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【1万文字解説】ザ・モデルの終焉?新時代のBtoBマーケティング「コンテンツグロース」とは?

先日、以下のような記事を書いた。

各所で反響を頂き、中でも2022年はコンテンツ&クリエイティブでBtoBマーケティングで差がつく。といった内容に共感される方が多くいたように感じた。

これまで本noteでBtoBマーケティング×運用型広告の軸で発信をしてきたが、自分の発信の根幹には「コンテンツ力をベースにマーケティングを組み立てていくこと」がある。そして近年のBtoBマーケティングにおいては、コンテンツ力がより、求められるようになってきていると考えています。

そこで今回、コンテンツ力をベースにした「コンテンツグロース」というマーケティングの考え方を紹介したい。とてもボリューミーなnoteになってしまったが、BtoBマーケティングに従事されている方であれば必ずお役に立てる内容になっているので是非とも、最後まで読んでいただきたい。

まずは近年のBtoBマーケティングで多用されている「ザ・モデル」がもたらした弊害から話していきたい。

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ザ・モデルの弊害とは?

まず伝えておきたい。僕はザ・モデルを否定している訳で無い。むしろ積極的にクライアントに展開している。非常に優れた手法であるし、僕もこれまで活用させてもらっていた。

しかしながら、近年のBtoBマーケティングにおいては猫も杓子も
「ザ・モデル」。「ザ・モデル」を使う必要のない組織までもが「ザ・モデル」を意識してインサイドセールスチームやマーケチームを立ち上げた、などといった状況だと考える。「ザ・モデル」の普及により、僕はいくつかの弊害が出ていると考える。その弊害について説明したい。

ザ・モデルの弊害①リストを取るだけのホワイトペーパーの量産によりISの工数増大やセールスVSマーケの対立を生むことに

約7割がホワイトペーパーの内容に「がっかり」した経験あり」より引用

ファストマーケティング社が実施した、調査によると7割の人がホワイトペーパーをダウンロードしてがっかりした。と回答している。さらにこの調査によれば約8割が、ホワイトペーパーにがっかりしたことで、配信元の印象も「悪くなった」とも回答。

正直、僕もホワイトペーパーをダウンロードした時に以下のように思うことも少なくない。
「期待してダウンロードしたけど、このホワイトペーパー微妙だな」
「単なるリスト取りのための資料かよ」

「ザ・モデル」を実行しようすると潤沢なリード数が求められる。
リード数が無ければ、インサイドセールスがアプローチできないからである。
かと言って、何が何でもリードがあればいいというわけではない。
「ザ・モデル」が普及されたことにより、運用型広告を筆頭にホワイトペーパーをダウンロードさせる広告や顧客情報を獲得するような広告が非常に増えた。

しかし「約7割がホワイトペーパーにがっかりした」とある通り、リストを取る為だけに内容の薄いホワイトペーパーが乱立されていることが目立つ。

このがっかりした気持ちは意外と馬鹿にならないと考える。この調査によれば約8割が、ホワイトペーパーにがっかりしたことで、配信元の印象も「悪くなった」とも回答されているし、詰まる所、そのようなホワイトペーパーで生み出したリードに価値はあるのだろうか?という疑問が出る。

近年、BtoBマーケティングでは「リードの質問題」が各所で課題になっている。リードの質問題では別のnoteで記載しているので見ていただきたい。

「リードの質問題」を端的に表現するのであれば、商談化や受注に繋がらないリードが増えてしまっている状況だ。問題が深刻になれば、角度の高いリードに対するリソースが少なくなって全体のCVRを悪くしている事例もある。

そして、リードの質が悪くなれば必ずと起こる問題が
セールス部門とマーケ部門の対立だ。

なんでこんなリードを集めてくるんだ」と怒るセール
なんでせっかく集めたリードにアプローチしないんだ」と嘆くマーケ
BtoB企業においてよくある構図なんではないだろうか?
質の低いホワイトペーパーが引き起こしている可能性は否めないと考える。

