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【エッセイ】「やだ」の意味について考える

 父の仕事の都合で、小学校4年生の時に熊本から千葉へ転校した。
 転校先は同じ日本国内であり標準語圏なので、基本的に言葉は通じた。
 それでも、それぞれの地域ならではの言語はあるもので、中には理解に苦しむ言葉もあった。
 それが、今回話題にする「やだ」という言葉だ。

 クラスの女子達が、楽しい話をしていると必ず口にする言葉があった。
 「え~、うそ~、やだ~」だ。
 毎日、笑顔で、何度も、まるで息をするように、「やだ~」と言う。
 それは、転校元の熊本では見られない光景だった。
 あまりにもやだやだと言うので、不思議に思った私が、「嫌なの?」とその1人に尋ねたことがある。
 すると真顔になった少女は、「嫌じゃないよ」と不機嫌そうに答えた。あんたのその質問の方が嫌だよ、と言わんばかりに、だ。
 嫌でもないのに「やだ」と言うのはどういうことだろう。
 わけがわからない。
 それでも私は、そのわからないことの究明をやめた。
 きっと彼女らは、「やだ」という言葉を、特別深い意味もなく使っているのだろう。追及したところで何かが解明されたりはしないのだろう。
 当時の私はそう思ったのだ。

 「やだ」という言葉を分解すると、「や」と、断定の意味を持つ「だ」に分けられる。
 「『や』である」というわけだ。
 そして「や」の語源は「いや」であり、「いや」が略されて「や」となる。
 つまり「やだ」は、「いやである」という意味だ。
 そのため、当時の私は「嫌なの?」と尋ねたのだ。
 ところがである。
 最近見たあるテレビ番組の登場人物の言葉に、ハッとさせられた。
 その登場人物は、「いや~、まさか〇〇が△△だったとはね!」と言ったのだ。
 その言葉で私は、「いや」は「嫌」ではないのかもしれないと思ったのだ。 
 私は改めて、「いや」、「やだ」について調べてみることにした。


.いや〔ゐや〕【▽礼】 の解説
敬うこと。尊敬すること。礼儀。うや。

.いや【祖谷】 の解説
徳島県三好 (みよし) 市の祖谷川・松尾川両流域一帯の称。平家落人 (おちうど) 伝説を伝える集落が多い。

3.イヤ【ear】 の解説
《「イヤー」とも》耳。

.いや【嫌/×厭】 の解説
《「否 (いや) 」と同語源》
1[形動][文][ナリ]
① 欲しないさま。したくないさま。きらいだ。
② 不愉快なさま。
[派生]いやがる[動ラ五]いやさ[名]
2[接頭]《近世上方語》名詞に付いて、いやな、いとわしい、の意を表す。

.い‐や【▽弥】 の解説
[副]《程度がはなはだしいさまを表す副詞「や」に接頭語「い」の付いたもの》
1 いよいよ。ますます。
2 きわめて。いちだんと。たいそう。
3 最も。いちばん。

.いや の解説
[感]
1 驚いたり感嘆したりしたときに発する語。やあ。
2 人に呼びかけるときや言い始めるときに発する語。

.いや【▽否】 の解説
[感]《「嫌 (いや) 」と同語源》
1 相手の言ったことを否定し、自分の考えを述べようとするときに用いる語。いいえ。いえ。
2 自分が言ったこと、考えていたことを取り消すときに用いる語。
3 否定も肯定もしないで、話の合間に何となく発する語。

goo辞書  いや とは? 意味・読み方・使い方(各項目の数字は見やすさを考慮して追記)  


 想定していたより色々意味があった。言葉とは奥深いものだ。
 そして、今まで私が判断していた「いや」が「.いや【嫌/×厭】」であり、新たに気づかされた「いや」が「.いや」とわかった。
 読み返しても、の「いや」は、今回の話題とは関係なさそうだと感じるため、この記事内において今後は言及しないこととする。
 改めて以下に、上記では省いた使用例を含めての「いや」を示してみる。
 また、「やだ」について言及した記事も見つけたので、併せて該当部分を示してみる。


.いや【嫌/×厭】 の解説
《「否 (いや) 」と同語源》
1[形動][文][ナリ]
① 欲しないさま。したくないさま。きらいだ。「—なものは—だ」「ピアノのレッスンがだんだん—になる」
② 不愉快なさま。「—な顔一つせず手伝う」「会合で—な思いをする」「—な天気」→いやに
[派生]いやがる[動ラ五]いやさ[名]
2[接頭]《近世上方語》名詞に付いて、いやな、いとわしい、の意を表す。「—客」「—勤め」
「茨木屋にて御存じの—男にあひ申し候」〈浮・一代男・七〉

.いや の解説
[感]
1 驚いたり感嘆したりしたときに発する語。やあ。「—、これはすごいね」
2 人に呼びかけるときや言い始めるときに発する語。
「—申し、ちと申し上げたい事がござる」〈虎寛狂・附子〉

goo辞書  いや とは? 意味・読み方・使い方(各項目の数字は見やすさを考慮して追記)


「やだ」という言葉の使い方や例文を解説!【やだの使い方や例文をご紹介】

「やだ」という言葉は、拒否の意思を示す表現として使用されます。例えば、「お野菜を食べなさい」と言われたときに、「やだ」と言うことで、拒否の意思を表すことができます。

また、「やだ」という言葉は、「嫌だ」という気持ちを表現する時にも使われます。例えば、友達から誘われても、行くのが嫌だと感じたときには、「やだ」と言うことで、拒否の意思を示すことができます。

さらに、「やだ」という言葉は、「驚きや困惑」を表す表現としても使用されます。例えば、「突然のプロポーズに対して、彼女は『やだ』と叫んでしまった」などのように使用されます。

コトバスタ 「やだ」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!


 「やだ」について言及した記事によると、「やだ」には、拒否の意思や、驚きや困惑を表すことがわかる。
 併せて考えると、上記の「いや」と「だ」が拒否の意思を表す「やだ」になり、上記の「いや」と「だ」が驚きや困惑を表わす「やだ」になったと言えそうだ。

 つまり、かつて千葉で小学4年生のクラスメート女子達が言っていた「え~、うそ~、やだ~」は、「え~、うそ~、びっくり~」とか、「え~、うそ~、驚き~」という意味だった…………のかもしれない。



 もちろん、特別深い意味もなく使っていたのかもしれない、とも思うが。

 ちなみに、ネット検索にて「やだ~」という文言そのものを調べようとした際に、Microsoft BingのAIであるCopilotから返された言葉が以下になる。


やだ~って気持ち、よくわかります。時々、私もそう思います。人生は時々厳しいことがあるけれど、前向きに考えることが大切ですね。何かお手伝いできることがあれば教えてください!😊

Copilot


 やっぱりまずはそう判断しちゃうよね、と思った話。



ありがとうございました





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