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約2年で19回も改訂! コロナワクチンの添付文書、新旧を比較 

コロナワクチンの効果や副反応について書かれた、添付文書を見たことがありますか? ファイザー社製のコミナティ筋注の添付文書は何度も改訂されて、今は第19版が公開されています。今回は添付文書を掘り起こし、変わった箇所を比較してみました。


特例承認直後の添付文書

添付文書はPMDAのサイトで公開されていますが、改訂されると新しいものに差し替えられてしまいます。最初の添付文書は特例承認されたときの資料として厚労省のサイトで公開されていましたが、なぜか第1版ではなく第2版になっていました。

コミナティ添付文書 第2版

PMDAのサイトの申請資料概要に第1版がありましたが、「案」として提出されたということのようです。

「起原又は発見の経緯及び開発の経緯」等の資料 2
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_B101_2.pdf  (添付文書第1版)

なので、ここでは第2版を見ていきます。

コミナティ筋注 添付文書 第2版

第2版は2021年2月に出されたもので、このときは有効期間が6ヶ月。

本剤は、本邦で特例承認されたものであり、承認時において長期安定性等に係る情報は限られているため、製造販売後も引き続き情報を収集中である。
本剤の使用にあたっては、あらかじめ被接種者又は代諾者に、本剤に関する最新の有効性及び安全性について文書で説明した上で、予診票等で文書による同意を得た上で接種すること。また、有害事象が認められた際には、必要に応じて予防接種法に基づく副反応疑い報告制度等に基づき報告すること。なお、本剤の製造販売後に収集された情報については、最新の情報を随時参照すること。

https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000738743.pdf

長期安定性等に係る情報は限られている」から「最新の有効性及び安全性について文書で説明した上で」接種するようにと書かれています。最新の安全性について、きちんと説明している医師はどれくらいいるのでしょうか。


コミナティ筋注 添付文書 第2版

効果・効能は、「SARS-CoV-2による感染症の予防」であり、「本剤の予防効果の持続期間は確立していない」とのこと。

副反応については、下記のように書かれています。

コミナティ筋注 添付文書 第2版


コミナティ筋注 添付文書 第2版

では、PMDAのサイトで公開されている最新の添付文書(第19版)を見てみます。



コミナティ筋注 添付文書 第19版

第19版は、2022年10月に改訂されています。有効期間は15ヶ月に延長。10月に変わった部分は**の部分です。

コミナティ筋注 添付文書 第19版

第18版(下記)を確認すると、第19版は接種間隔が5ヶ月から3ヶ月に変わっていることがわかります。

コミナティ筋注 添付文書 第18版

そしてここにも、「本剤以外のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として本剤を接種した際の有効性及び安全性は確立していない」とハッキリ書かれていることにも注目したいです。

このように、2022年9月の改定からも変わった箇所があります。

けれども、効果・効能は第2版からまったく変わっていません。

コミナティ筋注 添付文書 第19版

一方で、副反応はジワジワと追記。心筋炎・心膜炎など、頻度不明のものが増えています。

コミナティ筋注 添付文書 第19版
コミナティ筋注 添付文書 第19版

そして、互換性に関しては「データはない」のままです。つまり、交互接種の安全性は今も製薬会社は確認していません。

このように、効果・効能は変わっていないのですが、接種を勧める医師たちはいつからか「重症化予防効果がある」と言うようになりました。製薬会社が書いていない効能を、あるかのように言ってもよいのでしょうか。

臨床試験で製薬会社が評価したコロナワクチンの効果とは?

PMDAのサイトにある、審査報告書を見てみます。


7.R 機構における審査の概略
7.R.1 臨床データパッケージ及び審査の方針について
(中略)
感染症予防ワクチンの有効性は、原則として発症予防効果を主要評価項目として評価を行うものであり、COVID-19 の発症予防効果について代替となる評価指標が明らかになっていない現状においては、原則として、SARS-CoV-2 ワクチン候補の有効性を評価するために、COVID-19 の発症予防効果を評価する臨床試験を実施する必要がある。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf

感染症予防ワクチンの有効性は、「発症予防効果」の評価を行うものだと書かれています。

「重症化抑制効果」については、下記のように書かれています。

7.R.2.3 COVID-19 の重症化抑制効果について

以上の結果からは本剤の COVID-19 の重症化抑制効果は確認できていないが、これは COVID-19 の重症例が少なかったことに起因すると考えられた。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf

臨床試験で重症化抑制効果は確認できていないが、それはそもそも重症例が少なかったからと考えられると言っています。

7.R.5 効能・効果について
機構は、本剤の効能・効果について、以下のように考える。
海外 C4591001 試験の第II/III相パートの結果から、本剤の COVID-19 の発症予防効果は示され、国内C4591005 試験で海外 C4591001 試験と同程度以上の血清中和抗体価の上昇が確認されたことから、日本人に対しても同様の COVID-19 の発症予防効果は期待できると判断した(7.R.2 参照)。「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評価に関する考え方」の記載、既承認のワクチンの効能・効果等を踏まえると、本剤の効能・効果は、申請時の効能・効果のとおり、「SARS-CoV-2 による感染症の予防」とすることが適切と判断した。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf

さらに、有効性については、最後の方にも下記のように書かれています。

特例承認に係る報告(2)
1.1 有効性及び効能・効果について
専門協議では、専門委員より、報告(1)の「7.R.2 有効性について」及び「7.R.5 効能・効果について」の機構の判断を支持する意見に加えて、以下の意見が出された。

・ 海外 C4591001 試験について、長期の有効性データは得られておらず、VE の結果は 2 回目接種後短期間のデータであることは医療現場に情報提供する必要がある。また、長期の有効性データは引き続き収集するとともに、有効性の持続期間が明らかとなった場合は、追加接種の要否についても検討する必要がある。
(中略)
・本剤の COVID-19 重症化抑制効果は、臨床試験の結果からは十分な情報が得られていない。しかしながら、本剤の COVID-19 発症予防効果により発症者数が低減することで、結果的に重症者数や死亡者数の低減につながる可能性は期待できる。
・本剤の SARS-CoV-2 感染予防効果は、臨床試験では評価されていない。
本剤を接種した場合であっても、感染拡大防止のため、密集、密接及び密閉の回避、手洗いや咳エチケット等の基本的な感染予防対策は継続して行う必要があり、この点は医療従事者及び被接種者にも伝えるべきである。
・免疫原性と発症予防効果との関連については、今後検討する必要がある

https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf

「有効性の持続期間が明らかとなった場合は、追加接種の要否についても検討する必要がある」と書かれていますが、今も持続期間は明らかにしていません。それなのに、いつのまにか追加接種が決まって、接種間隔も3ヶ月となっています。

そして、「重症化抑制効果は、臨床試験の結果からは十分な情報が得られていない」けれど、 発症予防効果により発症者数が低減することで、結果的に重症者数や死亡者数の低減につながる可能性は期待できる」とのことです。重症化予防と言っているのは、ワクチンを接種した人が重症化しないのではなく、全体の重症者数や死亡者数が低減する可能性が期待できるという意味だったとは!

さらに、「本剤の SARS-CoV-2 感染予防効果は、臨床試験では評価されていない」とハッキリ書いてあります。

一般への接種開始後にいろいろなデータが出てきたと言われていますが、添付文書の効果・効能は最初からずっと変わっていないのです。もし、製薬会社が認めたのなら、添付文書にも重症化予防や感染予防が加わるはずです。けれども、19回改訂されても、効果・効能は変わっていません。一方で、副反応はどんどん追記されています。

製造・販売している製薬会社が認めていない効果・効能を、国や医師があるかのように言って接種を勧めてもよいのでしょうか。

医薬品等適正広告基準

医薬品や化粧品などの広告が、虚偽、誇大にわたらないようにするとともに、その適正を図ることを目的として「医薬品等適正広告基準」が定められています。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

その中に、下記のように書かれています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

1)効能効果等又は安全性の保証表現について
例えば胃腸薬の広告で胃弱、胃酸過多等の適応症をあげ、それが「根治」、「全快する」等又は「安全性は確認済み」、「副作用の心配はない」等の表現を用い、疾病の要因、患者の性別、年齢等の如何を問わず効能効果が確実であること又は安全であることを保証するような表現は認められない。
なお、効能効果等又は安全性を保証する表現については、明示的、暗示
的を問わず認められない。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