リードの質を高めようとすると自ずとCPAは上がりCV数は減ることが多い。かといってリードを増やそうとすると質が下がるがインサイドセールスの仕事が増える。

極論ではあるが、インサイドセールスが必要のない、すぐ商談に繋がる問合せだけが来る状態であればインサイドセールスは必要が無いと考える。この状況が難しいため、商談の手前で顧客情報を取得しインサイドセールスやマーケティングチームがアプローチして商談化までにつなげている。

ザ・モデルの弊害②各社手法の同一化でCACの高騰

猫も杓子も「ザ・モデル」。僕はどのBtoB企業も「ザ・モデル」を使っていることに違和感を感じる。

マーケティングなどの手法というのは、他がやっていないから取り組むことで差別化ができると考える。

例えば、製品資料をダウンロードしてどの会社もスグに連絡をくれない中で、1社だけスグに電話をくれて丁寧な対応をしていたら、電話くれた企業はスピード感があり、いいな。となるであろう。

でも、どの会社もやりだしたら、ダウンロードした人からすると電話が鳴ってウザいだけになってしまう。

Fast Reply Time is Key to Sales in the Propane Industryより

上記は海外のBtoBマーケティングのブログにある図なのだがハーバードビジネスレビューの調査によれば資料ダウンロードなどした場合、5分から10分以内にアプローチするとつながりやすい。といったものになる。

このような情報がBtoBマーケティング業界では一般になりつつある。その影響もあってか資料ダウンロードすると、どこの企業も電話がかかってくるようになった。挙句の果てに、ホワイトペーパーをダウンロードした時も電話がかかってくる企業もある。皆が同じ手法をやることで、ユーザー側がなれてしまうことが今後さらに加速するだろう。

他にも運用型広告においては、オークション制でCPCやCPMが決まる。今まで4社しか検索広告に出していなかったのが、8社になったら自ずとCPCやCPMは上がる。結果、CPAやCACも上がることが多い。
ある意味、運用型広告は椅子取りゲームのようなものだ。4つしか椅子が無く、今まで5人で取り合っていたところに8人で取り合ったら厳しくなるのは当たり前だ。

「ザ・モデル」の普及で手法が似てくることでCPA、CACの高騰は避けられなくなってきている。

今まで以上に良いプロダクトじゃないとBtoBは伸ばせない

これまで「ザ・モデル」の普及による弊害について述べた。別に「ザ・モデル」が嫌いなわけじゃないからね(笑)むしろ好き。ツンデレか!

ここからは、提供しているプロダクト側の昨今の流れについて触れていきたい。

一言で言うのであれば、「良いプロダクトじゃないと伸びていかない」ということだ。当たり前で少しがっかりするかもしれないが、少しだけ聞いてほしい。過去のBtoBマーケティングやセールスについて考えてみよう。

少し前のBtoBマーケティングやセールスは、今以上にセールスが主役だった
(個人的には今でもセールスが主役だと僕は思っているし、この意見については別のnoteで触れたい。)

なぜ、セールスが主役だったのであろうか?それは以下の図を見てもらえると分かるだろう。

BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや重要性、プロセスについて解説

過去のBtoBマーケティングにおいては、主にセールスパーソンからの情報がメインだったのだ。セールスパーソンの対応が他社より優れていれば受注につながることが多かったのだ。ある意味、商品力ではなくセールスパーソンの力で売れてしまうことも多かったのではないかと考える。

ここであえて強い言葉で言いたいのだが「セールスじゃ誤魔化しがきかなくなってきている」のが昨今のBtoBマーケティングとセールスだ。

情報収集が多様化している。ボクシルなどBtoBツールの口コミサイトなども増えてきており、Twitterでもツールの口コミも見ることも多くある。
つまり、商品力が無いプロダクトであれば、悪い情報が流れやすくなっている。逆に言えば、良いプロダクトであれば口コミが起きやすい状況になっているのだ。

