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BtoB運用型広告を始める前に設計したいコンバージョンポイントの考え方|BtoBマーケティング

BtoB向けの運用型広告を始める前に以下の2つを考える必要があります。

ランディングページの作成
コンバージョンポイントの設計

ランディングページが無ければ広告は出すことができないので、必要性を感じている方は多いと思いますが、コンバージョンポイントの設計って何だろう?と考える人もいるのではないでしょうか?

これまで数十社以上のBtoB向けの広告運用の相談や広告アカウントを見てきましたが、コンバージョンポイントの設計を見直すだけでリード数が倍増するケースが数多くありました

以外に浸透してないのだなと思いましたし、逆にむやみやたらにコンバージョンポイントが多く、うまく設計できていないなと思うケースもあります。

そこで今回は運用型広告を実施する上で意識したいコンバージョンポイントの設計について話したいと思います。なお、コンバージョンポイントの設計についてはサイルさんの「階段設計とは」の話をベースにしており、特に運用型広告の視点から補足させていただく内容になります。

コンバージョンポイントとは何か?|なぜ設計する必要があるのか?

そもそもコンバージョンポイントとは何でしょうか?

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上記はセールスフォースのWebサイトですが、赤枠で囲んでいるように資料請求や無料トライアルといったものがコンバージョンポイントになります。つまり、訪れたユーザーが個人情報を入力してコンタクトをとる部分になります。

セールスフォース側からすれば、個人情報を取得する部分になり、取得することでこちら側からアプローチできるようになりますね。

セールスフォースのWebサイトでは、コンバージョンポイントが複数ありますが、
コンバージョンポイントをなぜ、設計する必要があるのでしょうか?

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設計する理由としては、ハードルを下げて見込み客が次のステップに進みやすくするために行います。

例えばあなたがセールスフォースのようなSFAやCRMを検討しているとしましょう。
検討の初期段階でセールスフォースのWebサイトに訪れてもいきなり、お問合せはしないと思います。まずは資料請求などして情報を集めるのではないでしょうか?

BtoB商材はBtoC商材に比べ、検討期間が長いと言われています。商材によっては2年~3年かかるものもあると言われています。

検討期間が長い商材であればあるほど、問合せをして商談するというのは、検討期間でもかなり後半になると思います。

ですので、検討期間の序盤にアプローチするには資料請求などのコンバージョンポイントをWebサイトに設ける必要が出てきます。

Webサイトに訪れてお問合せだけしかないと、問合せするハードルが高いので機会損失しているケースもありますし、資料請求などハードルを低くしたコンバージョンポイントを設けることでランディングページやWebサイトのCVRが格段に向上するケースがほとんどです。

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上記のような形で複数のコンバージョンポイントがあると、訪れた見込み客は、始めの一歩を踏み出しやすくなります。また、顧客情報を取得できれば、サービス提供企業からアプローチもできるようになります。

よってBtoBにおいて基本的にはお問合せのコンバージョンポイントだけではなく、複数のコンバージョンポイントを用意するように設計をしてみましょう。

問い合わせ、資料請求、ホワイトペーパーとコンバージョンポイントごとでCPAが変わる

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あるBtoB案件で広告運用代行を実施していた時の事例です。
元々お問合せのみで検索広告を配信しており、その時のCPAは10万円前後でした。かなりニッチな業界で競合も一定数あり、中々CPAが下がらなく苦戦をしていましたが、資料請求を設けることで、資料請求CPAが数万円ほどで獲得でき、問合せだけだと月に10件見たない数でしたが資料請求がコンスタントに月20件以上獲得できるようになりました。

もちろん資料請求から受注も発生していました。
また、コンバージョンポイントを増やすことで今まで問合せしていた会社が減り、資料請求に落ちてしまうのではないか?みたいな疑問もあると思うのですが、基本的には気にしなくていいかなと考えています。

資料請求を設けてもお問合せの数は変わらなかったですし、すぐに話を聞きたい人もいるのでお問合せと資料請求を二つ設けることで、今すぐ客と今すぐじゃないけど検討中の客の両方が取れるようになっているイメージです。

ハードルの低いコンバージョンポイントを設けることでCPAが下がる為、チャレンジできる広告媒体や配信メニューたターゲティングが広がります。

検索広告であれば、今まではこのキーワードはコンバージョンが出ていなく止めていたが、資料請求を設けてからコンバージョンが取れるので配信を続ける。

他にもFacebook広告やGDNやYDAといったSNS広告やディスプレイ広告にも広げていけるようになります。

あと、これは肌感覚的な部分も多く、媒体や商材によって違うと思うのですが、ホワイトペーパー→資料請求でCPAが倍、資料請求から無料トライアルでCPAが倍のような感じでCPAがかわりますね。ハードルが上がることでコンバージョンRが下がるのでそれくらい変動はありますね。