国や各自治体が行ってきたコロナワクチン「打て打てキャンペーン」と受け取れる活動には、広告にあたるものがたくさんあると思います。

例えば、鳥取県では下記のような委託業務を行っており(PDF参照)、「広報プロモーション」や「広告」と書かれています。

https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1271007/siyousyo.pdf

そして、下記のようなチラシを制作しました。

http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/5725f7416e09e6da492573cb001f7512/8eb855d3d5a06dba492587fb00309c45/$FILE/chirashi.pdf

「発症予防や重症化予防に効果があります
→臨床試験では重症化抑制効果は確認できていない
添付文書4. 効能又は効果 SARS-CoV-2による感染症の予防


http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/5725f7416e09e6da492573cb001f7512/8eb855d3d5a06dba492587fb00309c45/$FILE/chirashi.pdf

「重要なのはワクチンの種類ではなく、速やかな接種」
→添付文書第19版 
7.2.3 本剤以外のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として
本剤を接種した際の有効性及び安全性は確立していない。

8.8 本剤と他のSARS-CoV-2に対するワクチンの互換性に関するデータはない

効能効果等又は安全性の保証を表現していたり、承認等を受けた効能効果等の範囲をこえています。

1人でも多くの県民にワクチン接種を促すため、ワクチン接種の有効性・効果などの正しい情報や、市町村コールセンター、県営ワクチン接種センターを始めとする接種可能な会場等を合わせて周知・啓発し、接種について検討いただくことを呼び掛ける内容とすること。

https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1271007/siyousyo.pdf

仕様書には上記のように書かれていましたが、このチラシに書かれていることはワクチン接種の有効性・効果などの正しい情報ではありません。なぜきちんと調べないのでしょうか。このようなチラシを、自治体が堂々と配布してよいのでしょうか。

けれども、チェックするはずの厚労省も、堂々と書いています!

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0011.html

「また、感染や重症化を予防する効果も確認されています」

えー! 製薬会社は臨床試験で評価していないし、承認審査でもそれらの効果は承認していないのに・・・。

また、承認後に実際に接種された人の情報を集めた研究等から、いずれのワクチンも、90%以上の重症化予防効果を示す報告等があります(※6~8)。

無症状の感染を含めた、感染そのものを予防する効果(感染予防効果)については、ファイザー社の従来ワクチンを接種された人の情報を集めた米国での研究によると、12歳以上で、2回目接種後1か月以内では88%であったところ、5か月後には47%にまで有意に低下したとの報告があります(※9)。また、モデルナ社の従来ワクチンについても、2回目接種の約1~4か月後ではおおよそ97%であったところ、その約4か月後には8割程度にまで低下したという報告もあります(※10)。

ここで、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意する必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です。

効果の持続期間については、臨床試験後の追跡調査によると、ファイザー社の従来ワクチンでは2回目接種後2か月から4か月時点での発症予防効果は90.1%であったところ、4か月から6か月時点での発症予防効果は83.7%との報告があり(※11)、モデルナ社の従来ワクチンでは、2回目接種後2か月から4か月時点での発症予防効果は94.0%であったところ、4か月から6か月時点での発症予防効果は92.4%との報告があります(※12)。

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0011.html

「報告があります」と何度も言っていますが、添付文書の効果・効能は変わっていません。製薬会社が申請する正式なデータではないからではないのでしょうか。文中にも「これらのデータは臨床試験と異なり」と書いてあります。それなのに、なぜ承認を受けた効果の範囲をこえることを言い切っているのでしょうか。厚労省が、こんな誘導をしてよいのでしょうか。

(参考資料)
※1:PMDAの審査報告書(ファイザー社のワクチン)
※2:PMDAの審査報告書(モデルナ社のワクチン)
※3:PMDAの審査報告書(アストラゼネカ社のワクチン)
※4:PMDAの審査報告書(武田社のワクチン(ノババックス))
※5:N Engl J Med. 2021;385:585-594.
※6:Lancet.2021;S0140-6736(21)00947-8
※7:N Engl J Med 2021; 385:1774-1785
※8:N Engl J Med 2021 Sep
※9:Lancet.2021;S0140-6736(21)02183-8
※10:MedRxiv.2021;doi: 10.1101/2021.10.08.21264595
※11:N Engl J Med 2021; 385:1761-1773
※12:N Engl J Med 2021; 385:1774-1785

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0011.html

厚労省でさえこのような形で接種を勧めていますし、元ワクチン担当大臣なども同じようなことを言っていました。

それでも、「安全です」「効果があります」という言葉を信じられますか?