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俳優陣の度量に感涙した、未来に続く物語『おカネの切れ目が恋のはじまり』。

まだ観ていない方、辛いという方は、このままスルーしてください。(以下、ドラマ内容を含みます)


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続々と新ドラマが始まる秋。でも、このドラマのことを書かずに進めるかというと、そう器用でもなく。

初回放送前日までは、「いろいろ気持ちがうごめくかもしれないから、録画していつか観よう」と思っていた。だけど、なぜかその日に「観たい。絶対観る」と決めるようなできごとがあって。それで、全4話をリアルタイムで視聴することにした。


第1話から3話まで、こんなに楽しんでいいのか?と思うぐらい笑った。ドラマの世界に入り込んでしまった自分にビックリだわ。

もともと、脚本は『凪のお暇』を手がけた大島里美さんのオリジナルだから面白いだろうと予想はしていたけれど。松岡茉優さんが演じる主人公・九鬼玲子は清貧女子、三浦春馬さんが演じる猿渡慶太は浪費男子。化学反応を起こしたらどんなおもしろい話になるか、と期待値は大きかった。

しかし実は、このドラマが次の火曜ドラマだと最初にアナウンスがあったとき、「えーっ、三浦春馬がテレビドラマでラブコメをやるの!?しかも浪費男子!?」と驚きの方が大きかった。なぜなら、彼がメインで出演した過去のテレビドラマは独特の世界観のものが多く、且つ、彼はテレビドラマより舞台や映画メインでやっていくのだろうと勝手に思っていたから。

だから、どんなドラマになるのか興味津々でオンエアを待っていたのだ、あの日まで。

撮影が終わっていたのは8話のうち3話分、そして第4話の分が少しだったと知り、お蔵入りになるのかと。でも……。当初の予定とは違うであろう最終話になったとはいえ、全4話で放送された。関わった俳優さんや制作の方々の「世に送り届けたい」気持ちが、映像からも伝わってきた。

ともすると「イケ好かない金持ちのお坊ちゃん」に見えかねない慶太を、彼は、「若干遊び人風でチャラいけど内面から出てしまう品の良さと純粋ゆえの可愛さ」を表現しながら、憎めなくて人懐こい浪費男子を演じ切った。

最終話、彼が回想シーン以外で登場するのは冒頭のみ。玲子に小鳥キス(←こう表現した人すごい!)をしてしまい、眠りが浅くなるシーンだ。その後、彼の新たな映像がないまま物語は進んだ。

でもエンディングまで、画面にはずっと慶太の気配があった。彼が出ずっぱりのように感じたのは私だけではないはず。俳優さん、制作の方々の見事な連携プレー。もちろん慶太のペットロボット・猿彦も。目をウルウルさせる猿彦が慶太に見えたのも、たぶん私だけではないはずだ。

松岡さんの、その先の物語を連想させる最後の表情も素晴らしかったけれど、ベテラン勢のお三方、慶太の父役・草刈正雄さん、母役・キムラ緑子さん(余談だけど、緑子さん演じる猿渡奈々子の父・初代社長の写真、緑子さんの目を合成して作った?気になるー)、玲子の母役・南果歩さんのシーンにもやられた。子を思う親の本心と深い愛。それはそのまま三浦さんへのメッセージにも聞こえた。特に緑子さんが「ママはいつだって、慶ちゃんの一番のファンだからね」と、不在の慶太の上着を撫でながらやさしく語りかける台詞には、図らずも泣いてしまった。「人間は完璧には生きられない。ほころびがあっていいんだよ」と頭を撫でられたようで。

俳優の皆さんが、この最終話をどんな気持ちで演じ切ったのかを想像しても、私にはわかり得ないことがたくさんあるだろう。自分は、ドラマの受け手(視聴者)であるだけだから。けれど、改めて俳優という職業の力強さを体感し、エンターテイメント最高!と思ってしまったので、これからも私はドラマを観続ける。

彼の新しい映像は公開前の映画を残すのみだ。でも生の証は幾多もある。私はただのドラマ好き&癒しのせかほし好きで、いわゆる「推し」として彼を見ていたわけではない。でもこの3ヵ月、知らなかった一面に触れる機会が多く、その魅力に取りつかれそうになっている。

本人にしかわからないことを知る権利なんて自分にはないし、あれこれ勘ぐることばより「私の推し、魅力すごいでしょ? あなた今ごろ気づいたの?」と、”スキスキ”を惜しげもなく語るファンのことばの方がずっと説得力があり、ハッピーにも辛さにも寄り添える気がする。だから、彼の魅力を発信して教えてくれる人が増えたらうれしい。



三浦春馬さん、あなたのことはずっと忘れません。

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