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NO.024 資料調査の対応

 先日、遠方からの資料調査の対応をしました。
 その方は旧知の方ですが、コロナの関係もあって数年ぶりにお会いすることになりました。

 調査対象資料は土器類。
 基本、資料を出して、注意点や概要を説明したのちはお任せで調査してもらいます。

 時々、様子を見に行って調査所見を教えてもらったりしますが、その合間に交わす雑談が意外と大切だと感じています。
 
 今回は、ただ資料調査の対応をしただけですが、地域の情勢や資料観察の視点等々いろいろと学ぶ機会となりました。
 
以下、2023年12月に読んだものから
【印】
石川日出志2022「国宝「漢委奴國王」金印の考古学」『令和4年度福島県文化財センター白河館第3回館長講演会』
 →文字の型式学研究で確定

【貝】
木村日向子2023「紀伊地域の古墳時代における貝類利用について」『海浜集落からみた王権と地域』紀伊考古学研究会
 →貝灰についても言及

【官衙】
小田和利1992「福岡県朝倉町大迫遺跡と朝倉橘広庭宮について」『北部九州の古代史』

【顔料】
劉芳 2020「漢・唐代の武陵山区における辰砂の考古学研究」『中国考古学』20
 →通路も確認

【漁労具】
菅野恵美2019「黄河下流域の墓葬装飾に見る漁具」『関東学院大学人文科学研究所報』42

【研究史・研究法】
井川史子2023「波乱万丈の人生」『季刊考古学』163
羽生淳子2010「世界の狩猟採集民研究からみた縄文文化」『縄文時代の考古学』1縄文文化の輪郭
 →世界の考古学への貢献も視野に
岩永省三2023「親族関係からみる国家形成」『古墳時代の親族と地域社会』同成社

【古代史】
大日方克己2014「日本古代における弩と弩師」『社会文化論集』10
 →弩と有機物製甲冑
久保田展弘2003「万葉びとの祈り」『万葉古代学』
溝口優樹2023「「土師氏」と埴輪生産」『季刊考古学』163
 →拠点から離れた個所に古墳を作る際に監督者集団が出現

【寺院】
林正憲 2023「讃岐における古墳から寺院への変遷過程」『文化財論叢』Ⅴ
 →古墳から寺院への変遷から地域の特性を見出す

【塩】
田中元浩2023「海浜集落の検討視点」『海浜集落からみた王権と地域』
 →複数の視点からのアプローチ

【集落】
塩見恭平2023「佐賀平野(嘉瀬川以東)の集落と古墳について」『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →土壙墓にも着目
徳富孔一2023「嘉瀬川以西地域における集落と古墳の動態」『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →集落と古墳が対応するのは多久盆地
小川原励2023「古墳時代終末期の集落と古墳の動態」『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →道路を意識した古墳築造
檀佳克 2023「福岡県南部—南筑後地域(集落と古墳の動態ー古墳時代終末期)『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →全体的に集落が低調
長直信 2023「豊前中部地域における墳墓と集落動態の基礎的研究」『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →古代山城と集落動態の関係性をみる
弘中正芳2023「7世紀の宇佐郡・国碕郡における集落と古墳の動態」『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →鋤先状土製品出土
山崎頼人・杉本岳史・一木賢人・三津山靖也・高橋渉2023「三原郡周辺における7世紀代の集落と墳墓の動態」『集落と古墳の動態』Ⅳ 九州前方後円墳研究会
 →上岩田で官衙と首長居館の関係にせまる
阿部和城2023「豊前国企救郡・筑前国遠賀郡東部(北九市域)における集落と古墳の動態」『集落と古墳の動態Ⅳ』九州前方後円墳研究会
 →三郎丸遺跡第1地点のL字形配置建物群に着目
菅波正人2022「考古学からみた松浦郡」『万葉古代学研究年報』20
 →国の境界意識

【縄文】
谷口康浩2010「縄文時代の開始ー「草創期」再考ー」『縄文時代の考古学』1縄文文化の輪郭
 →説明論理の問い直し
寺前直人2023「縄文後・晩期石製儀器の起源と行方」『季刊考古学』163
 →器物長期使用パターンを提示

