瑳月 友(さづき ゆう)

第3回『THE NEW COOL NOTER賞』エッセイ部門特別賞受賞。不定期に小説・…

瑳月 友(さづき ゆう)

第3回『THE NEW COOL NOTER賞』エッセイ部門特別賞受賞。不定期に小説・詩・短歌・エッセイ投稿。非フォロバ100%。 http://radius7.blue.coocan.jp/ http://radius7.blue.coocan.jp/moon.html

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記事一覧

【詩】抱き締める

別れの場面で君に抱き締められた 3歳年上の君は 半年~数年に1度会うくらいの 付き合いの長い友人 深い話もできる良き理解者で かなり信頼している と思ってる それで…

【掌編小説】寝返り

 俺は交通事故に遭い、入院した。  手術を受け、怪我も治り、数ヶ月後に無事迎えた退院。  以前と変わりのない生活が始まりそうではあるが、1つだけ変わったことがある…

【短歌】語らぬままに

瑕疵のない無難な人生示すよう          諭す 転職アドバイザーは 見苦しく悩みもがいたあの頃が       なければ「今」もないはずなのに 生きづらさ抱え…

【詩】扇動者

暗雲垂れ込めるその場所は 愚痴と恨みと呪いに満ちて 澱んだ空気は息苦しい 攻撃的で先鋭的に 表現を変え言い方を変え 並べてみせる類似の非難 狂気に憑りつかれたかのよ…

【短編小説】2人をつなぐ風

 もう少しだ。  夏休みも終わりに近づいた暑い日の午後、僕は少し息を弾ませながら、お気に入りの高台へ向けて自転車で坂を上っていた。  そこはベンチしかない、公園と…

note3年~3年半での高スキ率記事ベスト4

 noteを始めて3年半が経ちました。  note3年以降これまでの全投稿記事26本について、スキ数を閲覧(ビュー)数で割った数、スキ率を出しましたので、スキ率の高かった…

【短歌】ゆりのように

語らずにいた曲折も丸ごとに         認め寄り添う言葉が染みる そうとしか生きられずにいる性分の        ままに歩こう 凛と背伸ばし 真っ直ぐに重ねる…

お知らせ(2024/8/5)

 7月2日に、お祝いメッセージが届きました。  「記事への合計15000回スキ」についてのお祝いでした。  これまで、みなさんからたくさんのスキをいただいた結果です。…

【短歌エッセイ】過ぎ行く夏の思い出

 1995年の7月、私は持病で入院していた。4月末から8月中旬までの約3ヶ月半の入院。  たいして重病ではなく、常にベッドでの安静を要するような入院生活ではなかった…

フォロー整理を行います(2024/8/18予定)

 2021年2月18日に初投稿して以降、3年5ヶ月が過ぎました。  フォロワーのみなさんには、いつもスキやコメントで支えていただき、ありがとうごいます。  私が相互フ…

【詩】遠い過去になったからこそ

幸せになってほしい人がいる あの日、あの時、あの時代 あの人、その人、あの人ら 彼ら、彼女ら、あのメンバー 友だった、親友だった、仲間だった 意見が合わずにぶつか…

【掌編小説】駆け抜ける

 放課後、図書室前の廊下で見かけたのは、貼られた1枚のポスターだった。  七夕飾りの絵と、『七夕の願い事を1人1枚短冊に書けます。短冊は図書室受付にて配布中。』…

【短歌エッセイ】七夕を巡る思い出

 少し前の6月20日に、月1回の持病の診察を受けに、かかりつけ医を訪ねた時のこと。  その医院は、1階に入口があり、受付や診療は2階で行われているのだが、2階に向…

【短歌】雨

人知れず 君がこぼしし あの涙         雨となり今 流るるが見ゆ 強くなり また弱くなる 雨音は         波となり染む 乾きし胸に ぽつぽつは ざ…

お知らせ(2024/6/17)

 6月3日に、うれしいお知らせが届きました。   「【エッセイ】「やだ」の意味について考える」に対するお知らせでした。  みなさんからスキをいただいた結果です。…

【詩】毒親

毒親 それは子供の毒になる親 何度もくり返し子供を傷つけ 愛情を注いでの養育を放棄し 自身の精神安定のために子供を抑圧する 冷え切った家庭の支配者 「毒親」という言…

