ねこラーメン

田舎に住んでいる考古学徒。日々読んでいる本や論文。博物館展示やトピック的調査成果を紹介…

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田舎に住んでいる考古学徒。日々読んでいる本や論文。博物館展示やトピック的調査成果を紹介していきたいと思います。

最近の記事

NO.028  考古学読書録 2024年1月に読んだものから

最近、記事とともに、少しずつ読書録を載せてきましたが、ようやく2024年分に突入することに。 今年の1月はいきなり自然災害に見舞われ、気持ちが沈んでしまい、なかなか論文読もうという気分にならなかったことを覚えています。 以下、2024年1月によんだものからです。いくつかには小さな感想も載せています。 【貝】 金 鐘佑2022「慶州皇南大塚南墳より出土した新羅鸚鵡杯」『金大考古』81  ←日本でも出土を想定しないといけない。 【官衙】 杉原敏之2012「大宰府の考古

    • NO.027 資料調査に行く 

       先日、他県へ資料調査に出かけました。しかも、お泊り。  見せていただいたものは、個人的な研究のためではなく、仕事関係。ということで、マニアックなものではなく、名前をあげれば、考古学に関心がある方は誰もが「おおっ」と思えるような著名なものも見せていただきました。その分、注意も必要なんですが・・・。  今回の資料は、図録や実測図ではすでに頭に入っているつもりでしたが、やはり手にしてみると得られる情報はけた違いに増加しますね。いくつか新知見も得ることができ、大収穫だったと言え

      • NO.026 大学図書館にいく

         これまで必要な文献は、①購入する、②大学研究室や調査機関で閲覧の2パターンでしたが、この度、出身校ではない大学図書館デビューを果たしました。  最近は考古関係の古書の値段が下がっていて、昔買えなかった論集などを古書で購入していましたが、家の書庫もちょっと手狭な状態・・・ということで、大学図書館にアプローチしたところです。  初めて訪問したこの大学図書館、じつは考古関係の文献が充実していて、今後はここで閲覧させていただくことになりそうです。しかも手続きを踏めば貸出票も作っ

        • NO.025〈新刊紹介〉『古代王権』シリーズ古代史をひらくⅡ 岩波書店

           最近、古代史や考古学関係の講座的シリーズ本が継続的に出ていますね。昔はハードカバーが多かったのですが、最近はソフトカバーが多いような。  今回紹介するのもその一冊で、2024年5月に岩波書店から刊行された『古代王権』シリーズ古代史をひらくⅡ(2,800円+税)です。 その構成は 〈古代王権〉を考える……………吉村武彦 「王」になった大首長――弥生社会の変貌……………岩永省三 ヤマト王権の威信財とレガリア……………辻田淳一郎 古代の皇位継承と天皇の即位……………藤森健太郎

        NO.028  考古学読書録 2024年1月に読んだものから

          NO.024 資料調査の対応

           先日、遠方からの資料調査の対応をしました。  その方は旧知の方ですが、コロナの関係もあって数年ぶりにお会いすることになりました。  調査対象資料は土器類。  基本、資料を出して、注意点や概要を説明したのちはお任せで調査してもらいます。  時々、様子を見に行って調査所見を教えてもらったりしますが、その合間に交わす雑談が意外と大切だと感じています。    今回は、ただ資料調査の対応をしただけですが、地域の情勢や資料観察の視点等々いろいろと学ぶ機会となりました。   以下、2

          NO.024 資料調査の対応

          NO.023 〈新刊紹介〉『季刊考古学』167 古墳時代日韓交渉の基礎研究

          『季刊考古学』第167号が刊行されました。 その特集は古墳時代日韓交渉の基礎研究・・・。これは個人的興味+仕事としても必携のもの。 早速、入手しました! 目次は以下のとおり。 古墳時代並行期の日韓の社会と考古資料(山本孝文) 生活と祭祀の基礎資料 住居・建物とその施設 (重藤輝行) 陶質土器と須恵器(中久保辰夫) 軟質土器から土師器へ(寺井 誠) 窯と土器生産(長友朋子) 日韓の武器・武具・馬具 東アジア古代国家の武器体系―燕(前燕)・高句麗・百済・新羅・加耶・倭の武器

          NO.023 〈新刊紹介〉『季刊考古学』167 古墳時代日韓交渉の基礎研究

          NO.022 SNSを活用する

           パネルと展示品を並べて無事開館となります。会期中、ただ鍵の開け閉めしているのでは、武士の商法的になってしまいます…。    そこで継続的な広報活動が必要になります。  最近、あたりまえに活用されるのがSNS。    一時期、展示品を紹介しすぎると、図録が売れなくなる…などとの議論もありましたが、最近は沈静化して、わりと展示品の紹介が多くなされていますね。  たしかにチラシやパンフの情報だけでは、遠方から駆け付ける原動力としては弱いかもしれません。  うちではFBを主に利用

          NO.022 SNSを活用する

          NO.021 パネルを作る

          各地の博物館や資料館ではGW前から春の展示が開催されています。 展示会ではその内容を説明する解説パネルは大切な要素と考えています。 大きな博物館ではパネルは外注かもしれませんが、中小の博物館の秋季特別展以外は手作りのところも多いと思います。 後者が唯一良いところは、負け惜しみのようにも聞こえますが、手作りなので文章を最後まで練れることでしょうかね。 あと、その枚数や文字のフォントや大きさ、ミニパネルの有無等々いろいろと考えるところは盛りだくさんです。 僕も博物館に行く

