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プラスチック・ジャーニー

びゅっ、と風が吹いた

よろめいた私は、すってんころりん

アスファルトはざらついていた

誰かはさっとよけた

大きな枯葉が落ちていた

ちょっと擦りむいた

私は転がりつづけた

ばしゃ、ざぶざぶ、ざぶ

気づけば、大きな流れの中にいた

尖った岩や、眩しい日差し

打ちひしがれた私は、少し、小さくなっていた

そして、気づけば大きな水たまりの上にいた

ぷか、ぷかぷか、ぷか

海だった

流れているのか、ただ、浮かんでいるのか

いつからここにいて、いつまでここにいるのか、わからない

でも、ひとつだけわかる

私の身体はまえよりもずっと、ずっと小さくなっている、ということ

あのアスファルトが懐かしい

あの尖った石が懐かしい

あの日差しが懐かしい

もはや今の私は、どこにでもいて、どこにもいない

あまりにも小さく、あまりにも軽い

大きなプランクトンの私

それより大きな小魚の私

それよりももっと大きなししゃもの私

それよりももっともっと大きなカツオの私

それよりももっともっともっと大きなマグロの私

そして、それらを食べるあなた

びゅっ、と風が吹いた

あなたになった私

転がるそれを、そっと見送る





次回へ続く
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