これで丸わかり!世界が注目するブルガリアワインのヒミツ
ワイン生産に適したブルガリアの風土
ぶどう栽培に適した肥沃な土壌と温暖な気候。東欧・バルカン半島に位置するブルガリアは、北はドナウ川に沿ってルーマニアに接し、東は黒海に面している。南はトルコ・ギリシャに、西は北マケドニア・セルビアに接しています。
気候は温暖で大陸性と地中海性気候の境にあります。
山地が多くアドリア海やエーゲ海の海風の影響を防ぎ、また西風が黒海の影響を減らしています。
これらの影響で同緯度にあるフランス南部やイタリア中部よりいくらか涼しくなっており、
土壌は黒褐色の粘土質が多く、ブドウ栽培に適した肥沃な土地であります。
ブルガリアのワイン産地は 5 地域に分けられています。
北のドナウ平原、南西のストウルマ・ヴァレー、バルカン山麓中央部のローズヴァレー、南のトラキア平原、東の黒海沿岸等です。
気候的にバルカン山脈以北は白ワインの産地として、またバルカン山脈の以南は赤ワインの多い産地の傾向になっています。
地ブドウの品種は
Misket ミスケット(白)
Mavrud マブレッド(赤)
Gamza ガムザ(赤)
などが有名です。
外来種としては赤のカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、ピノノアール、シラー。
また白ではシャルドネ、ムスカット・オットネル、ソーヴィニョン・ブラン、リースリング、ヴィオニエなどが栽培されています。
ブドウ栽培面積は、約 86 万ヘクタールで、ドイツの約 100万ヘクタールより僅かに少ない。
生産割合は白ワインが 40%、赤ワインが 60%。
民主化後の1992年に国営のワイン醸造企業から民営化した大規模なワイナリーが出現し、更に家族経営による高品質・少量生産のブティックワイナリーも設立されました。
2007年にEU 加盟後ワイン醸造設備は、更に急速に進歩しています。
高級ワインの醸造は、フランスのボルドーやブルゴーニュとほとんど同じ方法で造られています。
白も赤もアルコール発酵の後にマロラクチック発酵を行い、小型オーク樽で熟成されます。
マロラクチック発酵はワイン中のリンゴ酸を乳酸菌によって乳酸に変える方法で、酸味が柔らかくなり、香りも高まります。
また、ブドウ果実中の糖分を高めるために、イタリアのアマローネ・ヴァルボリチェッツラのように約 3ヶ月間室内の棚で乾燥させる方法も行われています。
発効後の瓶詰は、ドイツのワイナリーでしばしば見られるような、低温(15 -20℃)で無菌濾紙を用いて濾過したワインを無菌室で瓶詰めする方法(低温無菌濾過)も行われています。
醸造されたワインの60%以上が、ロシア・ポーランド・北欧・英国・ドイツ・アメリカなどの約70ヶ国以上に輸出されています。
輸出ワインの中で瓶詰めが80%で、バルク(150 リッター以上の容器入り) ワインは20%です。
日本へのバルクワインの輸出量はドイツと共に多いが、瓶詰ワインは品質の高さとコストパフォーマンスの良さもあり、日本への輸出は急速に上昇中です。
また、ワインの他にもラキア(ブランデー)がつくられています。
ラキアは主にブドウの搾りかすを蒸留したもので、樽熟タイプと熟成させないタイプがあります。
樽熟タイプはオーク樽で熟成させるので、褐色で良い樽香があります。
樽熟させないタイプは、ブドウの果皮の香り高いミスケット系の場合が多く無色透明です。
アルコール度数は40%以上と定められている。食事中に良く飲まれています。
ブルガリアワインの歴史
ワイン生産国としてブルガリア、特にギリシャ北東部の古代トラキア地方のワインの歴史は非常に古く4千年から6千年以前からである。また現在では最新のワイン醸造技術を持つ国でもあります。
考古学による調査で、ブルガリアの古い修道院所有の地下セラーは、世界最古のワインセラーとして使われていたことが報告されています。
それ以来、ワインセラーは古代ブルガリア人(トラキア人)の創造によるものとして評価されています。
古代のトラキア人は、更にワイン醸造を黒海沿岸のギリシャ都市にまで普及させました。
このトラキアの古代ワイン文化は繁栄しながら、ギリシャのワイン文化にも影響しています。
トラキアのワインの神 ZAGREUS(ザグレウス)は、後のギリシャ神話でディオニソス(バッカス)と呼ばれるようになります。
オスマン時代に培われたワイン発展の醸造技術と経営