僕自身の経験を告白しよう。
BtoB向けのSaasを販売していて、正直、スペックが他社より劣っていたため、サービスのコンセプトと今後の開発に対する期待値で売っていた時期があった。しかもそれで売れてしまっていたのが達が悪かった。受注はできたが解約の嵐を巻き起こしたのだ。

正直、BtoBSaasはセールスで何とかなってしまう部分があると思う。しかし、プロダクトと顧客と向き合わなければ成長はあり得ないのだ。

近年ではプロダクトレッドグロースというプロダクトがプロダクトを売るという思想が出てきている。zoomやSlackなどはまさに当てはまるだろう。このような考え方がより、顕著になるのではないだろうか。

ソーシャルセリングの台頭や集客チャネルの多様化

ソーシャルセリングとは営業プロセスの中でFacebook,Twitter,
Instagram,LinkedInなどSNSを活用して見込み顧客との関係性を深めてアポイントや販売につなげる手法です。要するにSNSを活用して商談などにつなげていくことを指します。

2021年、このソーシャルセリングに取り組んでいる方が増えてきており、2022年は更にソーシャルセリングが加速すると考えている。

さらに、Facebook広告や検索広告はBtoBでは当たり前になってきているのでYouTube広告やEight広告やLinkedIn広告など様々な広告媒体にチャレンジする企業が増えるだろう。

ただ、ここで声を大にして伝えたいことはソーシャルセリングや他媒体の広告にチャレンジするにおいてもコンテンツが重要になる。コンテンツが無い状態で展開してもより良い結果は生まれないからだ。

ソーシャルセリングなどについては以下の記事で説明しているので見ていただきたい。

ここまでのおさらい

ここまでの話を整理しよう。
「ザ・モデル」が普及したことで
・リストを取るだけのホワイトペーパーの量産によりISの工数増大やセールスVSマーケの対立を生むことに
・各社手法の同一化でCACの高騰

さらに
今まで以上に良いプロダクトじゃないとBtoBは伸びなくなってきているし、集客チャネルの多様化に迫られている

こんな状況にあるBtoB企業は多いのではないだろうか?
そこで私は「コンテンツグロース」というBtoBマーケティングの考え方を提唱したい。

新時代のBtoBマーケティングであるコンテンツグロースとは?

コンテンツグロースとは「良質なコンテンツを作り、見込み客のいる全てのチャネルで流通させ、ヒト、モノ、カネ、情報を集めること」と、ここでは定義をしたい。言い換えるのであれば良いコンテンツを作り、そのコンテンツを活用して、集客したり、お仕事にすることだ。コンテンツ至上主義である。ちなみに「コンテンツグロース」は僕の造語だ。

ここで「コンテンツ」の定義をしておきたい。
「コンテンツグロース」の中で出てくるコンテンツは「プロダクト」「ホワイトペーパーやブログなどの情報コンテンツ」「営業パーソンの顧客へのコミュニケーション」「広告クリエイティブ」など全てを指す。

何かしら、顧客と接点を持った時にコンテンツを通して、気づき、発見、学びを与えるものすべてをコンテンツと言えるだろう。個人的にはどれだけ相手にギブできるかみたいな感じで考えている。ブランドを作り、ファンになってもらう感覚に近いかもしれない。

右往左往しているがザックリいうと、良いコンテンツ作って、そのコンテンツを軸にマーケティングしようぜ。っていう話だ。近年のマーケティングでは、マーケティングが先行しており、中身が無いコンテンツが溢れている。

まさにリード獲得を目的としたホワイトペーパーなどそれに当てはまるだろう。まずは喜ばれるもの作って、知ってもらいたい所。

コンテンツマーケティングとは何が違うのか?

