文春新書

文春新書の公式noteです。「新書の魅力を知ってもらいたい」「新書を通して生活を豊かにしてほしい」との思いから、自社本、他社本を問わず、オススメの新書を紹介します。文藝春秋の社内紹介や編集者の顔が垣間見える記事なども掲載していきます。

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最近の記事

モンゴメリ生誕150年記念出版!松本侑子『赤毛のアン論 八つの扉』が発売。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614752 アン・シリーズ初の全文訳を手掛けた松本侑子さん 2024年11月30日は『赤毛のアン』シリーズ(アン・シリーズ)が世界中で愛される作家モンゴメリの生誕150年! 景色の美しいプリンス・エドワード島で、マリラとマシューの姉弟のもと、愛され成長していくアン。アンのキャラクターに魅せられながらも、大人になってからはむしろマリラとマシューに心を寄せてアンの物語を読む人も少なくな

    • 底なしの繁殖力で日本列島にも迫る危機!? 東大総長賞受賞の”アリハンター”研究者による『世界を支配するアリの生存戦略』から「はじめに」を公開

      変容するアリへの認識 読者の皆様は「アリ」に対してどのようなイメージを持っているだろうか?  子供の頃、アリとキリギリスの童話を読んで、アリは働き者という良いイメージを抱いた人が多いのではないだろうか。野外で巣穴に水をかけたり、木の枝を差し込んだり、歩いているアリをつぶしたりして遊んだ人も多いだろう。こうしていじめられるアリは弱く、けなげな存在だ。小学校の自由研究で、つかまえたアリ数匹をケースに入れて巣を作らせ、行動を観察するというのも人気で、アリは他の昆虫にない知的な社会行

      • 必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人、状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか?

        「重いうつ病」という診断 浜田 このような日常を送るにつれうつ気分が進み、「これでは大変」だと思って、イェールの職員のための診療所に行って初診をしてもらいましたら、「重いうつ病」だと診断されました。それまで、うつ的な症状を実は経験しながらも、自分は精神科医とは全く無関係と思っていた私には驚きでした。医者はまったく笑わずこちらを見ていて、まるで患者たちの全手の重荷を背負っているような風情でした。こちらがうつだから冷たく見えただけかもしれませんが。 内田 いただいた手記には

        • 心の病を語るということーーアベノミクスのブレーンとして知られる経済学者の浜田宏一氏が自身の躁うつ病を語る。

          なぜ心の病を語るのか 内田 お久しぶりです。浜田さんとは、私と同じく精神科医である私の母を通して知り合いました。私がまだ幼少時、イェール大学のあるアメリカ東部のニューヘイブンに家族で住んでいた頃からのご縁で、また研修医としてイェール大学で過ごした時期にも何度かお会いする機会がありました。  当時、浜田さんはイェール大学経済学部の教授で、ゲーム理論を国際金融の具体的な政策問題に適用して、イェール大に招かれて教えられていました。その後、安倍政権下で内閣参与として日本の経済政策

        • モンゴメリ生誕150年記念出版!松本侑子『赤毛のアン論 八つの扉』が発売。

        • 底なしの繁殖力で日本列島にも迫る危機!? 東大総長賞受賞の”アリハンター”研究者による『世界を支配するアリの生存戦略』から「はじめに」を公開

        • 必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人、状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか?

        • 心の病を語るということーーアベノミクスのブレーンとして知られる経済学者の浜田宏一氏が自身の躁うつ病を語る。

          睡眠覚醒研究で世界をリードする上田泰己さんによる初の単著!『脳は眠りで大進化する』のエッセンスを先取り。

          こんにちは、最高気温が30度も突破の日が増えて、夜が何となく寝苦しい、あるいは不眠に悩んでいるという方も多いのではないでしょうか? これを書いている中の人も過労からくる不眠に悩まされた時期があったのですが、寝られずにいる時間というのは長いもので、白々と明けてくる空を眺めながら改めて日々眠っていることの不思議に思いをはせてみたりしました。 「死んだように眠る」という言葉もありますが、眠り続ければそれは死にも近づいてしまう。毎日7時間なり8時間という一定の睡眠をとって目覚め、活動

          睡眠覚醒研究で世界をリードする上田泰己さんによる初の単著!『脳は眠りで大進化する』のエッセンスを先取り。

          梅雨シーズン到来。文春新書、6月の新刊3冊(6月20日発売)をご紹介! 