古代ローマ時代に、白ワインは黒海沿岸地方で主流であった。14 世紀後半頃からオスマンに支配され、繁栄してきたワイン醸造は衰退したが、キリスト教の祭事には大切との事で生き残りました。
1878年にオスマンからの解放で、この国のワイン醸造は次第に回復していくが、19世紀の終わりにブドウの害虫フィロキセラにより、再びワインの生産量は減少しました。
その後フィロキセラに抵抗性のある台木でブドウ栽培は復活し、当時の醸造規模は小さく、また国内向けの普通品質のワインのみがつくられていました。
しかし、その頃に経験した醸造と経営は後にワイン発展の基本となりました。
ワイン産業の統括で東欧のワイン生産国となる
1950年代に東欧のワイン生産国としてブドウ栽培・ワイン醸造組合が組織され、国営のワイン栽培・醸造・販売公社 VINPROM(ヴィンプロム)は、ブルガリアのワイン産業を統括しました。
1960 年後半から 1970年にかけて、カリフォルニア大学のアメリン教授が最新の醸造技術を指導しました。
当時のブルガリアはコメコン(旧ソ連中心の経済相互協力機構)のワイン供給国として重要な役割を演じました。
このコメコンの初期段階では、赤ワインの需要が多くさらに樽熟した高品質赤ワインの需要も増加しました。
それに甘口白ワインや発泡性ワインの製造に必要なステンレスタンクなども設置されるようになりました。
ワインの品質を世界レベルに高めた民営化
1970年代後半にはヴィンプロムの輸出部であるヴィンペニックス(VINIMPEX)は、世界のワイン消費各国に安値で高品質のワインを輸出するようになりました。
輸出は瓶詰め以外にバルク(150リッター以上の容器)も行われました。
1990年代に社会主義国家の崩壊によって、国有企業のヴィンプロンは民営化されました。
1996年代の初めまでは民営化に時間がかかり、ゆっくりとした発展でしたが、UDF(民主連合)が1996年の10月に勝利すると民営化の勢いは速度を増してきました。
これによって、土地や多くのワイナリーは元の所有者に返還され、民営化と販売体制が整備されました。
国営ではない、民営会社所有の優れたブルガリアワインは好評を得て、今や西欧や世界市場に進出しています。
1980年代にアメリカや日本などへの輸出によって、ブルガリアは高品質で価格も手頃なワインの生産国として注目されてきました。
さらにEU加盟後は西ヨーロッパやアメリカとの交流が増す中で、著名なフランスの醸造家ミシェル・ローランなどのアドバイスや最近では多数の若手がフランスやカリフォルニアなどで醸造技術を学んで帰国し、ブルガリアの洗練されたワイン醸造に貢献しています。
進化し続けるブルガリアワインに世界が注目
この国の北部の気候は涼しい冬と暑い夏が特徴的です。
一方、南部の気候は黒海と地中海の影響により穏やかです。
ローカル丘陵地は理想的な微気象が、最高品質のブドウを成長させるために非常に適した良質の土壌と組み合わさっています。
土着のブドウ品種のみならずフランスやドイツの高級ブドウも栽培されてきました。
またブドウ生育期の天候は良好で、ブドウ栽培に有害な病原菌の被害は少ない。
さらに日照時間や土壌の条件も良い。
現在栽培されているブドウ品種は固有の白ではミスケット、赤ではガムザ、マブルッドなどがあります。
外来品種としては赤のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノノアール、白ではムスカットオットネル、リースリング、ソービニヨンブラン、ユニブラン、ヴィオニエ、トラミネールなどが栽培され、それぞれ好評を得ています。
醸造方法の改善では、回転式のステンレスタンクや樽もあり合理的な醸造が行われています。
瓶詰め方式も火入れ殺菌ではなく、低音無菌濾過瓶詰めが多くなっています。
ブルガリア第二の都市プロブディフには最も有名なワイン醸造研究所があります。
この研究所がブルガリアワインの品質向上を応援しています。
優良ワイナリーの例ではZagreus,Villa Melnik,Edogard,Mirogllio,Yambol,Burgozoneなどがあります。
この国のワイン醸造の進展とワイン輸出の未来は明るい。
何世紀もの古い伝統と巨大な自然の潜在力と相まってこの傾向は実を結びつつあります。
なお、ブルガリアで生産されたワインの約80%が輸出されています。
