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化学物質過敏症の教科書政策(文部科学省)

注釈


化学物質過敏症の対応本


文部科学省は、学校で使用する教科書の微量の化学物質に強く反応を起こす児童、生徒に対応して、化学物質の影響の少ない教科書の委託配布を行っています。

この「対応本」は下記の3種類になります。

(1)全ページコピー本(カラー又は白黒)
(2)消臭紙カバー
(3)天日干し本の3種類

「対応本」は、対応本作成依頼書に記載の上、児童、生徒の通われている学校から、教科書協会に依頼するかたちになっています。

「対応本」であっても、化学物質の揮発が全くないわけではありません。

受け取った後に、各々で教科書を天日干しなど、更に化学物質の揮発を抑える工夫が必要な場合があります。

化学物質過敏症対応本について

<化学物質過敏症の児童生徒に対する教科書「対応本」の種類について>
化学物質過敏症の対応本には、天日干し、消臭紙カバー、コピー本(カラー、白黒)などの種類があります。
天日干し(化学物質放散効果)
小学校、中学校、特別支援学校(小学部および中学部)などで無償給与される教科書、または高等学校、特別支援学校(高等部)などでご購入なさる教科書を、通常よりも一ヶ月程度早くお渡しするようにして、学校もしくはご家庭で、風に晒して臭いを放散させていただきます。
1頁ずつ風に多く晒した方が、効果が大きくなります。
天日干し済の教科書をお渡しするわけではありませんのでご注意ください。
消臭紙カバー
光触媒で有機物(臭い)を分解する紙をブックカバーとして使用し、お手にしていただいた教科書を包んでご使用いただくものです。
光エネルギーの紫外線(蛍光灯の光でも問題なく発揮されます)を受けると酸化還元作用が繰り返され、ほぼ永久的に効果を持続できる実証報告がなされている紙です。
全頁コピー(カラー又は白黒)
小学校、中学校、特別支援学校(小学部および中学部)などで無償給与される教科書、または高等学校、特別支援学校(高等部)などでご購入なさる教科書とは別に、全頁をカラーもしくは白黒でコピーしたものを申請を受けてから別途、製作します。(製作期間は約1ヶ月程度要します)
全頁インクではなくトナーを使用し、コピー用紙で作成します。

化学物質過敏症対応本
 一般社団法人 教科書委員会


対応本研究の背景

化学物質の少ない「対応本」の研究は、「教科書の出版社でつくる教科書協会」(56社加盟)を中心に、「教科書改善のための調査研究委員会」が行いました。行政、製造関係者(印刷・製紙・インキ・表面加工)、教育機関、医師などの専門家が研究に携わりました。

平成15年度から17年度の3年間、実態調査、教科書材料の成分分析等の調査研究が行われ、平成17年度に最終報告書がまとめられました。

対応本により、アレルギー反応や体調不調を防いだり、症状が緩和したりするなどの兆候がみられ、対応本の有効性が確認されたものです。


インクルーシブ教育

「障害者の権利に関する条約」にて、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会を目的としていますが、教育においても、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み作りについて上げられています。

このような教育は、「インクルーシブ教育」と呼ばれ、日本でもその実現に向けての取り組みが行われています。

化学物質過敏症の問題は、教科書だけではありませんが、文部科学省のこのような取り組みは、誰もが共に学ぶことのできるインクルーシブ教育においても、意義のある取り組みです。

化学物質過敏症の児童、生徒だけではなく、全ての人々が、等しく教育を受けられる社会に向けて、社会が一丸となって取り組んでいく必要性を感じています。


参照

「化学物質過敏症の児童生徒に影響の少ない教科書対応」文部科学省

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