コンテンツマーケティングと言えば、オウンドメディアを運営して集客する方法だ。どちらか、というと検索エンジンやSNSからの流入を考えることが主なのではないだろうか。

しかし「コンテンツグロース」もっと範囲が広い。見込み客が対象としている全メディアにコンテンツを出す形になるので、コンテンツマーケティングよりも広く、発信チャネルを考える必要があるただ、僕が「コンテンツグロース」を元にコンサルを行う時にコンテンツマーケティングから始めることが多い。なぜならば、ほとんどの企業がコンテンツを作成することに慣れていないからだ

まずは定期的にコンテンツを作ったり、コンテンツを磨いたりするのにはコンテンツマーケティングはとても良いのだ。

コンテンツグロースを実践している企業の事例

「コンテンツグロース」とは何ぞや。みたいなことをわちゃくちゃ話してきたが、ぶっちゃけどんな効果あるの?やっている企業あるの?という声が聞こえてきそうだ。

百聞は一見にしかず。
僕から見て「コンテンツグロース」にとりんでいる企業を分析してみた。今回は以下の3社を外側から見て分析してみた。これはあくまでも外から見て僕の主観であることは先に述べておきたい。

事例①BtoBマーケティングといえばサイル

サイルさんも僕から見てみてば「コンテンツグロース」を取り入れている会社だ。
特にサイルさんが上手いなと思うのが、ノウハウをほぼ全開示しており、そのノウハウを見るのに個人情報を取得していない所だ。

例えば以下の2つの記事を見てみよう

一つ目のウェビナーの記事だが、見てみるとアンケートのテンプレートを以下のような感じで個人情報を入れずにダウンロードできる。

「ザ・モデル」から考えると顧客情報を取らないというのはあり得ない考え方だ。顧客情報を取らないと、家電やメルマガが出せないからだ。


もう一つの記事(固定ページ)では、BtoBマーケティングのサイルさんのノウハウをまとめている。ここのノウハウも無断転載を禁じておらず、転載URLさえ記載すればokにしているのだ。

ではなぜ、こんな形を取っているのだろうか?それはあえてシェアされやすい形にして良質なコンテンツを拡散させるためだ。

僕もこんな形で記事を紹介しているように、紹介しやすい。これがもし、個人情報を入れてダウンロードできる形であればどうだろうか?

少し進めにくいと思うし、なんかこの会社の回し者か?と思う人もいるかもしてない(笑)アフィリエイトでもしているのかみたいな。

僕がサイルさんを紹介するメリットは無いのだ。単純に良いコンテンツだからシェアを会社内やクライアントにもしていることが多い。

あとサイルさんはMarkeZineやMarketing Nativeなど様々なメディアにも露出してBtoBマーケティングのノウハウを発信している。まさに良質なコンテンツを元に見込み客が見るチャネルを網羅しながら情報発信をしているだろう。

それを積み重ねていくうちに、BtoBマーケティングと言えばサイル。というポジションを作り、お仕事をいただいているのであろう。

恐らくサイルさんではセールス担当やインサイドセールス担当などを設けていなく、問合せからコンサルタントが出向き、提案して仕事を受注する形で動いているのであろうと考える。

「コンテンツグロース」の形が完成されてば、インサイドセールスやセールス担当の仕事が減ることが多い。

なぜながらWebサイトには、問合せやサービス説明資料などハードルの高いCVポイントしかないため、インサイドセールスなどを駆使してリードを引き上げる作業がいらないからだ。

問合せをする時はすでにある程度、発注のことを決めており、確認や稟議用の資料などを作ってほしい段階で問合せに来るからだ。


事例②BtoB向けのwebサイト制作ならベイジ

BtoB向けのサイト制作として有名なベイジさん。代表の枌谷さんを筆頭にTwitterで発信しており、枌谷さんのフォロワーは2022年1月時点で7万人を超えている。

以下の記事でベイジさんの2019年までのお問い合わせ件数などをシェアしている。

ベイジさんも良質なコンテンツをベースにTwitter、自社メディア、登壇や取材を通じて情報発信を行っている。

直近ではWeb3の記事がバズっていた。
このような形で情報発信を行うことで問い合わせのみで年間400件以上来ているようだ。

ベイジさんもサイルさんと同じようでブログやWebサイトにはホワイトペーパーが無く、サービス資料と問い合わせのみでコンバージョンポイントを少なくしているのが特徴だ。

事例③運用型広告のアナグラム

運用型広告専門の代理店と言えばアナグラム。アナグラムのブログは広告運用に携わるものであれば誰もが一度、目にしたことがあるのではないだろうか?

