【タグライン/バイライン/コンセプト】それは、”誰”にとっての”何”なのか

読者に対して行動を促したいライティングを行うときや、コピーライティングを行いキャッチフレーズを考えるときに、気をつけたいことがあります。

それが、文章のコンセプトを明確に決めること。そのためには、タグラインと、できればバイラインも設定しましょう。

って、なんじゃい!? 横文字ばっかりで気持ち悪い!

もうちょっとだけ、わかりやすくお伝えします。

そもそも、コンセプトってよく聞くけど、なに?

前提として、まずコンテンツとコンセプトについてお伝えします。

コンテンツとは、辞書的な意味で言うと「情報の具体的な中身」のこと。
「Webページという媒体」とか「本という媒体」とか「映像という媒体」とか、そういった外箱がコンテナ=入れ物です。じゃあ、そのコンテナ(箱)の中には何が入っているの? というと、文章であったり映像作品であったりという、コンテント(=コンテンツ)が入っているわけです。

つまり、私たちが扱うあらゆるもの、文章だったり映像だったり、イラスト、デザイン、企画に至るまで、あらゆるものが『コンテンツ』なのです。

そしてコンセプトとは、辞書的な定義で言うと、全体を貫く基本的な考え方のこと。
コンテンツには、必ずコンセプトが存在しています。

コンセプトとは、コンテンツが必ずもっている「芯」や「信念」のようなものだと思ってください。

コンセプトとは、それが”誰”にとっての”何”であるか、を定めたもの

コンテンツには必ずコンセプトがある、ということにしました。
次に、コンセプトを具体的に決めていきます。

ページタイトルや見出しに書いてあるので、勘のいい方はお気づきかもしれません。

コンテンツが”誰か”に向けた"何か"である以上、コンセプトも必ず”誰”にとっての”何”か、という形式で決めることをオススメします。

特に、具体的なユーザーが存在するコンテンツの場合、上記の形式で決めたほうが有利になることが多々あります。成功したとき、失敗したときの分析にも役立つし、微調整しながら改善することもできるし、”誰”と“何”を予測・計測しながら複数のパターンを作れるからです。

"誰"にとって? それは、ターゲットにとって

製品であれサービスであれ、あるいは文章や映像であれ、必ず「届けたいターゲット」が存在しています。

ターゲットを決める際には、年齢・性別・住んでいる地域など(これらの項目を属性と呼びます)によって切り分けた、デモグラフィックと呼ばれるデータがよく使われます。

また、マーケティングなどでは「ペルソナ」と呼ばれる、より詳細な、そこに本当に“その個人”が存在しているかのようなデータを設定することもあります。(ペルソナも、いずれ説明することになると思いますが、今は割愛します。)

ターゲットは、デモグラフィックよりは少し詳細に、ペルソナよりはざっくりと設定すると良いでしょう。

コンセプトは、『それが”誰”にとっての”何”であるか』でしたが、『それが「ターゲット」にとっての“何”であるか』と、言い換えることができるようになるわけです。
※「ターゲット」の部分には、今回設定したターゲットの属性を入れ込んでみましょう。

タグライン=コンセプトの肝。そのモノって、結局何なの? のこと

タグラインとバイラインを説明する際、先にタグラインについて説明します。広告系などのお仕事をしている方は、聞いたことがあるかもしれません。

タグラインこそが、コンセプトの肝に当たる部分です。
先ほど、コンセプトを『それが「ターゲット」にとっての“何”であるか』と、言い換えることができました。
この『“何”であるか』の部分がタグラインです。

つまり、コンセプトを『それが「ターゲット」にとっての、どんなタグラインであるか』と、さらに言い換えることができます。

例えば、電動アシスト自転車。
電気モーターの力で、こぐ力をサポートしてくれるので、坂道や長距離でも疲れずに進むことができます。

電動アシスト自転車は「早く移動できる手段である」。
この「早く移動できる手段である」という部分が、タグラインにあたります。
ただし、これではあまりに当たり前の事実を述べているだけなので、タグラインとしては弱いです。ふーん。あっ、そう。いらんわ。と、言われるのがオチでしょう。
電動アシスト自転車は、「モーターでこぐ力をサポートしてくれる」という機能をもっています。その機能があるから、「早く移動できる」という利点があります。
ここまでではまだ、多くの読者は「だから、なんなの?」と思っています。
できれば、その「利点」を利用すると、どんな「利益」を得られるのか? を、タグラインに設定したいです。
例えば、「早く移動できるから、買い物時間を節約できる。」というタグライン。
こうすれば、自分の時間を増やせるかも! と想像してもらえるため、より訴求できるかもしれません。
ここまでくれば、「利益」を得ることでどんな「満足」を得られるのか、まで示してしまってもいいかもしれません。
すなわち、「早く移動できて、自分の時間を増やせる。」というタグラインです。
ただし、「自転車で、自分の時間? は? ナンデ?」と、ピンとこない人に伝わらなくなってしまう可能性もあります。
よきようにバランスをとってください(丸投げ)。

