瑳月 友(さづき ゆう)

第3回『THE NEW COOL NOTER賞』エッセイ部門特別賞受賞。不定期に小説・…

瑳月 友(さづき ゆう)

第3回『THE NEW COOL NOTER賞』エッセイ部門特別賞受賞。不定期に小説・詩・短歌・エッセイ投稿。非フォロバ100%。 http://radius7.blue.coocan.jp/ http://radius7.blue.coocan.jp/moon.html

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【詩】抱き締める

別れの場面で君に抱き締められた 3歳年上の君は 半年~数年に1度会うくらいの 付き合いの長い友人 深い話もできる良き理解者で かなり信頼している と思ってる それでも 久しぶりに再会し共に時間を過ごした後 別れを惜しむように抱き締めてくれる君に 嬉しいけれど戸惑う自分もいる 君にとっては自然な親愛表現も 自分にとってはそうじゃないから パートナーには行う抱き締める行為を 他の人にはしようとも思わないのは 手放しで自身を委ねるほどには 感情を曝け出すことに遠慮があるから

    • 【掌編小説】寝返り

       俺は交通事故に遭い、入院した。  手術を受け、怪我も治り、数ヶ月後に無事迎えた退院。  以前と変わりのない生活が始まりそうではあるが、1つだけ変わったことがある。  これを機に、俺は寝返りが打てなくなったのだ。  入院した最初の夜、俺は自分が寝返りを打てなくなっていることに気づいた。  浅い眠りのせいで夜中に何度か目が覚め、その度に、寝返りを打っていない体の向きを、意識して変えた。  寝返りって無意識にやってたんだな、なんて、改めて気づかされた。  病院のベッドが狭くて寝

      • 【短歌】語らぬままに

        瑕疵のない無難な人生示すよう          諭す 転職アドバイザーは 見苦しく悩みもがいたあの頃が       なければ「今」もないはずなのに 生きづらさ抱え苦しみ乗り越えて          歩んだ日々は消せない誇り 表面を擦り合わすのみの相手には          語らぬままの劇的な過去  最後まで読んでいただきありがとうございました。  よかったら「スキ」→「フォロー」していただけると嬉しいです。  コメントにて感想をいただけたらとても喜びます。

        • 【詩】扇動者

          暗雲垂れ込めるその場所は 愚痴と恨みと呪いに満ちて 澱んだ空気は息苦しい 攻撃的で先鋭的に 表現を変え言い方を変え 並べてみせる類似の非難 狂気に憑りつかれたかのよう 盟約を固持するかのように 受け付けられない他の意見 その叫びは世を動かすのか? 糾弾は世界を変えるのか? わからない でもうんざりなんだ いつかあなたが亡くなったなら 墓標に刻まれるのだろうか 「独自の正義に生きた人」と  最後まで読んでいただきありがとうございました。  よかったら「スキ」→「フォロ

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        記事

          【短編小説】2人をつなぐ風

           もう少しだ。  夏休みも終わりに近づいた暑い日の午後、僕は少し息を弾ませながら、お気に入りの高台へ向けて自転車で坂を上っていた。  そこはベンチしかない、公園とさえ呼べない小さな展望所。  傍に立つ大きな木が日影を作り、暑い最中においても不思議と風がよく通る。  風に吹かれながら、眼下に広がる家々や田畑、道を行き交う車を眺めていると、憂鬱な気分も少しは紛れる。  そんな、1人になるには持って来いの場所だ。  そもそも僕は1人でいることが多い。  小学校では、体が小さく運動

          【短編小説】2人をつなぐ風

          note3年~3年半での高スキ率記事ベスト4

           noteを始めて3年半が経ちました。  note3年以降これまでの全投稿記事26本について、スキ数を閲覧(ビュー)数で割った数、スキ率を出しましたので、スキ率の高かった記事、ベスト4を発表します。  第4位は「【ショートショート】代行稼業」です。スキ率は23.2%でした。初めて、1つの作品に3つも「うれしいお知らせ」をもらったことでも記憶に残っています。  現在でも「運転代行業」や「家事代行業」などを耳にしますが、出生率の低下により人口減少が進んだ社会では、もっと多くの場

          note3年~3年半での高スキ率記事ベスト4

          【短歌】ゆりのように

          語らずにいた曲折も丸ごとに         認め寄り添う言葉が染みる そうとしか生きられずにいる性分の        ままに歩こう 凛と背伸ばし 真っ直ぐに重ねる努力と強い芯        ゆりのようにと誇って生きる  敬意と感謝を込めて。  最後まで読んでいただきありがとうございました。  よかったら「スキ」→「フォロー」していただけると嬉しいです。  コメントにて感想をいただけたらとても喜びます。

          【短歌】ゆりのように

          お知らせ(2024/8/5)

           7月2日に、お祝いメッセージが届きました。  「記事への合計15000回スキ」についてのお祝いでした。  これまで、みなさんからたくさんのスキをいただいた結果です。  あらためて、ありがとうございます。  そして7月15日に、うれしいお知らせが届きました。   「【掌編小説】駆け抜ける」に対するお知らせでした。  みなさんからスキをいただいた結果です。  ありがとうございます。  更に7月29日に、うれしいお知らせが届きました。   「フォロー整理を行います(2

