見出し画像

いいね part2

リビングをそっと覗くと、
ソファーに座った兄がいつになく
熱心にスマホを見ている。

妹は、こっそりとソファーの後ろに
回り込んだ。そして、後ろから
素早く手を伸ばし、兄のスマホを
タッチした。

「あっ!コラ!」

驚く兄の表情を見て、妹は
体をくの字に曲げてケラケラ笑い出す。

「アハハハ!兄貴の代わりに
いいね押してあげたんじゃん!」

兄はスマホを操作し、
必死になっていいねを解除する。

「どうして消しちゃうのよ?
いいねぐらいしたっていいじゃん」

「ダメダメ!
俺のアカウントに合わないから!」

「どうゆうこと?
合わないって何よ!さっきは
あんなに一生懸命見てたじゃない!」

「ブランディングってもんが
あるんだって!」

「ブランディング? 兄貴が?
何それー!アハハハハッ」

「お・・おい・・
そんなに笑うことないだろ。
おかしいかな・・」

困り顔の兄をよそに、
妹は倒れ込み腹を抱えて笑い続ける。

「ブッ・・ブラ・・ブランディング!
アハハハ!何カッコつけてんの!
アハハハハハ!」

「これはアカウントを成長させる
戦略なんだって・・」

「せっ・・せんりゃく!アハハハッ
しょーもなっ!しょーもなっ!
やめてやめて、お願い!
お腹痛い・・・アハハハハ!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?