【ライティング小技】コピーライティングに使える手法

インパクトがあって、目を引く題名やタイトルを付けたいとき。
印象に残るキャッチコピー(※)やキャッチフレーズを求めているとき。
あるいは、「この企画、ひとことで言うと何なの?」みたいな、全員にパッと伝わって覚えてもらえる共通認識をもちたいとき。

そんなときに便利な、コピーライティングで使える手法を集めました。

小手先でガチャガチャやる系なので、「今すぐ、なんかそれっぽいヤツを思いつきたい! だけど、なんかうまくいかない!」みたいな問題を、いい感じにするためにお使いください。

(それはそれとして「そもそも、コピーライティングとは……」みたいなお話は、別の人に聞いてください!)

対象/視点/見方を変える

・対象を変える(増やす)
「やきとり、おいしいよ!」
そう言われても……うーん、たぶんそうだろうけど……。ピンとこないです。

上記の文言には、食べる側と売る側しか登場人物がいません。もう一人の登場人物、食べられる鳥は、どう思っているのでしょうか。

『では、ねぎまになってきます』
かつて、鶏がネギを背負って焼き鳥屋まで歩いて旅していく、という、ちょっとショッキングだけど哀愁ただよう広告が話題になりました。
登場人物に、食べる側と売る側だけでなく、食べられる側である鳥を追加して、その鳥にしゃべらせることで「引っ掛かり」を作っています。

・視点を変える
「お刺身に最適な醤油!」
そりゃあ、そうでしょうなぁ。お刺身にソースはつけないので。でも、この醤油じゃなくてもいいよなぁ。

つけられる刺身はどう思っているのでしょうか?

『海の幸も喜ぶお醤油』
あなたが、刺身に醤油をつけているのではありません。お刺身が、あなたを使って、醤油をつけさせているのです。
物語の視点を、あなた側から刺身側に変えています。

・逆にする、意外さを持ち込む
『食べるラー油』
『なんで、私が東大に!?』
『食べてもいいダイエット』
『甘くないジャム』
逆に! は、すごく便利。
あるいは、その商品やサービスの「一見、弱点に感じられる意外性」が、思わぬフックとなって読む人の心を掴むかもしれません。

勢いよく

『安いクセして。』
値段は安い。でも、品質は高い。ということを嫌味なくまとめています。

『あっ 小林製薬』
「あっ」は、世界で一番短いキャッチコピーなんじゃないかと個人的に思っています。耳に残るし、ちょっと気になる。実は企業理念も体現したスゴみがあるコピー。同社に関しては、商品名も一読の価値ありです。

言いたいことや伝えたいことがあったら、なるべく短い文字のなかに押し込んでみましょう。
どこまで文字量を削れるか、まずはやってみる。
どこまでも削って削って、それでも伝わるモノが残っていたら、勢いがある強いキャッチコピーになります。

「共感」に訴えかける

『3、4時間戦えますか?』
かつての『24時間戦えますか?』というキャッチコピーを受けて。同じ会社が作った、別の商品のキャッチコピーです。
もう24時間も働くような時代じゃないし、バリバリやって給料もバリバリ上がってた高度経済成長期でもバブル期でもないし、ワークライフバランスとコンプライアンスの時代だし……。
でも朝は眠いから、朝の3、4時間だけはなんとか乗り切りたいーーー! お昼すぎたら、あとは惰性でなんとか定時まで働けるから! という感情に対する共感を呼び起こしています。

自分の内から湧き上がる、ちょっとゲスかったり怠けてたり、都合がよすぎて人前では取り繕って言えなさそうな「本音」に相談すると、共感のネタが浮かびやすいです。

共感については、クッソ長い別の記事もどうぞ。
その1
その2
その3
正直に申しますと、「その3」だけ読めば大丈夫です。

「どんな満足か」を示す

メリットではなくベネフィット、さらにサティスファクションまで伝えましょう。

何か、オススメしたい手段がある。
手段には、それを使うなりの利点(メリット)がある。
その利点は利益(ベネフィット)を生む(利益を得られる)。
利益があるから、満足(サティスファクション)できる。

例)
電動自転車
手段:電動自転車を使う
利点:電動アシストで人力よりパワーがある
利益:早く、楽に家に帰れる(体力を温存しつつ、いつもより早く帰れる)
満足:平日でも、趣味に没頭する時間と体力をもてる

弊社の電動自転車を買ってほしい!
という目的があって宣伝をする際、「手段」だけを伝えても、誰も買ってくれません。
利点までは伝えることが多いのですが、それでもピンときません。
「この電動自転車を使うと、すごく楽なんです!」
で? だから? といった感じ。
でも、「早く、楽に家に帰れるんですよ!」と利益まで伝えると、ようやくユーザーは「自分事」として考えることができるようになります。
そしてできるなら、どんな満足が得られるか、まで伝えて、ユーザーにそれを使って今よりも良い生活を生きている自分をイメージしてもらいましょう。
この利益や満足は、ターゲットやプロモーション戦略によっても変わってきます。