          NO.021 パネルを作る

          NO.020 文献を集める

          最近、仕事の関係で論文を読むことが増えています。 市販されているものは、図書館で借りるなり、本屋さんで購入するなり方法はあるのですが、難しいのが一般に流通していないものです。 いわゆる灰色文献が多いのが考古学の特徴?かもしれません。 300~500部程度しか刊行されない遺跡の調査報告書は、近年、遺跡報告総覧というサイトで公開される傾向にあって入手しやすくなりましたが、現状でも難しいのが研究会の資料集や同人誌的雑誌です。 これらの中には査読がないものもありますが、重要な論

          NO.020 文献を集める

          NO.019 読んだ論文を記録する

           年度末年度初めのバタバタ期に突入し、なかなか自分の時間が取れませんが、元気に過ごしています。    さて、タイトルの読んだ論文の記録です。  僕は仕事柄わりと本や論文を読んでいるのですが、なかなか頭に定着しないのが厳しいところと感じています。  そこで10年ほど前から読んだ論文はPDFにして、処分するというスタイルをとっていますが、これはなかなかいい感じです。職場と家に論文のデータを入れた外付けHDDを置いていて、常に10,000本以上の論文に囲まれていることになります(活

          NO.019 読んだ論文を記録する

          NO.018 講演を依頼する

           長期出張などでばたついていて、久しぶりの更新。もう年度末ですね。  今回は講演会について。    仕事柄、講演を頼まれることも時々ありますが、実態としては講演を依頼することのほうが多いですね。  難しいのは誰に頼み、何を話してもらうのかです。  講演をお願いしたい人が何を研究し、どんな論文を書いているのかを簡単に調べ、人選と演題を考えます。    あと、謝金や旅費など。あまりに遠いと旅費がかさむので、なるべく近くで、普段聴けない話をしてくれる方がベストですが、その様な方は一

          NO.018 講演を依頼する

          NO.017 冊子はどのくらい刷るべきか

           考古学関係の印刷物として、大きく分けると ①市販される単行本 ②定価がついていない冊子 に分かれます。また、②は論集・雑誌・資料集とともに報告書があります。  昔は②は灰色文献とも呼ばれ、なかなか入手しにくいものも多くありましたが、最近は、全国遺跡報告総覧というサイトに文化財調査報告書のPDFが公開されることが増え、大分入手しやすくなっています。ただ、これは任意?であるため、積極性の有無によって公開の度合いが違うようです。  報告書はこのように公開される傾向になりつつありま

          NO.017 冊子はどのくらい刷るべきか

          NO.016 淺湫毅・時枝務編2021『季刊考古学・別冊』33 美術史と考古学

           2021年に刊行された本書。  表紙を見た感じ、僕には縁遠い本だと思っていましたが、遅まきながら実物にあたってみるとかなり面白いものでした。  目次はこんな感じ。 Ⅰ 総 論  仏像のアーケオロジー 仏像から「文化の痕跡」を読み取る(長岡 龍作) Ⅱ 学史のなかの美術と考古学 美術考古学からの発展(星野 達雄) 濱田耕作の美術史と考古学(時枝 務) Ⅲ 美術史と考古学の方法論 日本仏教彫刻史における編年(井上 一稔) 考古学における様式と型式(佐藤由紀男) 埴輪はどのよ

          NO.016 淺湫毅・時枝務編2021『季刊考古学・別冊』33 美術史と考古学

          NO.015 読んだ本をどうするか

           考古学に限らず勉強していると、どうしても本が増えてきます。とくに歴史系は研究史を丁寧にたどる傾向があるので蔵書が多い傾向にあるのではないでしょうか?  また、本はコレクションを誘発しやすい性格をもち、自然消滅しないので、持ち主が処分を決断しないと決して減りません。  ですが、本を置く場所には限りがあります・・・。  そこで本を読んだらどうするかという課題が出てきます。  ぱっと思いつくことを並べると  ①保存する  ②捨てる・売る・人にあげるなど手放す のほかに②の派生です

          NO.015 読んだ本をどうするか

          NO.014 〈新刊紹介〉坂靖さん追悼論文集刊行会2024『古代学と遺跡学ー坂靖さん追悼論文集ー』

           昨年亡くなられた坂靖さんの一周忌に合わせて、追悼論文集が出されました。  僕は一度しかお会いしたことがないのですが、それぞれの論文の末尾には坂さんとの思い出が記され、どのような方であったのか知ることができます。  この論集。某考古系書店にアップされた瞬間に品切れとなってしまいましたが、これから多くの方に読み継がれていくものとなりそうです。  僕もこれから読んでいきたいと思います。合掌。 以下、参考までに目次を掲載しておきます。 坂 靖 寺口千塚古墳群(平石谷川地区)第1

          NO.014 〈新刊紹介〉坂靖さん追悼論文集刊行会2024『古代学と遺跡学ー坂靖さん追悼論文集ー』

          NO.013 図録を買うか買わないか

           今日は図録のおはなし。博物館や美術館に行くことが比較的多いですが、いつも迷うのが図録の購入です。  図録は展示会の目録的な位置づけになろうかと思います。昔は館内の撮影が禁止されていたため、博物館を訪問するたびに図録を購入していました。ただ、最近は写真撮影がOKのところが増え、図録を買うことに迷いが出てきました。  もちろん、専門とするところの図録は迷いなく購入ですが、すでに本棚一竿程度が図録に占められていることから、すこし量を減らそうとしているところです。また、結構いい値段

          NO.013 図録を買うか買わないか