運用型広告では自動入札をワークさせるために一定の期間で一定数のコンバージョン数が必要になる

より良い成果を出すために運用型広告において自動入札を活用することがポイントです。
自動入札の説明をすると長くなるので割愛しますが、Facebook広告やGoogle広告の機械学習で自動的に入札を最適化しコンバージョン数を増やしたり、CPAを下げたりしてくれる機能という感じで抑えてもらえればいいとおもいます。

自動入札を活用するためには一定期間で一定数のコンバージョン数が求められます。
例えばFacebook広告であれば、

Facebookの配信システムが広告の配信先として最適な利用者を学習するためには、広告セットのコンバージョン(最適化イベント)が7日以内におよそ50件必要です。コンバージョン数が増えるほど、より適切に広告を配信できるようになります。
引用元: 情報収集期間に関するガイド

Google広告であれば

中略)1 か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。

引用元:https://support.google.com/google-ads/answer/7065882?hl=ja

媒体にもよりますが、ざっくりで1週間~1か月で30~50件くらいのコンバージョン数が自動入札をうまく活用するのに必要となります。

例えば、先で出したBtoBの事例で元々お問合せしかなく、CPAが10万くらいのもので月に数件しかコンバージョンが発生しない形だと自動入札がうまくワークしません。

しかし、コンバージョンポイントを増やし資料請求などでコンバージョン数が月30件以上発生するようになれば自動入札を入れることでCPA削減やコンバージョン数が増加などが見込めます

コンバージョンポイントを増やすことで自動入札を活用できる可能性が生まれてきます。ただ、商材や競合の状況によっては自動入札を使わずに手動で入札を行った方が結果的にCPA削減やコンバージョン数増に繋がるケースがあるので自動入札を導入するのが目的になりコンバージョンポイントを増やしても本末転倒になるので商材や業界に合わせながら使うことが重要です。

ただ、Facebook広告の場合はコンバージョン数が一定数でないとあまり良い結果が望めないのでハードルの低いコンバージョンポイントを準備して配信した方がいいことが多いです。Facebook広告は検索広告と比べるとユーザーの意欲が落ちるのでホワイトペーパーなどのコンバージョンポイントで配信する手法がマッチするためですね。

BtoBにおける媒体ごとの優先順位や特徴については以下のnoteで記載しているので参考にしてみてください。

プロダクトライフサイクルから考えるBtoB運用型広告の基本戦略とは?

なるべく深いコンバージョンポイントで最適化ができるのがベスト

運用型広告の自動入札の良い部分であり、悪い所でもあるのですが、機械学習が進むとコンバージョンが取れやすいポイントにコンバージョン数が寄ってしまうことがあります。

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具体的には1つのランディングページで上記のようなコンバージョンポイントを設けて広告を配信し、全てのコンバージョンポイントで自動入札を回したとしましょう。そうすると、CPAの安いお役立ち資料のコンバージョン数が最大化してしまうことが起きる可能性もあります。

取りやすいポイントで取りやすい人に広告が配信されコンバージョンが増加する動きをします。
だからこそ、複数のコンバージョンポイントで自動入札を回す時は深いコンバージョンポイントで最適化をさせることが重要です。

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深いコンバージョンポイントとは、上記の図であれば商談に近いコンバージョンポイントのこと指します。つまり、最終的な目的地に近いコンバージョンポイントのことですね。

商談近づけば近づくほど、コンバージョンとしての価値が高くなるはずです。これらの深いコンバージョンポイントのみを最適化するといった機能が広告媒体によってありますので、活用していただけると良いのではないでしょうか。

ただその分、CPAも上がったり、自動入札を回すためのコンバージョン数が足りなかったりと折り合いをつける部分が難しかったりもするので、ここも慎重に設計することをおススメします。

コンバージョンポイントにコンバージョンの値を設定しROAS運用も

上記で記載した深いコンバージョンポイントで最適化する上で利用できる運用方法があります。それはROAS運用という自動入札の手法です。広告媒体によってはコンバージョン値の最大化(MAXROAS)、あるいは目標広告費用対効果(TROAS)といった自動入札のメニューです。

そもそもROAS運用とは通販サイトなどで利用されることが多いです。通販であれば商品ごとに売上単価が設定されているので広告費10,000円をかけて20,000円の売上が立ったらROAS200%になりますね。

自動入札のメニューでコンバージョン値の最大化(MAXROAS)を活用すればROASが最大化されるように配信され、目標広告費用対効果(TROAS)でROAS200%を目指して運用すればROAS200%を目指して運用してくれます。