アナグラムはまさにブログをメインにコンテンツを発信しており、独自のポジションを気づいている。ブログとTwitterで主に情報発信をしており、ブログの記事が良く、様々な人にシェアをされ拡散されている。

ブログやWebサイトを見てみると、ホワイトペーパーや資料請求は無く、問い合わせのみである。

聞いた話によるとお仕事のほとんどがブログからの問い合わせと紹介のみで集客しており、営業担当がいないようだ。

まさにブログのコンテンツ力のみで集客につなげて仕事につなげている最たる例であろう。

コンテンツグロースを行っている企業の共通点

これまで事例を紹介してみたが、事例を調べる中での共通点を見つけたので以下に記載する。

〇〇言えば〇〇というポジションが市場で確立されている

3社とも市場内でのポジションが明確である。さらに市場の見込み客から○○と言えば〇〇という状況になっているのが分かる。

BtoBマーケティンで相談しよう。と考えた時に第一想起されるのが強い。
○○と言えば○○という状態が作られているのはある種、コンテンツグロースの完成形だと考える。

良質なコンテンツを様々な媒体で届けている

コンテンツグロースを実践する上で欠かせないコンテンツ力。各社はコンテンツ力をベースに様々なチャネルで情報発信を行い、集客をしている。

アナグラムさんであればブログ、ベイジさんであれば枌谷さんのTwitterやブログ。サイルさんであればTwitterや寄稿、ブログなど。

様々なチャネルを通して届けることが重要だ。しかし、どの企業も一気にチャネルを広げたのではないと考える。

なぜなら、力が分散するからだ。サイルさんやベイジさんは、代表のTwitterアカウントから始まり、ブログや寄稿。アナグラムさんであれば、ブログをメインにしてからTwitterなど。

まずは一点集中してから各メディアに広げている印象だ。

余分なコンバージョンポイントが無い

BtoBマーケティングであればコンバージョンポイントを複数設けることを推奨している。以下の記事でコンバージョンポイントについては解説しているので見てもらえると理解できると思う。

しかし、これまで紹介した3社とも極端にコンバージョンポイントが少ない。個人情報を取ろうとするのは最後のお問い合わせの時のみだ。

恐らく、あえてコンバージョンポイントを減らしていると考えられる。狙いとしては以下なのではないだろうか。
・コンバージョンポイントを絞ることで本気の人の問い合わせのみにリソースを集中する
・個人情報を取得せずに良いコンテンツを出すことでよりシェアされやすさを狙っている。

コンテンツグロースのメリット

シンプルにマーケティングとセールスが格段にラクになることであろう。

コンテンツが半永久的に集客を行ってくれる。さらに言えば、そのコンテンツを見てファンになってくれた人はその企業に採用の応募もするかもしてない。コンテンツを見てくれた人はシェアすることでその企業の評判も高まるかもしてない。

そしてさらに価値があると考えているのはセールスプロセスの短縮だ。

ザ・モデルの良い所はプロセスの分解だ。分解することで管理ができ、管理することで改善ができる。

しかし、管理をすることで増えるのは工数であり、人員だ。インサイドセールスを置いたり、マーケティングを置いたり、様々なツールを導入したり。結局それらに取り組んだことでどれくらいの受注数に繋がったのだろうか?投資対効果をよく見ておかないといけないだろう。

