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深まる権力闘争と突然の別れ/大河ドラマ『光る君へ』第38回・第39回

彰子に懐く敦康親王に、光源氏を重ねて焦る道長。観ている私もちょっと不安になったが、まひろの紡ぐ物語に感化され過ぎでは? と思っていた。ところが、第39回の成長著しい(←もはや大河の定番)親王を見せられたら、道長と同じように「あ……、これはアカンやつかも」と感じてしまった。「わが孫を東宮に」という道長の気持ちに拍車をかける脚本。またまたひとり唸る。

(以下、ドラマの内容を含みます)

第38回の伊周は凄まじかった。誰かに呪いをかけることは、同時に自分の心身を破壊する行為でもある。道長より若いはずの伊周が、心に棲みついた怨念という化け物によってすっかり老け込み、負のオーラ全開。それでも敦康親王の行く末を案じ、呪う相手に頭を下げる伊周。しつこいけど、気のふれたイッちゃってる役をすると輝く三浦翔平くん。

目の前で伊周に呪詛され、呆然とする道長と偶然目があったまひろ。道長が背負う政の道が、どれだけいばらの道であるかを理解したようだったが、自分の願いが三郎(道長)にとって重い重い十字架になっているかは、まだ分かっていない気がする。

道長は、孫である敦成親王を東宮にすることを「家の繁栄のためではない。成すべきは、揺るぎない力をもって民のためにまつりごとを行うこと」と、息子の頼通に説く。自分は父・兼家とは違う。正しい世にするために権力を持つのだ。決して家のためではない。本人はそう信じて疑わない。だが、少なくとも敦成親王が彰子の子でなかったら、そんなことは考えなかったのではないか。

それにしても、最近の道長@佑は目つきがずいぶんワルになってきた(笑)。一方のまひろは貫禄が増した。中宮・彰子に漢詩を教えていることもあって、彼女の妹で居貞親王に嫁ぐ研子にも意見。が、研子は即座に機嫌を損ねる。この道長の次女について史実を調べたら、父親の権力闘争に翻弄された生涯だったようだ。道長と家族との関係は、いまだ微妙なところ。倫子に、「男はどこに婿入りするかで人生が決まる。本人の意思など関係ない」と語った道長くん。「倫子には全然興味がなかった」と言っているようなもので、まったく鈍感な男である。「賢子は君の娘だよー」と、宣孝やまひろにヒントを出されても気づいていない(たぶん)し。これは直接誰かが言わないと、気づかないまま一生を終えそうじゃないの。誰か教えてあげて! てっきり、あの場で惟規が教えるのかと思った。

幸せと不幸せを行ったり来たりしてきた為時家族。ムードメーカーの惟規、突然の退場に愕然とする。ちやはを失って以来、根暗な(ききょう@ウイカさまの藤式部&源氏物語批評、そして本心を訴える顔つき、最高だった!)姉や不遇の父を明るく照らしてきた惟規。その死は家族ばかりでなく、視聴し続けてきた人間にもかなり堪える。昇進した惟規と乳母・いとの抱擁に泣かされた数分後に、いとの慟哭に泣かされるとは……。そして弟の死に嗚咽する生身のまひろを見て、はじめて優しい態度を取る賢子。親子関係に悩むまひろを励ました惟規が、自らの死をもって親子の雪解けをアシストすることになってしまった。次回から、誰がこの家族を照らすのだろう? そして一条天皇の体調不良という不穏な空気。権力闘争が激しくなる気配がムンムンで、物語は新たな局面を迎えそうだ。個人的には、胃の痛む仕事ばかり負わされる行成が非常に心配。がんばれ、行成。

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(最近のこと)
すっかり朝晩涼しくなって秋めいてきたと思っていたのに、近ごろまた最高気温が31度なんて日が続いており、扇風機をしまうことも衣替えもできないまま10月の半ばを過ぎてしまいました。そういえば、この辺りではまだ金木犀の香りが漂ってきません。あと2ヵ月半で2024年が終わるなんて……早い、早すぎる。確か私(牡牛座A型)、水晶玉子さんの例のやつで2024年最強の運勢だったはずなんですが(笑)。


昨日、西田敏行さんがお亡くなりになったというニュースが流れてきました。今でも信じられない思いです。さまざまな作品の西田さんを思い出しますが、私は『釣りバカ日誌』が大好きで、とてもとても大きな存在でした。シリーズを最初からまた観たいと思っています。

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