この運用方法をBtoBでも応用することができます。

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上記の図のように各コンバージョンごとにコンバージョンの価値(値)を設定し自動入札の回すやり方になります。例えば、コンバージョン値の最大化(MAXROAS)で自動入札使うと最大化するように入札は動くため、コンバージョンの価値が高いものが取れるようにうごきます。

この運用方法についてはまた別の記載に設定や具体的なやり方は紹介しますが、基本的な考え方はこんな感じです。要するに価値を割振り、コンバージョンの値が最大化されるように運用する方法です。

むやみやたらにコンバージョンポイントを増やせば良い訳ではない

これまでコンバージョンポイントは複数用意した方がよい。と伝えてきましたが、むやみやたらに沢山増やすことは推奨していません。

のちほど、ビジネスフェーズごとに最適なコンバージョンポイントについて記載しますが、立上げの段階のリソースが少ない段階でホワイトペーパーやセミナーなど大量にリードを獲得するポイントを設けてもフォローが追いつけなく、結果受注や購入に繋がりません。

コンバージョンポイントを増やす=商談に引上げるために営業コスト(人件費)がかかると考えてください。CPAは安くなるのですが、見えないコストである営業コストがかかっており、問合せのみで広告を出していた時のほうがトータルの顧客獲得コスト(CAC|カスタマーアクイジションコスト)は安くなる、なんてこともざらであります。

ここがBtoBマーケティングの難しい所なんですが、BtoCと違ってWeb上でのコンバージョンで完結することはほとんどないというところです。リード獲得から営業が登場してクロージングするという流れがほとんどなのではないでしょうか。

だからこそ、リード獲得してからのフローまでをしっかりと構築して最終的な顧客獲得コストも頭に入れて行かないといけませんし、これらを考えてコンバージョンポイントも設計する必要があります

あえてコンバージョンポイントを減らし、見込み客の質を上げるという方法もある

このやり方は上級向けのやり方なのですが、あえてコンバージョンポイントを問合せのみに絞り、問合せの質を高めるという手段があります。

僕の知っているBtoB企業で何社かやっているのですが、
以下のような条件を満たしていないとできません。

・既に業界の中で認知されており、ブランディングができている
・サービスクオリティが高い
・常に一定数のお問合せが来る

要するに企業側のサービス提供よりも需要の方が上回っている状態ですね。この状態ができている場合ではあえて、問合せのハードルを高めて本気で問合せしてくる見込み客のみを相手するため、営業効率も非常に良くなります。

中々、このやり方を実践できるまでになるにはかなりの時間と労力がかかるのでとても大変ですが、できればビジネスをかなり有利に進められます。

ビジネスフェーズごとのコンバージョンポイントについて

立上げの時期や中期、後期とビジネスにはフェーズがあると思います。フェーズに沿ったコンバージョンポイントの設計が必要です。そのビジネスフェーズに合わせたコンバージョンポイントについて説明していきます。

初期

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立上げ初期は営業やマーケティングのリソースも限られています。むしろ様々な業務を兼務していることが多いのではないでしょうか?

リソースが少ない初期ではコンバージョンポイントはシンプルにすることをおススメします。問合せと資料請求や価格表ぐらいのコンバージョンポイントで十分かと思います。商材によっては無料トライアルも設けてもいいかもしれません。

初期の段階からホワイトペーパーなど多くのリストを取るコンバージョンポイントがあってもフォローしきれない終わってしまうケースが多いです。ホワイトペーパーよりも、資料請求などの商談に近いコンバージョンポイントから増やして、商談に繋がるリードの創出に力を注いでいきましょう。

中期

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中期になり、マーケターの採用やインサイドセールスの立ち上げたりするようになってきたら、コンバージョンポイントを増やしていきましょう。その際意識したいのは、商談につながるようなコンバージョンポイントから増やしていくことです。無料トライアルであったり、セミナーであったりなどがおススメでしょうか。

検討が進んでいる人を取れる母数を最大限に増やせるようなコンバージョンポイントを増やすように意識していきましょう。

後期

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ある程度、コンバージョンポイントを増やし切ったら、ホワイトペーパーなどの浅いポイントをふやしていきます。検討が進んでいる段階の見込み客を増やすのには限界が訪れます。やり切ったら、検討初期段階や検討予備軍になるであろう人たちも拾えるようなコンバージョンポイントも意識して増やしていきましょう。

このフェーズになると流石にMAツールなどを活用して、スコアリングなどやっていくなどの話が出てくるでしょう。

まとめ|まずはコンバージョンポイントの設計してから広告を始めよう

最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のような形でBtoB×運用型広告の事例やノウハウを発信していきますので、こんなことが知りたいなどありましたら気軽にコメントください。
引き続き、よろしくお願いいたします。

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