一方、コンテンツグロースが完成すると、リード獲得から有望商談創出の業務がほとんどいらなくなる。なぜなら、コンバージョンポイントのハードルを上げているので本気のリードが来ることが多い。そのリードにちゃんと対応していれば十分な受注につながるからだ。無理やり商談に引上げたものより受注率が高いのは明らかだろう。

ホワイトペーパーを作り、リストを取って複雑なマーケティングオートメーションを使い、シナリオ通りにメールを送る必要もない。イケているコンテンツさえ作りづづけることができれば、そのコンテンツが全てを運んできてくれるからだ。

そのため、コンテンツグロースはどちらかというと、小規模企業のマーケティングスタイルなんだと僕は思っている。

ザ・モデルが当てはまるのは、資金が潤沢にあり、ある程度ブランドがあり、急成長を求められており、数多くリードが必要なビジネスだ。まさにsalesforceのマーケティングなどが当てはまる。

コンテンツグロースのデメリット

ここまでコンテンツグロースの良い所を記載してきたが、良いことばかりではない。デメリットもあるので紹介しよう。

コンテンツを作りのが大変

一番のハードルがコンテンツを作り続けることであろう。独りよがりなコンテンツを作りづづけることではない。市場から評価され、拡散されるコンテンツを作り続ける必要がある。しかも、一回だけではなく、半永久的に作り続ける必要があるであろう。

そのためには、他を寄せ付けない圧倒的なノウハウや実績、たくさんの経験や顧客、市場と向き合い続けること。様々なものが必要だ。
正直「コンテンツグロース」の手法はとても大変であるため、万人におススメしない。そもそもコンテンツを作れない人が取り組むべき施策ではないからだ。

時間がかかること

「ローマは一日にして成らず」まさにこの言葉が「コンテンツグロース」を表す上で最適だろう。近年、ショートムービー系やTwitterもアルゴリズムが少し変わっているようでバズリやすくなってきているがそんなに甘くはない。

ある程度、時間がかかることを意識して取り組んでいただきたい。しかし、ある程度まで行けば、ファンが増え少しの投稿や記事でバズリやすくなるのも事実だ。まさに福利が効くマーケティング手法でもあるのが「コンテンツグロース」の良い所だ。

コンテンツグロースを始める3つのステップ

ここまでコンテンツグロースについて話してきたが、具体的に始めるにはどのようなステップで始めればいいのか?細かな部分は今回は省いて、大枠を説明する。

ジャンルを決める

まずはジャンルを決めよう。この分野で「○○と言えば○○だ」というポジションを取ろうと決意することからまず始まる。あとはジャンルの掛け合わせたり、デカい市場であれば絞り込んでもいいかもしれない。

例えば動画と運用型広告が近年では伸びているが、YouTube広告の専門家やTiktok広告に特化した動画編集の専門家になる。などなどまだまだニーズに対してポジションが追い付いてないジャンルも多いのではないだろうか。

あと、意識したいのが選択したジャンルに対して専門性があるのか?ということだ。これはとてもシンプルだが重要なことだ。そもそも専門性が無く、実績が無ければ語る資格すらないからだ。

ジャンルを決める上で考えたい観点を以下に記載するので参考にしてほしい
・そのジャンルを語るうえでの十分な実績があるか?
・そのジャンルについて他を圧倒する知見があるか?
・そのジャンルにライバルがいるか?いればどうやって違いを作るか?
・そもそもそのジャンルは需要があるか?
・そのジャンルについて考える、書く、話すが苦じゃなく続けられるか?

