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新緑と読書シーズン到来。5月の文春新書ラインナップ!

お久しぶりです。文春新書編集部の中の人です。外は新緑がまぶしく、公園にシートを広げて読書なんてのも気持ちがいい季節ですね。とはいえGWも過ぎ去ってしばらく連休もご無沙汰。新年度の新しい環境で本ももう少し読みたいのだけれど、なかなか時間がなくて、そもそも何を買っていいのか読書迷子になっているという人も少なくないかもしれません(それにしても三宅香帆さん『なぜ働いていると本が読めないのか』が売れていますね! これは編集者も無縁でない昨今……このタイトルが刺さるのはよくわかります。お金よりも時間が足りないという切実な社会人の悩みが伝わってくるようです)。

と若干の前置きののち、発売になって1週間あまりの文春新書5月のラインナップをご紹介します。まずは読み物から、そして時事問題の理解を補ってくれる3冊を。


①奈倉有里『ロシア文学の教室』

ノーベル賞作家であるアレクシェーヴィチの翻訳をはじめとするロシア文学の翻訳者であり文学者、さらにはエッセイストとしても活躍されている奈倉有里さんによる、青春小説にして異色のロシア文学入門書ともいえる1冊です。奈倉さんには『夕暮れに夜明けの歌を』というロシアで文学を学ばれた時代のメモアールを綴られた素晴らしい随筆集があるのですが、そちらに出てくる先生をモデルにした枚下(まいした)先生が『ロシア文学の教室』にも登場! 

ゴーゴリ、プーシキン、チェーホフ、ドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフら19世紀文学作品の中へ、2022年の都内のとある大学の教室からワープ。その世界にどっぷり没入する「体験型」授業が待っています。本書の裏テーマは”愛”。小説仕立ての本作の行方を見届けつつ、文学史も学べてしまうユニークな書なのです。ぜひ、我を忘れて小説の世界に没入するときの感覚そのままに、その世界に身をゆだねていただけたらと思います。

②甚野博則『実録ルポ 介護の裏』

「うちはまだまだ大丈夫」「いざとなれば何とかなる」
現実から目をそらし続けてきた筆者のもとに、突如降りかかってきた母親の介護問題。
なぜ介護の仕組みはこれほど複雑なのか? なぜこんなにお金がかかるのか?一体誰が得をして、誰が損をしているのか?
元「週刊文春」記者でフリーノンフィクションライターの著者が制度について一から調べ、全国の現場を訪ね歩き、その深くて暗い業界の「裏側」を徹底ルポ。

2000年の介護保険開始以降、自己負担割合の引き上げが幾度となく行われ、徴収額が増加している保険料。その一方、介護現場を支える介護職は減少の一途を辿り、すでに日本の介護制度は崩壊し始めていると言えるのだ。介護を巡る日本の現状は「安心」とはほど遠く、むしろ危機的な状態にある。誰もが無縁でいられない介護現場のリアルを伝えてくれる一冊です。


③久田将義『特殊詐欺と連続強盗 変異する組織と手口』

ワルとカネはこんなに変わった!

イの司令部は海外にあった――。
世間をにぎわし続けている特殊詐欺や集団強盗事件、その手口は日に日に高度化しているようにみえる。ニュースで聞かない日はないというほどその増加が肌身で実感できる「特殊詐欺」と「連続強盗」。本書は、「ワルとカネのクロニクル」をテーマに、80年代からのマネーをめぐる犯罪の流れを描き出す。
キーワードは、現ナマ重視の「デフレ犯罪」、「ファスト(拙速)犯罪」、「テクノロジーの進歩とグローバル化」。

④岩澤倫彦『がん「エセ医療」の罠』

日本のがん医療には、「無法地帯」というべき闇がある。
「がんが劇的に消えた!」
「骨転移があっても効いた!」
「ステージ4でも諦めない!」
このような謳い文句を使い、がん患者に奇跡的な治療効果を期待させて莫大な費用を取る、自由診療のがん治療のことだ。
まるで最新の医療テクノロジーを駆使した、特別な治療であるかのように見えるが、実際は、現代医療に必須のエビデンス(科学的な根拠)が存在しない。しかし、規制する法律がないために、モラルを欠いた一部の医者が、命の瀬戸際に追い込まれたがん患者を相手に、荒稼ぎしている。
がん医療の裏側に広がる闇を知らない患者は、エセ医療の罠にかかり、適切な治療を受ける機会を逃し、治る見込みもない無駄な治療に貴重な残された時間と大金を費やす。
これまで闇の中にあった「がんエセ医療」の実態を徹底取材で明らかにする。


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