          こんにちは、編集部の中のひとです。もはや毎年のこととはいえ、6月にしてすでに夏日も多く、今年の夏もまた猛暑になると予想されますね。急な暑さに体が慣れず、体調もイマイチ、ぐっすり眠れないなんていう声もちらほら聞こえてきます。みなさん、ちゃんと眠れているでしょうか?  今月は睡眠にまつわる1冊も。これからの梅雨シーズン、ぜひ読書のおともに、単独でも、あるいはシリーズで手に取っていただけたらという文春新書ベストセラーによる著者の2冊も控えています。文春新書6月のラインナップをご紹介

          梅雨シーズン到来。文春新書、6月の新刊3冊(6月20日発売)をご紹介! 

          奈倉有里さん『ロシア文学の教室』をもっと楽しく読み解くために。

          本書の内容 ウクライナ戦争、さらにパレスチナをめぐる終わらない戦争という非日常が日常化した現実に胸を痛め、これまで読めていた本が読めなくなってしまった、小説をどう読んだらいいかわからなくなってしまったという悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? 大災害や戦争など日常の混乱が大きいとき、そのよすがを誰もが心の内で探している気がします。 ロシア文学と言うと、ロシア・ウクライナ戦争以降、忌避する空気も生まれてしまったかもしれませんが、実に懐深く人生を考えさせてくれる優れ

          奈倉有里さん『ロシア文学の教室』をもっと楽しく読み解くために。

          新緑と読書シーズン到来。5月の文春新書ラインナップ!

          お久しぶりです。文春新書編集部の中の人です。外は新緑がまぶしく、公園にシートを広げて読書なんてのも気持ちがいい季節ですね。とはいえGWも過ぎ去ってしばらく連休もご無沙汰。新年度の新しい環境で本ももう少し読みたいのだけれど、なかなか時間がなくて、そもそも何を買っていいのか読書迷子になっているという人も少なくないかもしれません(それにしても三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めないのか』が売れていますね! これは編集者も無縁でない昨今……このタイトルが刺さるのはよくわかります。

          新緑と読書シーズン到来。5月の文春新書ラインナップ!

          国際女性デーに読んでもらいたい文春新書のご紹介!

          清水晶子『フェミニズムってなんですか?』 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166613618 女性たちが日以上生活の中で、「あれ?」と疑問に思うこと、 何気ない言葉や行為に抵抗を覚えること。 それはフェミニズムのきっかけになります。 「私が我慢すれば」と抑えこんでいた怒りや不満を、 いつかどこかにぶつけたくなるかもしれません。 でも、誰に、どうやってぶつけたらいいのか? それを考えるためのヒントをくれるのが、フェミニズム

          国際女性デーに読んでもらいたい文春新書のご紹介!

          「わたしも憂き世を生きているのだ」“内向的で暗い”イメージの紫式部が『源氏物語』で見せた“名誉挽回”

          紫式部の評判  紫式部は、彰子サロンに軽妙な会話を楽しむような気風がないことをつまらなさの原因だとしているにもかかわらず、あんなにも楽しげな定子サロンを盛り立てた清少納言については、つまらないことを大袈裟に言い立てただけの軽薄な人だと貶める。しかし、そもそも紫式部自身はおもしろい人だったのだろうか。一般的に、清少納言は外交的で明るい性格、紫式部は内向的で暗い性格だというイメージがある。 『枕草子』で清少納言が世を憂う姿は、ほとんどみられない。例外的に「殿などのおはしまさ

          「わたしも憂き世を生きているのだ」“内向的で暗い”イメージの紫式部が『源氏物語』で見せた“名誉挽回”

          2024年2月の文春新書ラインナップ!

          毎月20日発売の文春新書。2月のラインナップ4冊を簡単にご紹介!気になった1冊をぜひお手に取ってみてください。 ①小川寛大『池田大作と創価学会』平和の使者か、俗物か? 誰よりも人の心をつかんだ男の魅力に迫る 日本最大の新宗教、創価学会の池田大作名誉会長が2023年11月15日に95歳で死去した。創価学会内で「永遠の師匠」とされる池田は、さまざまな毀誉褒貶に彩られた人物だった。 赤貧の出身だが、20代後半に創価学会に入信し、1960年に32歳の若さで第3代創価学会会長に就任

          2024年2月の文春新書ラインナップ!