【詩】抱き締める

【詩】抱き締める

別れの場面で君に抱き締められた

3歳年上の君は
半年~数年に1度会うくらいの
付き合いの長い友人
深い話もできる良き理解者で
かなり信頼している
と思ってる

それでも
久しぶりに再会し共に時間を過ごした後
別れを惜しむように抱き締めてくれる君に
嬉しいけれど戸惑う自分もいる
君にとっては自然な親愛表現も
自分にとってはそうじゃないから

パートナーには行う抱き締める行為を
他の人にはしようとも

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【掌編小説】寝返り

【掌編小説】寝返り

 俺は交通事故に遭い、入院した。
 手術を受け、怪我も治り、数ヶ月後に無事迎えた退院。
 以前と変わりのない生活が始まりそうではあるが、1つだけ変わったことがある。
 これを機に、俺は寝返りが打てなくなったのだ。

 入院した最初の夜、俺は自分が寝返りを打てなくなっていることに気づいた。
 浅い眠りのせいで夜中に何度か目が覚め、その度に、寝返りを打っていない体の向きを、意識して変えた。
 寝返りっ

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【短歌】語らぬままに

【短歌】語らぬままに

瑕疵のない無難な人生示すよう 
        諭す 転職アドバイザーは

見苦しく悩みもがいたあの頃が 
     なければ「今」もないはずなのに

生きづらさ抱え苦しみ乗り越えて 
        歩んだ日々は消せない誇り

表面を擦り合わすのみの相手には
         語らぬままの劇的な過去

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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【詩】扇動者

【詩】扇動者

暗雲垂れ込めるその場所は
愚痴と恨みと呪いに満ちて
澱んだ空気は息苦しい

攻撃的で先鋭的に
表現を変え言い方を変え
並べてみせる類似の非難

狂気に憑りつかれたかのよう
盟約を固持するかのように
受け付けられない他の意見

その叫びは世を動かすのか?
糾弾は世界を変えるのか?
わからない でもうんざりなんだ

いつかあなたが亡くなったなら
墓標に刻まれるのだろうか
「独自の正義に生きた人」と

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【短編小説】2人をつなぐ風

【短編小説】2人をつなぐ風

 もう少しだ。
 夏休みも終わりに近づいた暑い日の午後、僕は少し息を弾ませながら、お気に入りの高台へ向けて自転車で坂を上っていた。
 そこはベンチしかない、公園とさえ呼べない小さな展望所。
 傍に立つ大きな木が日影を作り、暑い最中においても不思議と風がよく通る。
 風に吹かれながら、眼下に広がる家々や田畑、道を行き交う車を眺めていると、憂鬱な気分も少しは紛れる。
 そんな、1人になるには持って来い

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note3年~3年半での高スキ率記事ベスト4

note3年~3年半での高スキ率記事ベスト4

 noteを始めて3年半が経ちました。
 note3年以降これまでの全投稿記事26本について、スキ数を閲覧(ビュー)数で割った数、スキ率を出しましたので、スキ率の高かった記事、ベスト4を発表します。

 第4位は「【ショートショート】代行稼業」です。スキ率は23.2%でした。初めて、1つの作品に3つも「うれしいお知らせ」をもらったことでも記憶に残っています。
 現在でも「運転代行業」や「家事代行業

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【短歌】ゆりのように

【短歌】ゆりのように

語らずにいた曲折も丸ごとに
        認め寄り添う言葉が染みる

そうとしか生きられずにいる性分の
       ままに歩こう 凛と背伸ばし

真っ直ぐに重ねる努力と強い芯
       ゆりのようにと誇って生きる

 敬意と感謝を込めて。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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お知らせ(2024/8/5)

お知らせ(2024/8/5)