【須恵器】
森内秀造2013「再考神戸市太田町出土刻書円面硯について」『兵庫県立考古博物館研究紀要』6

【墨硯】
内田律雄2023「島根県・松本4号墳出土の陶硯について」『青山考古』39
 →中空硯の多様な場面での使用を想定

【青銅器】
桃崎祐輔2023「銅碗」『後期古墳研究の現状と課題Ⅰー交差編年の手がかりー』
 →銅鉱山開発が7世紀にさかのぼる可能性
坂川幸祐2021「草原地帯東部における佩用鏡の様相」『中国考古学』21
丹羽隆史2021「東アジアにおける「北方系」湾曲刃口の展開」『中国考古学』21
 →地理勾配あり
岩本崇 2023「後期倭鏡新段階鏡群の分類と変遷」『後期古墳ん研究の現状と課題Ⅰー交差編年の手がかりー』中国四国前方後円墳研究会
岡内三真1988「青銅器」『弥生文化の研究』10 研究の歩み
柳田康雄2023「弥生青銅器生産」『弥生文化博物館研究報告』8

【石器】
石丸彩 2023「西庄遺跡から出土した軽石」『海浜集落からみた王権と地域』紀伊考古学研究会
 →集中して出土。産地同定も必要

【銭】
古澤義久2023「銅銭と文字」『漢字文化事典』丸善出版株式会社

【装身具】
金宇大 2023「古墳時代後期における垂飾付耳飾および耳環の様相」『後期古墳研究の現状と課題Ⅰー交差編年の手がかりー』
 →耳環論文が増えていることを知る
古澤義久2023「対馬海峡両岸地域から本州西部における新石器時代文化交流」

【中国】
中村慎一2023「良渚文化の玉器・王権・都市」『何が歴史を動かしたのか』2弥生文化と世界の考古学
 →前2600年頃にカタストロフィー発生
菅野恵美2022「漢代画像石の観漁図に見る漢文化と地域」『関東が悪因大学人文学会紀要』146
 →周代から養漁池
岡村秀典2023「中国古代の車馬」『馬・車馬・騎馬の考古学』臨川書店
 →騎馬は威信財になりえなかった
菊地大樹2023「牧馬の育成」『馬・車馬・騎馬の考古学』臨川書店
 →主要な豆科牧草は大豆の可能性
谷豊信 1996「漢三国両晋南北朝紀年塼の分布と銘文」『東北アジアの考古学』2
 →朝鮮半島北部も大事な地域

【中世】
藤本史子2023「塼列建物研究」『菟原』Ⅲ
 →商人にとっては流通過程の一段階を担う遺構

【朝鮮】
宮里修 2010「年度帯土器文化の地域的様相について」『史観』162

【鉄器】
水野敏典2023「古墳時代後期の鉄鏃編年」『後期古墳研究の現状と課題Ⅰー交差編年の手がかりー』中四国
 →元岡G6号墳の鉄鏃を古く位置づけ
立谷聡明2022「古墳出現前夜における鉄製武器からみた地域間交流」『西海考古』12
 →後期後半以降西北九州西方海域は鉄の道として機能した可能性
出見優人2023「古墳時代後・終末期における鐔付大刀の副葬とその性格」『九州考古学』98
 →糸島・福岡・周防灘地域と宗像の様相が異なるのが面白い
水野敏典2008「前方後円墳出現前後の副葬品構成と鉄鏃」『ホケノ山古墳の研究』橿原考古学研究所研究成果第10冊
村上恭通2020「長江流域と黄河流域」『中国考古学』20
 →長江流域から黄河流域へ
辛川あかり2023「塚段古墳出土の捩り環」『岡山市埋蔵文化財センター研究紀要』15
 →序列;木製→鹿角製→銀装木製
東潮 1991「弁辰と伽耶の鉄」『東アジアの古代文化』68
 →弁辰条の鉄記述は鉄鉱石とインゴットに分けられる