(これらは後日、「利益ではなく満足を示す」「思考のジャンプアップ」というお話をする際、別途ページを用意して説明します。)

バイライン=コンテンツの性能や能力のこと

こういったお話をしていると、タグラインについてはご存じの方がそこそこいらっしゃいます。ですが、バイラインについては馴染みがない方のほうが多いようです。

バイラインとは、その製品、商品、サービスなどがもつ性能や能力、いわゆる「スペック」のことです。

例えば電動アシストつき自転車であれば、
バッテリー充電時間4時間/1回の充電で走れる距離40km/最高時速25km

あるいは冷却ジェルシートであれば、
冷却効果10時間持続/体感温度-5℃/当社比1.2倍の吸着力

このような、対象の製品、商品、サービスがもっているスペックを、具体的な言葉に置き換えたものがバイラインです。
場合によっては、バイラインがそのままキャッチフレーズになることもありえます。
有効成分300mg配合、当社比120%の持続時間、燃費性能15%上昇、などスペックを示すことがそのまま訴求になるときです。

最初に、コンセプトとは、『それが”誰”にとっての”何”であるか』だと言いました。そして『それが「ターゲット」にとっての、どんなタグラインであるか』と、言い換えてきました。
ついに、最終形態です。
『それ』とは、商品や製品やサービスのこと。ここにバイラインが入ります。

コンセプトとは、
『「〇〇〇という性質をもつこの製品(バイライン)」は、「ターゲット」にとっての、どのようなタグラインであるか』ということができます。

これを電動アシスト自転車に当てはめると、
『「最高時速25kmで走れるこの電動アシスト自転車」は、「最寄りスーパーが遠い独り暮らしの30代サラリーマン」にとって、「買い物時間を節約し、自分の時間を増やせる手段」である。』というコンセプトにできます。

「最高時速25kmで走れるこの電動アシスト自転車」がバイライン。
「最寄りスーパーが遠い独り暮らしの30代サラリーマン」がターゲット。
「買い物時間を節約し、自分の時間を増やせる手段」がタグラインです。

バイラインは、選べるが変えられない
ターゲットもタグラインも、試行錯誤して変化させることができます。
ですが、バイラインには限界があります。
なぜなら、スペックは決まっているものだから、です。

スペックのうち、どの点をバイラインとして訴求するかを選ぶことはできます。冷却ジェルシートであれば、体感温度の低さをバイラインとして訴求することも、冷却持続時間の長さを訴求することもできます。
ですが、冷却時間が10時間持続することに対して、「頼む! 12時間持続してくれ! そうすれば『半日持続』って言えるんだ!」と、することはできません。スペックは変わらないので。
せいぜい、10時間と言うか、600分と言うかで印象を操作できる程度です。

まとめ

・コンセプトは、ターゲットとタグラインとバイラインで作る。
・ターゲットは、デモグラフィックより細かく、ペルソナよりゆるく設定。
・タグラインこそがコンセプトの肝。どんな満足を得られるかを示したい。
・バイラインは、スペックの説明的なこと。選べるけど、変えられない。
・組み合わせ無限大! 成功失敗もコンセプトしだい。

コンセプトは、コンテンツの成否を握る重要な「芯」です。
まずは基本的なことをお伝えできたので、今後も「コンセプトメイク編」「コピーライティング編」で応用をお伝えしていけたらと思います。

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。
※補足1※
最後になりますが、実はこのページ、現状で4,000文字くらいあるのですが、クッソ長くなってしまって、本当は7,000文字以上あったので短くしています。
基礎編として伝えるべきことは伝えきったはずなので、このページを読んでいただければ十分です。
ですが、もうちょっと補足的な内容や実例が気になったり、突っ込んで知りたかったり、私の個人的な経験なども踏まえた話を見てみたい方は、補足アリ版もご覧ください。
過去の経験に由来するグチっぽい内容もあって、恥ずかしいので有料です。
ほとんどの見出しに補足の小見出しがついています。

※補足2※
業界が変われば用語も変わる! 例えば、ビジネス現場でMTGと言えばミーティングのことですが、アナログゲーム界隈でMTGと言えばマジック:ザ・ギャザリングのことです。同じようにバイラインも、いろいろな業界で意味が違ったりするうえ、教える人によっても解釈が異なっているようです。
バイラインに限らず、このページでは、上記のような説明なのだな。という程度にご理解ください。


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