 7月2日に、お祝いメッセージが届きました。

 「記事への合計15000回スキ」についてのお祝いでした。
 これまで、みなさんからたくさんのスキをいただいた結果です。
 あらためて、ありがとうございます。

 そして7月15日に、うれしいお知らせが届きました。 

 「【掌編小説】駆け抜ける」に対するお知らせでした。

 みなさんからスキをいただいた結果です。
 ありがとうございます。

 更に

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【短歌エッセイ】過ぎ行く夏の思い出

【短歌エッセイ】過ぎ行く夏の思い出

 1995年の7月、私は持病で入院していた。4月末から8月中旬までの約3ヶ月半の入院。
 たいして重病ではなく、常にベッドでの安静を要するような入院生活ではなかったので、普通に日常生活を送りながら、自分の分と同室患者の分の花の水を換えたり、読書をしたり、短歌を作るような創作活動をして過ごしていた。
 病院の外には大きな木が植えられていて、窓からそれを眺めて過ごすこともあった。
 ある時、青空を背に

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フォロー整理を行います(2024/8/18予定)

フォロー整理を行います(2024/8/18予定)

 2021年2月18日に初投稿して以降、3年5ヶ月が過ぎました。
 フォロワーのみなさんには、いつもスキやコメントで支えていただき、ありがとうごいます。

 私が相互フォローしている方のほとんどは、フォローしていただいた方にこちらからフォローバックしたものです。

 フォローしていただくだけでもありがたいとは思います。
 ただ、お互いの記事を読み合い「スキ」をし合う等の交流が絶え、長くて11ヶ月短

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【詩】遠い過去になったからこそ

【詩】遠い過去になったからこそ

幸せになってほしい人がいる

あの日、あの時、あの時代
あの人、その人、あの人ら
彼ら、彼女ら、あのメンバー
友だった、親友だった、仲間だった

意見が合わずにぶつかって
別々の道を歩むことを決めた過去
果てしない荒野をさまよいながら
自身に生き方を問い続けていたあの頃は
表面的な妥協を選べないまま
曲げずに貫くことしかできなかった
穏やかとは言えない別れもあったし
再び会う可能性も限りなく低いだ

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【掌編小説】駆け抜ける

【掌編小説】駆け抜ける

 放課後、図書室前の廊下で見かけたのは、貼られた1枚のポスターだった。
 七夕飾りの絵と、『七夕の願い事を1人1枚短冊に書けます。短冊は図書室受付にて配布中。』という手書き文字のポスター。
 図書室の入口から室内を伺うと、図書の貸出や返却の手続きをする受付の近く、窓際の空きスペースに、葉をつけた笹の木があり、七夕飾りや短冊が吊るされていた。
 願い事は、ある。
 高校3年生の俺にとって、今年が最後

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【短歌エッセイ】七夕を巡る思い出

【短歌エッセイ】七夕を巡る思い出

 少し前の6月20日に、月1回の持病の診察を受けに、かかりつけ医を訪ねた時のこと。
 その医院は、1階に入口があり、受付や診療は2階で行われているのだが、2階に向かう階段の踊り場の壁に、布の絵がかけてあるのが目に入った。

 これがその写真だ。
 6月だったのでまだ意識はしていなかったが、そうか、もうすぐ七夕だったな、と思い出された。
 実際に、笹や七夕飾りを用意するのもいいが、本業に差し支えては

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【短歌】雨

【短歌】雨

人知れず 君がこぼしし あの涙
        雨となり今 流るるが見ゆ

強くなり また弱くなる 雨音は
        波となり染む 乾きし胸に

ぽつぽつは ざあざあとなる 客席に
        鳴る万雷の 拍手のごとく

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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お知らせ(2024/6/17)

お知らせ(2024/6/17)

 6月3日に、うれしいお知らせが届きました。 

 「【エッセイ】「やだ」の意味について考える」に対するお知らせでした。

 みなさんからスキをいただいた結果です。
 ありがとうございます。

 更に今日6月10日に、うれしいお知らせが届きました。 

 「【ショートショート】代行稼業」に対するお知らせでした。

 みなさんからスキをいただいた結果です。
 1つの作品に3つもお知らせをもらったのは

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【詩】毒親

【詩】毒親

毒親
それは子供の毒になる親
何度もくり返し子供を傷つけ
愛情を注いでの養育を放棄し
自身の精神安定のために子供を抑圧する
冷え切った家庭の支配者

「毒親」という言葉を酷く嫌悪する人がいる
まるで毒親という概念があるから
親子がよりこじれると思っているかのように
育った温かな家庭に毒親はいなかったんだね
体感しない世界に毒親がいるとは思えず
世の子供が毒親と呼ぶのが許せないんだね

それでも確か

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