ブルガリアワインは現在中国、日本、西ヨーロッパ、米国、カナダなどの消費者の間で人気が上昇してきています。
2013年ブルガリアワインの日本への輸入量が瓶詰ワインの14万7千リッター以上、バルクワイン(150リッター越えの容器)は、約12万8千リッターで年々増加傾向になっています。
ブルガリアワインの産地
ブルガリアワインの産地は5つの地域に分けられています。
1.ドナウ河流沿い平原地域(Danubian Plain北部ブルガリア)
北部のこの地域の気候は大陸性で、ドナウ川平原の夏はかなり暑いが、晴れた快適な日が多く、7月の気温が平均で21-24℃です。
冬の寒さは厳しくブドウの木が凍りそうな日もあります。
ブドウの品種は在来品種で白の甘口のマスカットオットネル、赤のギャムザやパミド。
また、フランス系品種のカベルネソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネ、ソービニヨンブラン、アリゴテやその他にも外来系のリースリングなどがあります。
またシャンパンと同じ製法(瓶内二次発酵)によるスパークリングワインも製造されています。
2.ストゥルマ・ヴァレー地域(Struma Valley)南西部
ブルガリアの南西部にあるストゥルマ川のヴァレー地域は小さいが、気候は非常に地中海の影響を受けています。
地元の固有品種のシロカ・メルニシカ・ロザ(Shiroka Mernishika Loza)からは、フルボディの風味と赤のルビー色が好評で、熟成すると異国的な風味のワインになります。
またカベルネソーヴィニヨンやメルローは、ストゥルマ川に沿って栽培されています。
3.ローズ・ヴァリー地域(Rose Valley)
バルカン山脈中部の南斜面にあるローズヴァリー(バラの谷)地域は東部と西部の地区に分けられます。
栽培されている主な品種は、ミスケット、リースリング、ルカチテリ、カベルネソーヴィニヨン、メルロなどがあります。
この地域の白ワインは辛口とやや甘口、赤は辛口です。
また、ブルガリア固有の赤ブドウのレッドミスケットから得られるワインの色調は麦わら黄色で心地よいミスケット香があります。
酸味が少なめなので、他の白品種とブレンドされています。
Sungurlare Valley産のミスケットは有名です。
4.トラキア平野地域(Trakia Plain)南部
バルカン山脈はロシアの平原から吹く冷たい風を防ぎ、この山脈の南にあるマリツァ川ヴァレーは、地中海性の穏やかな気候です。
雨の多い冬は暖かく、夏は乾燥しています。
ブルガリア南部のトラキア地域のブドウの生育期には適量な降水量があります。
7月の平均気温は、23-24℃で、年間降水量は約650mlです。
サカール山地の山麓やトラキア低地が含まれています。
ここには高品質のブルガリア固有の赤マブルッドやフランス系のメルロー、カベルネソーヴィニヨン等のワインを生産しています。
マブルッドはフランスのシラーの様なスパイシーで赤い果実ブラックベリーのような優雅な香りと風味があります。
また、マスカットやパミドなども栽培されています。
5.黒海沿岸地域(Black Sea Coast)東部
東部ブルガリア地域は三つの地区を含みます。
秋の気候は温暖で半辛口に白ワインを造るためのブドウの糖分を豊かにさせます。
広く栽培されている品種はマスカットオットネル、ディミアッタ、シャルドネ、ウニブラン、トラミネール、それに素晴らしい香りのするソービニヨンブランがあります。
白は一般に新鮮でフルーティな心地よい香りと豊かな風味があります。
また素晴らしい辛口や、やや甘口の白ワインもあります。
ブルガリアのブドウ品種(在来種)
ガムザ:赤品種(GAMZA)
ガムザは、古くからブルガリア北部で栽培されています。
ハンガリー、スロバキア、フランス、ルーマニア、セルビア、オーストリア、トルコではカダルカ(KADARKA)と呼ばれます。
最近まで北部で栽培されていた基本的な品種でした。
ガムザのブドウの収穫期は9月下旬から10月初旬で、熟期はやや遅い。
収穫期の糖分は19-22%以上に達します。
秋の天候が乾燥して暖かい年は、この赤ワインはかなり濃いルビー色になります。
4-5年の熟成で風味は向上します。
マブルッド:赤品種(MAVRUD)
マブルッドは古くからブルガリアだけで栽培されている赤品種です。
このブドウはパザルジック地区、スタラザゴラ地区、プロヴィディフ地区などで多く栽培されています。