          【短歌エッセイ】過ぎ行く夏の思い出

           1995年の7月、私は持病で入院していた。4月末から8月中旬までの約3ヶ月半の入院。  たいして重病ではなく、常にベッドでの安静を要するような入院生活ではなかったので、普通に日常生活を送りながら、自分の分と同室患者の分の花の水を換えたり、読書をしたり、短歌を作るような創作活動をして過ごしていた。  病院の外には大きな木が植えられていて、窓からそれを眺めて過ごすこともあった。  ある時、青空を背に、大きな木から伸びる太い枝ごと、細い枝々や葉が大きく揺れているのが見えた。  入

          【短歌エッセイ】過ぎ行く夏の思い出

          フォロー整理を行います(2024/8/18予定)

           2021年2月18日に初投稿して以降、3年5ヶ月が過ぎました。  フォロワーのみなさんには、いつもスキやコメントで支えていただき、ありがとうごいます。  私が相互フォローしている方のほとんどは、フォローしていただいた方にこちらからフォローバックしたものです。  フォローしていただくだけでもありがたいとは思います。  ただ、お互いの記事を読み合い「スキ」をし合う等の交流が絶え、長くて11ヶ月短くて5ヶ月以上の期間、何の音沙汰もない方が、私がフォローバックした相互フォローの

          フォロー整理を行います(2024/8/18予定)

          【詩】遠い過去になったからこそ

          幸せになってほしい人がいる あの日、あの時、あの時代 あの人、その人、あの人ら 彼ら、彼女ら、あのメンバー 友だった、親友だった、仲間だった 意見が合わずにぶつかって 別々の道を歩むことを決めた過去 果てしない荒野をさまよいながら 自身に生き方を問い続けていたあの頃は 表面的な妥協を選べないまま 曲げずに貫くことしかできなかった 穏やかとは言えない別れもあったし 再び会う可能性も限りなく低いだろう それでも、時を経た今 振り返って思うんだよ あの頃が遠い過去になったから

          【詩】遠い過去になったからこそ

          【掌編小説】駆け抜ける

           放課後、図書室前の廊下で見かけたのは、貼られた1枚のポスターだった。  七夕飾りの絵と、『七夕の願い事を1人1枚短冊に書けます。短冊は図書室受付にて配布中。』という手書き文字のポスター。  図書室の入口から室内を伺うと、図書の貸出や返却の手続きをする受付の近く、窓際の空きスペースに、葉をつけた笹の木があり、七夕飾りや短冊が吊るされていた。  願い事は、ある。  高校3年生の俺にとって、今年が最後の全国高校総合体育大会。  陸上部に所属する俺は、去年は怪我からの復帰後で思うよ

          【掌編小説】駆け抜ける

          【短歌エッセイ】七夕を巡る思い出

           少し前の6月20日に、月1回の持病の診察を受けに、かかりつけ医を訪ねた時のこと。  その医院は、1階に入口があり、受付や診療は2階で行われているのだが、2階に向かう階段の踊り場の壁に、布の絵がかけてあるのが目に入った。  これがその写真だ。  6月だったのでまだ意識はしていなかったが、そうか、もうすぐ七夕だったな、と思い出された。  実際に、笹や七夕飾りを用意するのもいいが、本業に差し支えてはいけない。  絵一枚で、季節の風情を感じられ、受診する患者の気持ちを少しでも和ら

          【短歌エッセイ】七夕を巡る思い出

          【短歌】雨

          人知れず 君がこぼしし あの涙         雨となり今 流るるが見ゆ 強くなり また弱くなる 雨音は         波となり染む 乾きし胸に ぽつぽつは ざあざあとなる 客席に         鳴る万雷の 拍手のごとく  最後まで読んでいただきありがとうございました。  よかったら「スキ」→「フォロー」していただけると嬉しいです。  コメントにて感想をいただけたらとても喜びます。

          お知らせ(2024/6/17)

           6月3日に、うれしいお知らせが届きました。   「【エッセイ】「やだ」の意味について考える」に対するお知らせでした。  みなさんからスキをいただいた結果です。  ありがとうございます。  更に今日6月10日に、うれしいお知らせが届きました。   「【ショートショート】代行稼業」に対するお知らせでした。  みなさんからスキをいただいた結果です。  1つの作品に3つもお知らせをもらったのは初めてで、驚きましたが嬉しかったです。  ありがとうございます。  12日から

          【詩】毒親

          毒親 それは子供の毒になる親 何度もくり返し子供を傷つけ 愛情を注いでの養育を放棄し 自身の精神安定のために子供を抑圧する 冷え切った家庭の支配者 「毒親」という言葉を酷く嫌悪する人がいる まるで毒親という概念があるから 親子がよりこじれると思っているかのように 育った温かな家庭に毒親はいなかったんだね 体感しない世界に毒親がいるとは思えず 世の子供が毒親と呼ぶのが許せないんだね それでも確かに毒親は存在するんだよ 毒親という言葉をなくせば 毒親がいなくなるわけじゃない