メディアを絞る

専門のジャンルが決まれば、まず発信するメディアを選定しよう。メディアを絞る上で3つのポイントがあるので記載する。

・ターゲットがどこのチャネルにいるか?
・チャネルの難易度
・チャネルのポテンシャル

ターゲットがどこのチャネルにいるか?
例えばWeb担当者であれば、Twitterやnote、ネット検索で情報収集していることが多いのでこれらは良いチャネルになるだろう。

しかし、M&Aの領域で売り手企業を集めたい。となった場合、ターゲットが年配の経営者になる。そのような場合だとTwitterなどのSNSよりも、新聞や業界紙、あるいは商工会議所などの昔ながらのチャネルなどを利用したほうが情報をターゲットに届けられるかもしれない。

つまり、ターゲットにしたい人がどこにいるのか?から逆算してチャネル選定をしなければならないということ。

チャネルの難易度、取り組みやすさ、継続しやすさ
ターゲットがいるチャネルが分かったとしても、「チャネルの難易度、取り組みやすさ、継続しやすさ」も考慮しよう。

検索で情報を集めているからと言って、個人ブログや企業ブログを立ち上げるのも考えた方がよい。しかしSEOの難易度は年々上がっている為、時間がかかるケースが多い。ただ、ドメインランクが高いと上がりやすかったりするので取り組むのもアリだと思うが、取組もうとしているチャネルを理解して難易度を見極めるのが大切だ。

noteやTwitterの方が拡散されやすく、始めたばかりでも多くの人に読まれる可能性がある。しかし、Twitterであれば、投稿頻度が多くある必要もあり、運用の手間がかかる。

先に話したM&Aなど年配層をターゲットにしたいなら業界紙などに連載コラムを持つのも手だが、コラムを持つのもかなりハードルが高い。

つまり、「チャネルの難易度、取り組みやすさ、継続しやすさ」を検討して効率が良さそうなチャネルを選択しよう。

チャネルのポテンシャル

チャネルを選定する上でポテンシャルを把握しておくことも重要です。ユーザー数などがベースで考えよう。

LINEであれば、日本人の半分以上が使っているし、Twitterは約3/1は使ってる。ユーザー数多いということはそれだけ、ユーザーを獲得できるポテンシャルがあるということだ。ユーザー数が少ないチャネルで取り組んでもすぐに伸び幅の限界がきてしまうだろう。


良いコンテンツを出し続ける

定期的にコンテンツを出し続けて質を高めてく必要がある。ここはシンプルで「やり続けられるか?」というのを問いたい。

そのため、ジャンルを決めるの所で「そのジャンルについて考える、書く、話すが苦じゃなく続けられるか?」を考えてみましょう。と記載した。

苦じゃなく、考える、書く、話すのが楽しい分野。あるいは苦じゃなく続けられる分野であれば、続くし質も自ずと高くなってくるからだ。

僕自身もBtoB×運用型広告のジャンルが好きで、このようなことを考えて書く、話す、伝えるのが好きなので趣味みたいな感じでやっています(笑)

コンテンツを作れる人の時代に。世界はクリエイティブエコノミーへと向かっている。

だいぶ長いnoteをここまで読んでいただき、ありがとうございました。
とても感謝をしています。コンテンツグロースについて記載しましたが別のnoteではもっと実践的な内容を伝えていこうと思います。

最後に余談ですが社会はクリエイティブエコノミーになっていると僕は考えています。

クリエイティブエコノミーとは、直訳すると「創造的な経済」になります。

僕は個人の情報発信やアクションによって形成される価値が経済を今後、動かしていくと考えています。

つまり、よりコンテンツ力がある人が活躍する経済になると思いますし、企業もそのようになるのではないかと考えています。
良いコンテンツを作った人が正当に評価され活躍する社会。

個人的にはそんな社会になってほしいなと思いますし、面白いと思います。BtoBマーケティングもよりクリエイティブに面白くなることを信じています。

また、田中さんが書かれている記事も勝手に僕とほぼ同じ意見だと思うのでぜひ読んでみてください!今後のBtoBマーケティングはコンテンツベースになってくると思う。

お読みいただきありがとうございました。
他にもBtoB×運用型広告の軸で色々と書いているので良かったら読んでみてください。

Twitterでも発信していますので、良かったらフォローしてください^^


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