【農業】
朝岡俊也2023「野多目地域の開発史」『九州考古学』98
 →水路を基に地形や水田範囲を復元

【馬具】
大谷育恵2023「東部ユーラシア草原地帯の馬と馬具」『馬・車馬・騎馬の考古学』臨川書店
 →有機質馬具や体毛加工にも着目
尼子奈美枝2023「古墳時代中期の馬具保有古墳についての一考察」『菟原』Ⅲ
中村大介2023「戦車と馬具」『馬・車馬・騎馬の考古学』
 →騎馬は威信財とならず
桃崎祐輔2023「馬具研究の現状と課題」『古代騎馬文化受容過程の研究(日本編)』
桃崎祐輔2023「日本列島騎馬文化受容の諸段階と歴史的背景」『古代騎馬文化受容過程の研究(日本編)』
桃崎祐輔2011「風返稲荷山古墳くびれ部出土の馬具とその意義」『東国の地域考古学』

【埴輪】
泉眞奈 2023「家・囲形埴輪の展開」『季刊考古学』163
 →整形技法を図式化
犬木努 2023「〈円筒埴輪配置論〉の現在地」『季刊考古学』163
 →円筒埴輪を用いて実在する構造物を表象
今西康宏2023「動物埴輪の構成と展開」『季刊考古学』163
 →前例に倣うことが基本
大澤正吾2023「平城宮東院下層埴輪窯跡群と佐紀古墳群東群」『季刊考古学』163
 →巨大古墳向生産から中小古墳への広域供給
加藤一郎2023「王陵級古墳の埴輪生産組織像」『季刊考古学』163
 →中期は拠点的かつ継続的
木村理 2023「埴輪生産組織と器種別分業」『季刊考古学』163
 →円筒埴輪製作分野に新規工人の窓口あり
木村理・廣瀬覚2023「吉備中枢における埴輪の展開」『季刊考古学』163
 →盟主的古墳から周辺古墳までを対象にした埴輪生産・供給体制
花熊祐基2023「人物埴輪の展開と構成」『季刊考古学』163
 →人物埴輪はあな窯焼成と共に出現
廣瀬覚 2023「埴輪からみた王権と社会」『季刊考古学』163
 →実感する王権
廣瀬覚 2023「円筒埴輪の構成と展開」『季刊考古学』163
 →Ⅴ期の円筒埴輪段構成の階層序列は緻密化
村瀬陸 2023「菅原東遺跡の再評価」『季刊考古学』163
和田一之輔2023「器材埴輪の構成と展開」『季刊考古学』163
 →王権内の主導権後退と埴輪様式の変化はリンクしない
深澤敦仁2023「上野における王陵系埴輪の展開」『季刊考古学』163
辻川哲朗2023「須恵器系埴輪の技術と展開」『季刊考古学』163
 →陶邑に須恵器甕製作への輪台技法の採用
東影悠 2023「畿内における須恵器系埴輪の展開」『季刊考古学』163
浅田博造2023「尾張型埴輪の流通と展開」『季刊考古学』163
藤井幸司2023「紀伊の埴輪生産」『季刊考古学』163
小嶋篤 2023「九州における埴輪生産と造墓秩序」『季刊考古学』163
 →埴輪分布圏の南西端に火君の埴輪生産体制構築
山内英樹2023「松山平野における埴輪の展開」『季刊考古学』163
犬木努 2023「関東における形象埴輪「列状配置」の系統と展開」『季刊考古学』163
 →遠心型から並列型へ

【半島系】
君嶋俊行2023「山陰東部における古墳時代の渡来系遺物」『先史・古代の日韓交流の様相』山陰考古学研究集会
 →中期のある段階に首長墳の立地が官道・街道沿いを志向
山崎頼人2023「山陰における無文土器から見た日韓交流」『先史・古代の日韓交流の様相』山陰考古学研究集会
 →複数の経由地を持つ資料群

【棺】
岡林孝作2008「日本列島における木槨の分類と系譜」『ホケノ山古墳の研究』橿原考古学研究所研究成果第10冊
 →C類木槨は奈良盆地の前方後円墳に採用されるが、短期間

【骨角器】
佐藤純一2023「弓矢装具の変遷と骨角器生産」『海浜集落からみた王権と地域』紀伊考古学研究会

【木簡】
佐藤信 2015「木簡史料論」『岩波講座日本歴史』21史料論
 →木簡が果たした情報伝達の機能を多面的に明らかにする研究が必要

【木器】
樋上昇 2007「朝日遺跡出土木製品の樹種組成と周辺の古植生」『朝日遺跡Ⅶ』愛知県埋蔵文化財センター調査報告書138
 →丸太の状態でも木材の移動有

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