          ウクライナ戦争から2年――ロシア・ウクライナ戦争を振り返るための3冊

          こんばんは。ウクライナにロシアが侵攻した2022年2月24日、ロシア・ウクライナ戦争の始まりから早くも2年が経とうとしています。一刻も早い終戦を願いながらも、まだ戦争の終わりが見えません。 この間、文春新書編集部ではロシア・ウクライナ戦争をめぐる本も何冊か刊行してきました。この戦争の時代にあって、私たちは何を、どう考えたらいいのでしょうか? 国際ニュースをどう見ればいいのでしょうか? 考えあぐねているときに手掛かりになってくれればと、ロシア・ウクライナ戦争を振り返るための文春

          ウクライナ戦争から2年――ロシア・ウクライナ戦争を振り返るための3冊

          編集工学者・松岡正剛と数学者・津田一郎が語り合う「言語の起源の謎」。『初めて語られた科学と生命と言語の秘密』

          「言語の起源」の謎 松岡 世界中の言語はバベルの塔が崩れて以降、各地各様のローカルな言葉が派生してきたわけですが、今日地球上に残っているものでも3000以上の言語があって、数世紀前は1万以上もの言語が林立していたわけです。メインになる言語と「消滅していく言語」との攻防がたえず局地的に繰り返される中で、ではなぜ言語はこんなにもたくさんあるのかということは、あいかわらず謎なんですね。もともとヒトの群れの中で言葉が交わされるようになったころからの謎でしょう。それでも「言語の起源

          編集工学者・松岡正剛と数学者・津田一郎が語り合う「言語の起源の謎」。『初めて語られた科学と生命と言語の秘密』

          なぜ多様性が台湾の“コアな価値観”になりつつあるのか? 台湾はどこへ向かうのか。

          いま、台湾をめぐる国際関係史を書く ――今回の本を書かれるまでの経緯をお話しいただけますか? 家永 私がそもそもパンダや国宝に着目した研究を大学院で始めたきっかけ自体が、中国外交を勉強しようとする中で、台湾をめぐる問題が中国外交にとって極めて重要だと気づいたからなんです。その際に、中国政府の対台湾政策を正面からやるのではなくて、内戦で台湾に逃れた中華民国のことに関心を持って、中華民国史の文脈から戦後の台湾を見てみようと思い、パンダ外交や故宮博物院をめぐる問題を題材にして

          なぜ多様性が台湾の“コアな価値観”になりつつあるのか? 台湾はどこへ向かうのか。

          『光る君へ』をもっと楽しむためのブックガイド+α 紫式部をスカウト。名キュレーターの藤原道長

          古典は現代アートや純文学と同じ、数をこなして見えてくる 木村 現代アートや純文学なども同じですが、古典作品の狙いや面白さというものは、ある程度数をこなさないと見えてこないんです。多くの作品を鑑賞することで文脈がわかり、面白さがわかってくる。だから、私は『源氏物語』はいまがいちばん面白いです。若いときはあまりに高い山で、自分が何合目を登っているのかもわからず、下ばかり向いて必死に登っていた感じでした。『源氏物語』研究はとにかく歴史が厚いので、有名な人たちがすべてを語り尽くし

          『光る君へ』をもっと楽しむためのブックガイド+α 紫式部をスカウト。名キュレーターの藤原道長

          紫式部は世紀の天才! 悲しい思いをさせるより実直な男がいい?人生というもの深く問いかける『源氏物語』を読まない手はない

          ――『源氏物語』の物語世界と、『源氏物語』が描かれた平安宮廷社会とを行き来しながら『源氏物語』の書かれた平安時代を立体的に描き出すような冴えわたった筆致で、読み応え満点の仕上がりですね。摂関政治という色好みが力をもった時代の複雑な面白さというものも、存分に書かれていると思いました。そこでは男たちの権力闘争と女性たちをめぐる性愛の関係が表裏一体になっています。まさに木村さんが長年書かれてきた〈性と権力〉という切り口そのものですよね。 木村 摂関政治の時代、面白いんですよね。

          紫式部は世紀の天才! 悲しい思いをさせるより実直な男がいい?人生というもの深く問いかける『源氏物語』を読まない手はない