見出し画像

久しぶりに視聴したら、思っていたよりずっと心に沁みた『続・最後から二番目の恋』

正直に言うとseason1の方が印象深かったので、TVerで『続・最後から二番目の恋』が配信されてからも「時間があったら観よう」程度に考えていた。

ところが、ひとたび観はじめると止まらない。結局最終回まで視聴してしまった。ああ、もう働きたくない。ずっと家でドラマ三昧していたい……(病的になってきました 笑)。

まあそれはさておき。

当時は主人公・千明と和平のコミカルな会話劇を楽しみとしており、その続編とあって楽しみの中心は二人の空気感だったのだと思う。そのせいか、配信で観なおしたらこぼれ落ちてしまっていた台詞や展開があり、少々面食らってしまった。見ているようで見ていないのだなあ。

特に第8話と第9話。
(ここからは少々ネタバレ気味なので、要注意)


第8話では、和平の妹で脚本家としての一歩を踏み出していた万理子が、千明の勤務するテレビ局が社運をかけて制作する映画の脚本家に抜擢される。千明は喜んで万理子に伝えるのだが……という展開。その後万理子は、再び部屋に引きこもってしまう。

人は、前に進むことが正しいこと、その人にとって幸せなことだと錯覚しがちだ。でも、当の本人にしかわからない幸せの形だってたくさんある。もちろん法を犯さないことを前提としてだけれど。万理子にとっての幸せは何か。彼女が自分の口で語り、それを家族や千明が理解し尊重する姿。自分の価値観で万理子を説得しようとしたことを謝る千明に、なんだかもう惚れ惚れするのだった。年齢は十分大人の私だが、あんな大人になりたい。また万理子を通して、自身がどう生きていきたいかを人に伝えるって大事だと改めて思った。

そして第9話。

千明は小学校の同級生と数十年ぶりに再会し喜ぶのだが、彼の思惑は別のもの(いわゆる営業というやつ)だったという展開。好きなことをやるために努力してきたのに、「有名テレビ局で働き、好きなことやって、お金もあって、独身で気楽な人」と、田舎では思われている。そう思われている悲しさというより腹立たしさを、「偶然を装うみたいなことせずに、助けてほしいなら助けてほしいって言えばいいじゃん」と、彼にぶつけてしまった千明。その夜、泣きながら謝罪の電話をしてきた同級生。

そんな出来事を誰かに聞いてほしい。女友達には話したけど、それでも気分は落ち込んだまま。ふと思い浮かんだのが和平の顔だった。飲み明かすうちに、泣かない女が初めて男の前で泣いてしまう。和平におんぶされて帰る千明の表情が、安心しきった子どもみたいだ。ここだけは覚えていたが、なぜそういう展開になったのかすっぽり抜けていた。うそー。今なら絶対覚えているのに。

さらに9話から最終回にかけては、さりげなく差し込まれている和平と娘・えりなのやり取りにも涙腺が緩む。当時まだ主人公たちより年齢が下だったからだろうか、そんなに印象がなかったシーンだ。

それにしても、情報や流行りすたりがあっという間の昨今で、10年近く前のドラマなのに色褪せていないのがすごい。個人的には9話あたりの二人の関係で終わってもよかったんだけど、最終回で将来を約束し合った(一応)千明と和平のその後を、またドラマで観てみたい願望が押し寄せてきた。

いや、でもやっぱりこのままで。彼らはきっと、今もにぎやかに暮らしているはずだ。いいドラマは、大抵登場人物たちがどこかでずっと生きていると思わせてくれる。その余韻は大事にしたい。

※ところで、美保純さんが演じる知美の母・秀子と浅野和之さんが演じる典子の夫・広行は、断然続編の方がおもしろいです(笑)。そして同性をイラッとさせる薫子(ハセキョー)も、なかなかのインパクトです。

『最後から二番目の恋』について書いたnoteはこちら。


#テレビドラマ感想文 #おすすめ名作ドラマ #最後から二番目の恋 #小泉今日子 #中井貴一 #ドラマレビュー #好きなドラマ #俳優 #エンターテイメント #コラム

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

おすすめ名作ドラマ

記事を読んでくださり、ありがとうございます。世の中のすき間で生きているので、励みになります! サポートは、ドラマ&映画の感想を書くために使わせていただきます。