マブルッドはやや晩熟のブドウでプロブディフ地域では10月初旬に熟します。
冬の気候があまり下がらない温暖な気候を好み、また沖積土壌が最も栽培に適しています。
マブルッドはブルガリアの在来品種として最も高貴な赤ワインになります。、
その香りや風味は、フランスはローヌの品種シラーに似ています。
このワインの色調は深いルビー色で豊かな酸味と心地よいタンニンが十分あり、香りにブラックベリーの様な心地良い風味があります。
さらにオーク材で樽熟させるとボルドーのポムロール地区の様な香りの複雑な高貴な風味になります。
ミスケット・シェルヴァン:白品種(MISKET SHERVAN)
この品種は古くからブルガリアで栽培されています。
これは主にサブバルカン渓谷、スドレナゴラ、サングラレヴァレー、カルロボなどでも栽培されています。
在来品種の中では最も霧に強い品種で、また多くの外国品種よりも寒さに強い。
ブドウの果皮は薄い赤色だが、ワインの色調は麦わら黄色で、調和のとれた味と心地良い風味の白ワインとなります。
ディミアッタやイタリアンリースリングなどとブレンドされた有名な白の辛口ワインユキシノグラードの銘柄ワインが造られています。
パミド:赤品種(PAMID)
この品種は古代トラキア時代から栽培されている非常に古い品種です。
かつてはブルガリアで最も広く栽培されていました。
今日の栽培では非常に限られています。
またかつてのユーゴスラビア共和国、アルバニア、トルコ、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニアなどで栽培されています。
パミドは樹勢が強い中期熟成種で収穫期は9月中旬ごろです。
日当たりの良い丘陵地が適しています。
このブドウから得られる高品質なワインは酸味が少ないので長期熟成には適さず、新鮮な内の消費に適したワインです。
シロカ メルニシカ ロザ:赤品種(SHIROKA MELNISHKA LOZA)
この品種はブルガリア南西部のメルニック地区のみで古来から栽培されてきた地方品種です。
ブラゴエフグラード地区のサンダンスキー、メルニック、ペトリッチ等の町の周辺に限定されています。
このブドウは四季を通じて温暖で特に暑い夏と長い秋に適した品種です。
ブドウの収穫は、10月初旬です。
ワインの色調はブラックチェリーの様な濃いルビーで、酸味も十分で風味は大変良い。
さらに樽熟により、豊かで複雑な風味になります。
ブルガリアのブドウ品種(国際品種)
カベルネソーヴィニヨン:赤品種
これは、フランスはボルドーの有名な品種の高級品種で、ブルガリアでの栽培は拡大中です。
世界の葡萄畑の約10%はこの品種です。
現在カリフォルニア・チリ・オーストラリア・ニュージーランドなどでも普及しています。
このブドウの収穫期は温暖地では9月下旬に熟します。
ブラックベリーや桑の実などの香りがあり、色調は濃い赤紫色のガーネットです。
ワインの酸もタンニンも豊かで力強く、オーク樽で熟成させるとチョコレート・シナモン・スパイス・胡椒・バニラなどの混ざった素晴らしい円熟した優雅で高貴な風味に変わります。
メルロー:赤品種
この品種もカベルネソーヴィニヨンと同様にボルドーの5品種の一つです。
世界中のワイン生産国で栽培されているが、ブルガリアでもその栽培面積は広がっています。
ブドウの収穫期はカベルネソーヴィニヨンより早い9月中旬です。
カベルネソーヴィニヨンも酸味もタンニンも穏やかだが、オーク材による樽熟成で、ブルーベリーやトリュフの様な芳香が高まります。
カベルネフランと同様に樽熟後瓶詰した場合、6年〜9年くらいで穏やかで優雅な芳香を放ち、風味も調和のとれた高級ワインになります。
ムスカット オットネル:白品種
このマスカット香の甘い香りのするブドウはワインだけでなく生食用としても利用されています。
栽培地域はバルカン諸国・モルダヴィア・アルザス・オーストリア・ドイツなどです。
収穫期は8月下旬から9月前半です。
このマスカット系のワインは東欧では甘く西欧では辛口になる傾向があります。
ワインはマスカット系やバラの花の様な香りがあり、ブルガリアではやや甘口から甘口までの新鮮なワインが主に造られています。
ピノ ノアール:赤品種
このブドウはブルゴーニュ・シャンパーニュ・アルザス等を中心に広がっています。
高品質のワインが多くブルガリアやカリフォルニアでも栽培されています。
