 景表法では、不当表示期間などの売上額の3%に相当する額を課徴金として算出するよう定めている。
 同社は「厳粛に受け止め、引き続き表示に関するチェック体制を強化するとともに、再発防止に努めてまいります」とのコメントを公表した。

https://mainichi.jp/articles/20230117/k00/00m/040/305000c

下記は消費者庁のリリースです。

キリンビバレッジ株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について


https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms207_230118_01.pdf



https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms207_230118_01.pdf


https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms207_230118_01.pdf


あたかも、本件商品の原材料の大部分がメロンの果汁であるかのように
示す表示をしていた。

https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms207_230118_01.pdf

ということです。

「メロン」ではなく「メロンテイスト」と書いていますが、「100%」というのが目に入りやすく、パッケージが全面的にメロンなので、「メロン果汁100%」と誤解してしまう人もいるのでしょう。

このような紛らわしい表示もたしかに問題ですが、もっと命に関わる商品がまったく違反とされていないことが不思議でなりません。


承認を受けた効果効能の範囲をこえた表現

医薬品の場合は、前回の記事に書いた「医薬品等適正広告基準」や「薬機法(旧・薬事法)」などがあります。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効果効能等の範囲をこえてはならない


https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

具体的な効果効能等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない


https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg25648.html

重症化予防効果や感染予防効果は、審査では承認されていません。承認されているのは、発症予防効果だけです。「期待」というのが逃げ道かもしれませんが、暗示的であっても承認を受けた効果効能の範囲をこえてはならないはずです。

添付文書にも、効果に重症化予防効果や感染予防効果は書かれていません。


コミナティ筋注 BA.5対応 添付文書第3版より


重症化予防効果や感染予防効果は、そもそも承認された効果ではないのに、従来株ワクチンより上回るなどと言ってよいのでしょうか。

審査報告書 より

7.R.5 効能・効果について
機構は、本剤の効能・効果について、以下のように考える。
海外 C4591001 試験の第II/III相パートの結果から、本剤の COVID-19 の発症予防効果は示され、国内C4591005 試験で海外 C4591001 試験と同程度以上の血清中和抗体価の上昇が確認されたことから、日本人に対しても同様の COVID-19 の発症予防効果は期待できると判断した(7.R.2 参照)。「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評価に関する考え方」の記載、既承認のワクチンの効能・効果等を踏まえると、本剤の効能・効果は、申請時の効能・効果のとおり、「SARS-CoV-2 による感染症の予防」とすることが適切と判断した。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf


特例承認に係る報告(2)
1.1 有効性及び効能・効果について

・本剤の COVID-19 重症化抑制効果は、臨床試験の結果からは十分な情報が得られていない。しかしながら、本剤の COVID-19 発症予防効果により発症者数が低減することで、結果的に重症者数や死亡者数の低減につながる可能性は期待できる。
・本剤の SARS-CoV-2 感染予防効果は、臨床試験では評価されていない。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf

「発症予防効果により発症者数が低減することで、結果的に重症者数や死亡者数の低減につながる可能性は期待できる」ということなのに、コロナワクチンのチラシなどではあたかも接種した本人が重症化しない効果があるような印象を与えています。

「メロンテイスト100%」がダメなのに、なぜ「重症化予防効果」はよいのでしょうか。

以前、交互接種を勧めるポスターのときも同様の疑問がありました。

前回の記事では、厚労省や地方自治体の事例も取り上げました。

企業ならダメなのに、なぜ国や地方自治体なら違反と思われる表現をしてもよいのでしょうか。