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奈倉有里さん『ロシア文学の教室』をもっと楽しく読み解くために。


本書の内容

ウクライナ戦争、さらにパレスチナをめぐる終わらない戦争という非日常が日常化した現実に胸を痛め、これまで読めていた本が読めなくなってしまった、小説をどう読んだらいいかわからなくなってしまったという悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? 大災害や戦争など日常の混乱が大きいとき、そのよすがを誰もが心の内で探している気がします。
ロシア文学と言うと、ロシア・ウクライナ戦争以降、忌避する空気も生まれてしまったかもしれませんが、実に懐深く人生を考えさせてくれる優れた作家がたくさんいますね。今だからこそ正面から愛とは何か?社会とは何か?と問うてみたい。小説に夢中になる時に思わず自分の輪郭が現実から離れて別世界に溶け込んでいくそのさまを描きたい、とロシア文学者・翻訳者でありエッセイストである奈倉有里さんが書かれた本書をぜひ手に取ってみてください!
388ページとボリューミーですが、我を忘れる時間をお約束します。

著者プロフィール

奈倉 有里(ナグラ ユリ)
1982年東京都生まれ。ロシア文学研究者、翻訳者。ロシア国立ゴーリキー文学大学を日本人として初めて卒業。著書『夕暮れに夜明けの歌を』(イースト・プレス)で第32回紫式部文学賞受賞、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』(未知谷)などで第44回サントリー学芸賞受賞。訳書に『亜鉛の少年たち』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著、岩波書店、日本翻訳家協会賞・翻訳特別賞受賞)『赤い十字』(サーシャ・フィリペンコ著、集英社)ほか多数。

本書の構成

本書は2022年の都内のある大学の教室が舞台。枚下先生というロシア文学の先生の魔法のような講義に導かれ、気づけば3人の学生とともに19世紀ロシア文学の作品の中へワープします。
全12講のラインナップは下記の通り。
どうでしょう、ドストエフスキーにこんな作品があったなんて、とか、ガルシン、ゲルツェンなど名前を聞くのも初めてという方もいらっしゃるでしょうか?

第1講 大通りの幻
   ニコライ・ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
第2講 仄暗い森のなか
   アレクサンドル・プーシキン『盗賊の兄弟』と抒情詩
第3講 孤独な心のひらきかた
   フョードル・ドストエフスキー『白夜』
第4講 距離を越える声
   アレクサンドル・ゲルツェン『向こう岸から』
第5講 悪魔とロマンティック
   ミハイル・レーモンルトフ『悪魔』
第6講 布団から出たくない
   イワン・ゴンチャロフ『オブローモフ』
第7講 恋にめちゃくちゃ弱いニヒリスト
   イワン・ツルゲーネフ『父と子』
第8講 土埃に舞う問い
   ニコライ・ネクラ―ソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
第9講 やり直しのないこの世界
   アントン・チェーホフ『初期短編集』
第10講 心の声の多声
    マクシム・ゴーリキー『どん底』
第11講 温室の夢
    フセーヴォロド・ガルシン「アッタレーア・プリンケプス」
第12講 よみがえるときまで
    レフ・トルストイ『復活』

ポッドキャスト


奈倉有里さんご本人に担当編集者が執筆の舞台裏を伺っています。連載の時にはなかった数々の註(筒井康隆さん『文学部唯野教授』へのオマージュ)や、12作品をどう選んだのか、ウクライナ戦争が始まってから本書を書かれるまでに考えられたこと、などなどお聴きください♪


https://podcasters.spotify.com/pod/show/hon-web/episodes/5-e2k2b58/a-aba18rm

イベントのご案内

6/30(日)に青山ブックセンターにて奈倉有里さんによる1日限りの「ロシア文学の教室」を開講いたします! ご本人によるロシア文学講義を受けられる1日限りのスペシャル企画。ぜひご参加ください。詳細はこちらから☞



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