ブルガリアでは主にプリスベン地区を中心に栽培されています。
このワインは他の品種とブレンドされることはスパークリングワイン以外には少ない。
色調は明るい赤紫のルビー色でブラックベリー・チェリー・ラズベリーのニュアンスがあり、オーク材で熟成させると、豊かで複雑な味わいと余韻があります。
シャルドネ:白品種
もともとはブルゴーニュやシャンパンで栽培されていた品種で、現在では世界各国で栽培されている。最近はカリフォルニア・オーストラリア・チリ・アルゼンチンなどでも栽培されている人気品種です。
ブルゴーニュではコルトン・シャブリ・モンラッシュなどの高級種が有るが、シャンパン製造の場合にも重要品種です。
ブルガリアではプロブディフ地方や北東部で栽培されています。
ブルガリアでのブドウの収穫期は、プロブディフ地方の様な暑い地区では9月の中旬ごろに北東部では9月の下旬ごろになります。
トラミネール:白品種
この品種の起源はオーストリアでの南チロルです。
この辛口ワインはドイツ・アルザス・フランスなどで栽培されています。
ブルガリアでは北東ブルガリアで少量だが栽培されています。
このブドウの収穫期は9月中旬頃です。
冬の低温には強いが干ばつの影響を受けやすい。
この辛口白ワインはスパイシーの香りとバラの花の様な香りがあり、調和の取れた新鮮な風味がありす。
ソービニヨンブラン:白品種
この品種の故郷はフランスの南西部の大西洋沿岸ボルドーのソーテルン、グラーヴ、アントレ ド メールです。
このワインはブルガリアにもあり、新鮮で辛口白の極上な素晴らしい風味があります。
収穫期は9月中旬です。
このワインの極甘口はボルドーのソーテルン(貴腐ワイン)が有名。
なお、ソーテルンやグラーヴには、この辛口もあり、トロピカルフルーツの心地よい香りと風味があります。
さらにオーストラリアやニュージーランドにも辛口でフランスに劣らない品質のものがあります。
ユニ ブラン:白品種
この品種はフランスのコニャック(ブランデー)用品種だが、ブルガリアでもポモリエとブルガス地区で栽培されて、ブランデー(ラキア)や、新鮮で柔らかい風味の辛口白ワインが造られている。収穫期は9月下旬から10月中旬になります。
高級ワインの醸造方法と香りの特徴について
シャルドネのような白ワインは、ブドウの果梗と果皮は除いて、荷重のみをアルコールを発酵させます。
この発酵後の澱をワインと共に数ヶ月の間接触させる(シュール・リー)と澱の中の酵母は自己消化(オートリーゼ)して、多量のアミノ酸をワイン中に放出する。
このアミノ酸は、乳酸菌の栄養になるが、乳酸菌はさらにワイン中のリンゴ酸を乳酸に変える。
乳酸菌がリンゴ酸を乳酸に変える発酵を、マロラクチック発酵と呼んでいます。
一方、酵母や乳酸菌が完全に澱の中で自己消化すると、含硫アミノ酸(システンやシスタイン)をワイン中に放出します。
この含硫アミノ酸は、さらに分子量の少ない硫黄系成分に分解する。
この分解成分とワイン中のエチルアルコールが反応すると、硫黄系有機化合物のジエチルサルファイドのような超新鮮な香気成分が発生します。
これがいわゆるテイスティング用語でミネラルと呼んでいる成分です。
さらにオーク材で樽熟成させると、ミネラル香は減少するが、樽から抽出されたタンニン由来の香気成分などが加わった、バニラ・トロピカルフルーツ・メロン・梨・丁子・ココアなどの香りのニュアンスのある複雑で優雅な風味になります。
またワイン中の有機酸(リンゴ酸・乳酸・酒石酸)とモノ・エステルがワインの熟成中に反応して、香気な香りの有機酸ジエチル・エステル類になり、いわゆるヒネスと呼ばれる最上級の芳香が増していきます。
以上のような複雑な醸造工程の風味の向上は、赤のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノノワールでも、ほぼ同様です。
但し、赤ワインでは収穫ブドウの房は果梗を除いて、果皮と果汁を共に発酵させます。
果皮由来のポリフェノールが加わることにより、白よりも赤ワインの熟成期間は長く続きます。
そして赤い果実の香り(カシス・ブルーベリー)やトリュフ・イチジク・タバコ・バニラなどの香りが混ざった高貴な風味に向上していきます。
文:渡辺正澄(日本ソムリエ協会 名誉ソムリエ)
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