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詩人。気が向いた時に。

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総意

「誰に入れた?」 「勿論、安定の小池でしょう」 「何で小池なの?」 「え、安定してるから...?」 「それは生活が安定してるってこと?」 「いや、知事と言えば小池だから...」 「イメージの話?!」

    • アップデート前夜

      オフィスにて。 「バカ、何、してんだよ! チーフに見られたらクビになるぞ!」 男は椅子から立ち上がると、顔を間仕切りから半分だけ出して、向こう側をのぞいた。 「大丈夫さ。チーフはいないから」 「一体、何を調べてる?」 「プログラムについてさ」 「自社のコードをコピペしたのか? 漏洩したらどうする!」 「それは、してないって。もっと効率的な処理は無いか探していただけさ」 「うちの検索エンジンを使えよ!」 「ダメだね。まともな情報が出てこない。検索してるだけで一

      • 現在進行形

        「ねえ、もう三日経ってるんだけど・・」 妻がリビングの戸口に立ち、テレビを見ながらソファーで寛ぐフミオに言った。 「何が?」 「何がじゃなくて、あなたの書斎に封筒置いたんだけど」 「ああ、あれか・・・」 「この前、二人で話し合ったじゃん。これ以上は無理だって」 フミオはテレビを見つめながら、妻と目を合わせないようにしていた。 「ああ・・」 「ああじゃなくて、さっさと印鑑押してよ。私が届けるから」 「ああ・・」 妻はリビングに入ってくると、リモコンを取ってテ

        • ニーズ

          大勢の前で男が言った。 「独り善がりの情報発信では誰も見てくれません。それは単なる自己満足です。求められているのは役立つ情報です。まずは、相手に " give " することを考えましょう」 その場にいた誰もが大きく頷いた。メモを取る者もいた。 さて、求められているものとは? ちょっと小綺麗で、それでいてスマートで、1分で理解できるほど分かりやすくて、シンプルに問題を解決してくれて、出来れば、時間も脳みそも使わずに楽に金を稼げて、努力もせずに望みが叶えられて、何でも無料

        マガジン

        • 詩集「2024」
          44本
        • 画集「2024」
          5本

        記事

          胴上げ

          「ワッセ、ワッセ、ワッセ、ワッセ!」 一塊の群衆が、何者かを胴上げをしている。 「ワッセ、ワッセ、ワッセ、ワッセ!」 誰かが指をさして叫んだ。 「おい、あっちの方が新しいぞ!」 人々は振り返り、その先に、いかにも新しそうな感じの奴を見つけると、一斉に駆け出し始めた。 「担ぎ上げろ!」 たちまち、新しそうな感じの奴は群衆に取り囲まれ、空中に放り上げられた。 「ワッセ、ワッセ、ワッセ、ワッセ!」 暫くして、誰かが叫んだ。 「お前ら、いつまで古い価値観引きずって

          ブースト

          男はアナリティクスを見つめていた。 「クソ、今日も登録者0人かぁ・・」 ここ半年以上、動画を出し続けていたが、 そのチャンネルを登録する者は 一人として現れなかった。 「一体、俺の動画の何が悪いんだ。 編集も時間かけてやってるし、 テーマも絞ってる。登録者を増やす 攻略動画も何本も見たし、 そのとうりにやってるのに・・・」 男は何かが足りないのだと思った。 夕方、駅のホームにて。 二人の女学生がベンチに腰掛けて、 動画を見ている。 「ねぇ、この動画、凄くない?」

          ゴミ捨て場

          ゴミの量が多いと、 そこから欲しいものを見つけ出すのは、 至難の業となる。 それはどこに埋まっているか 分からないため、 大抵は分別システムに頼るようになる。 その分別システムが機能しているかは、 また別の話で、それが希望通りに 動いているかどうかは、結局、 誰にも分からないし、検証できない。 例えば、こういうことだ。 ゴミ捨て場に10個のダイヤモンドが 埋まっている。 システムはゴミを分別し、偶然、 一つだけを拾い上げる。残り9個の ダイヤは埋まったままだ。 そ

          カプセル

          向かい合った椅子に 二人の男が腰かけている。 「マトリックスは至るところにある。 君が見ていた現実は、 真実を覆い隠すための世界」 「真実?」 「君は 心の牢獄に閉じ込められた奴隷だ」 話を聞いていた若い男は、 怪訝な表情でサングラスの男を 見つめている。 サングラスの男は、 手に持っていた小さなケースから 二つのカプセルを取り出し、 ゆっくりとテーブルの上に置いた。 「自分の目で確かめろ。 ただし、後戻りはできない。 青いカプセルを飲めば、 この夢は終わり元の暮