このあたりを詳しく知りたい方は、ターゲットとかコンセプトについて書いている別の記事もどうぞ。

思考のジャンプアップ

カッコよく言うと「思考の飛躍」。
対象を変えたり視点を変えたり、表現を変えたり。
今ある情報(商品・製品・サービスの基礎情報)から、どのような新しい効果が期待できるか。
ある意味では、連鎖的な妄想をすることでもあります。

「風が吹けば桶屋が儲かる」という言い回しを意識しましょう。
あれは、
風が吹く→土ボコリが舞い上がる→土ボコリが目に入り、失明する人が増える→失明する人が増えると、三味線がたくさん売れる(江戸期の身体障がい者の保証制度の一環で、そのような組合があった)→三味線が売れると、材料となるネコが減る(三味線はネコの皮を張って作られており、かつては野良ネコなどを「猫とり」という業者が捕まえていた)→ネコが減ると、ネコに襲われる機会が少なくなったネズミが増える→ネズミは桶をカジる(ネズミは前歯が一生伸び続けるため、食べ物以外でも常に何かをカジって歯をすり減らし、長さを調整しなければならない、という性質をもつ)→桶が壊れるので、新しい桶を買わなければいけない人が増える→桶屋が儲かる
と、いう理屈です。

すごいバタフライエフェクト。かなり、思考がジャンプアップしてますね! トリップしすぎ!

あまりにもスタートからかけ離れすぎてしまうとイメージしにくくなりますが、適度に納得できる範囲で、別の価値観を探る妄想をしてみましょう。

ツッコミ待ち

『では、ねぎまになってきます』
→キミ(鶏)がそれ言っちゃうの!?

『なんで、私が東大に!?』
→受けたからだろ! 願書出しただろ! がんばって勉強しただろ!!

『3、4時間戦えますか?』
→あれ、キミたち、昔は24時間戦わせようとしてたよね?

読んだ瞬間、反射的にツッコミを入れてしまいたくなるキャッチコピーたち。
まるで、キャッチコピーと「会話」したような気持ちになって、読んだ側もけっこう気になってきちゃいます。

つけ入る隙や余地、いわゆる「遊び」のようなものがあると、読んだ人からのクスっと笑えるような、あるいは小気味良いコントのような反応が期待できます。

炎上するような不愉快な内容だと、ガチの「怒りの反応」が来ちゃうので、そういう手段はとらないようにしましょう。

小手先中の小手先の手法も、けっこう大事

・新発見! 新提案! など「新〇〇」から始める。
・「いま」「さあ」「ついに」などを付ける。
・具体的な数字を言う。できれば奇数。
・結論から書く。
・「たった〇〇で」「わずか〇〇の」「〇〇するだけで」などの、強調する言葉を入れる。
・得られる利点や満足は、口語で示す。

などなど、超小手先の、できあがったコピーにちょい足しするだけで効果を上げられちゃうようなヤツも、ネットの海にはたくさん転がっています。

本質的じゃない! みたいな感じで毛嫌いする人もいるかもしれませんが、使える手段はなんでも使って、成果を上げるほうが良いと思います。
お好みでどうぞ。

ただし、言葉を強くしようとするあまり、事実をネジ曲げてしまったり、ウソをついたり、ユーザーを裏切るようなことを書くのは止めましょう。

守ろう、コンプライアンス!
守ろう、物書きとしての誇り!

まとめ

・対象/視点/見方を変え、「引っ掛かり」を作ろう。
・短い言葉に想いを込めて、勢いよく言い切ろう。
・ちょっと恥ずかしい本音を使って、「共感」に訴えよう。
・具体的に「どんな満足を得られるか」を示そう
・思考をジャンプアップさせ、新たな価値を妄想しよう。
・ツッコミの余地を残し、読んだ人と対話しよう。
・超小手先のワザも、いくつかググって使ってみよう。

これらを、組み合わせて使ってみてもいいと思います。

みなさんが表現したいモノが、より良く伝わるための助けになっていたら幸いです。

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

※:キャッチコピー
キャッチコピーは和製英語です。本来的な意味では、キャッチフレーズとかヘッドラインとかいう呼び方が正しいでしょう。
でも、「心を掴む(キャッチ)文字情報(コピー)だから、キャッチコピー」って、それ自体がすごくパワーのあるキャッチコピーですよね。
私の場合は、和製英語と知ったうえで、あえて、"キャッチコピー的に"この語を使っています。

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