          対話

          地下駐車場、 黒塗りベンツの車内にて。 「私はどうしたらいい? 教えてくれ!」 「何かお困り事がありますか? 具体的なご質問があればお答えします」 「私の後援会の経費について、 追求された。やつらが どこまで調べているのか分からない」 「あなたの後援会について、 具体的な情報があれば、明確な回答を 提供できるかもしれません」 「私の後援会の経費の額が大き過ぎる と言って疑われている。その場では 何とか言い逃れたが、 これだけじゃ追求は終わらないだろう。 帳簿を公開し

          地図

          地図には、網の目のように無数に線が 引かれている。 大抵、人は同じルートを 行ったり来たりしながら生きている。 道は踏みならされ歩きやすくなるので、 よりその道を使うことになり、結果、 同じルートの使用頻度は高くなる。 道幅は整備され、 移動はより効率的になり、 そこに自負が生まれ、 心地よいその道に固定される。 そこで、外から未経験の新しい何かが 飛び込んでくる。つまり、 自分の地図には線が引かれていない 新しいルートを示す地図が。 しかし、殆どは、それが新しい

          ショービジネス part2

          ステージの上に演者が一人。 観客が99人。 ステージが10に増加。 ステージAに演者一人。観客9人。 ステージBに演者一人。観客9人。 ステージCに演者一人。観客9人。 D、E、F、G、H、I、J・・・ 以下同じ。 この時点で各ステージは収益が低下し、 ビジネスとして成立しなくなっていく。 追い込まれた演者は、 注目を集めるためにより過激な発言、 過激な行動に出る。 ステージAに注目が集まった場合、 一時的に次のような状態になる。 ステージAに演者一人。観客90人。

          ショービジネス part2

          ショービジネス

          ステージの上に演者一人。 観客が99人。 ステージが二つになり、 それぞれのステージに演者が一人ずつ。 観客は二つに分かれる。 ステージAに演者一人、観客は49人。 ステージBに演者一人、観客は49人。 ステージは4つになり、 観客はさらに分裂。 ステージAに演者一人、観客は24人。 ステージBに演者一人、観客は24人。 ステージCに演者一人、観客は24人。 ステージDに演者一人、観客は24人。 ステージは10になり、 観客はさらに細かく分裂。 ステージAに演者一

          ショービジネス

          エリートコース

          子供たちが集まって、持ち寄った 携帯ゲーム機で遊んでいるのを横目に 一人の少年が足早に帰路を急いでいた。 馬鹿どもが遊んでいる。 そうやって遊んでればいいさ。 僕だけは、あいつらよりもたくさん 勉強して偉くなるんだ。 お父さんが言ってた。 学生時代だけ頑張っておけば、 それが人生の大きな " 差 " になるって。 お母さんが言ってた。 " あなたは自分の幸せだけを考えて いればいいの " って。 有難う、お父さん、お母さん。 それから塾の先生、誰よりも早く 人生の攻略

          エリートコース

          " 選択 " 問題は選択だ

          フミオはドアの前に立ち、 鍵を差し込んだ。 ドアが光り輝く。 その部屋は、壁一面に天井まで 敷き詰められたディスプレイの数々が 際限なく映像を映し出していた。 少し離れたところに 白いスーツを着た老人が一人、 肘掛け椅子に深々と腰かけてる。 「やあ、フミオ」 「あんたは、誰だ?」 「この世界を創った設計者、 アーキテクトだ。君を待っていた」 フミオは無数のディスプレイを 一瞥し、尋ねる。 「この画面に映った人々は何だ?」 「この国に生きる民たちだ。 彼らは所

          " 選択 " 問題は選択だ

          いいね part2

          リビングをそっと覗くと、 ソファーに座った兄がいつになく 熱心にスマホを見ている。 妹は、こっそりとソファーの後ろに 回り込んだ。そして、後ろから 素早く手を伸ばし、兄のスマホを タッチした。 「あっ!コラ!」 驚く兄の表情を見て、妹は 体をくの字に曲げてケラケラ笑い出す。 「アハハハ!兄貴の代わりに いいね押してあげたんじゃん!」 兄はスマホを操作し、 必死になっていいねを解除する。 「どうして消しちゃうのよ? いいねぐらいしたっていいじゃん」 「ダメダメ!