小谷マヒト

小説書いてます。更新頻度は未定ですが、一週間に一話は投稿する予定です。

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最近の記事

東京都のマッチングアプリ

少子化という社会問題の根源は、求めるパートナーと出会う機会の希少性ではなく、結婚したいと思えない社会構造にあるのではなかろうか。

    • 【連載小説】イザナミ 第六話

      前回はこちら↓  誠と解散して家に帰ると、電気はすべて消されて静まり返っていた。部屋に戻り寝る支度をしていると、急にさっきの便所の落書きを思い出した。写真を見返すと、やっぱりそこには「オメコダイヤル」と書かれていた。オメコなんて、僕らの世代では誰も言わない。電話をかけてみたら中年のおばさんが出てくるのだろうか。気になったので、電話をかけてみることにした。  呼び出し音が1分ほど続いた。  もうやってないのかな、と思い切ろうとしたその時、  「お電話ありがとうございます。オメ

      • 【連載小説】イザナミ 第五話

        前回はこちら↓ 公園のトイレに入ると、洋式のトイレがあった。もちろんいい匂いはしないが、清潔で驚く。日本に産まれてよかった。便器に座ると、壁に落書きがされてある。  「オメコダイヤル 090-○○○○-○○○○」 と書かれていた。便所の落書きなんて未だにあったのか、と感心する。珍しさから、一応写真を撮っておいた。  トイレから出ると、誠はもうタバコを吸い終わっていた。筋トレも趣味で行っているらしく、後ろから見てもいい身体付きなのが分かる。  「行くぞ。」  吐いたゲロは水を

        • フォローしていただいた方へ

          フォローしていただき、ありがとうございます! 基本的にフォロー返しさせていただく予定ですが、一日にフォローできる上限に達してしまい、数人の方にフォロー返しできない状況となっています。 もうしばらく時間が経ったらフォローさせていただくのでもうしばらくお待ちください。 また、小説に関する感想、ご意見お待ちしてます! 小谷マヒト

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          【連載小説】イザナミ 第四話

          前回はこちら↓  誠は叫びながらこっちに走ってくる。ガタイのいい誠がこちらに向かって全力で走ってくる様は未だに恐ろしい。サバンナで、ライオンが油断しているシマウマを狩る姿が思い浮かぶ。僕は思わず利き足の右足で誠の脇腹を蹴ろうとする。誠の蹴りが僕の太ももに入る。鈍い痛みを感じ、地面に倒れる。誠はどこだ、どうなっている。見上げると、誠も苦悶の表情をしている。お互いゆっくりと立ち上がる。誠が無傷の右足に体重をかけながらこっちに向かってくる。誠は僕の胸元めがけて突進してくる。僕は誠

          【連載小説】イザナミ 第四話

          【連載小説】イザナミ 第三話

          前回はこちら↓  コンビニから帰りご飯を食べていると、母に「あんたその髪型汚いわよ。暑苦しい。」と言われた。それくらいほっといてくれよと思ったが、口には出さず、さっきよりも激しくカップラーメンを啜った。  食欲を満たすと自室に戻り、オナニーをした後、シャワーで身体に纏わりついた嫌な汗を流した。別に性欲が高まっているわけではなかったが、オナニーは日課になっていた。シャワーから出るともう母は寝たようで、家はしんとしていた。自室に戻り窓を開け、もわっとした空気を感じながら煙草に火

          【連載小説】イザナミ 第三話

          【連載小説】イザナミ 第二話

          前回はこちら↓  会場に移動すると、そこは小さな体育館のようになっていて、たくさんの籠と、ビニール紐で結ばれた袋の束が散乱していた。空調は壊れているのか、あまり外と気温が変わらなかった。会場には、社員と思われる中年の男性以外に何人かいたが、誰も話の合いそうな人はいなかった。作業が始まっても、誰も私語をせず、黙々と作業しており、その様子は傍から見ると19世紀のアフリカの奴隷のようだろうなと思った。  17時になると、社員が終了を知らせた。奴隷たちは作業をやめ、事務所へと向か

          【連載小説】イザナミ 第二話

          【連載小説】イザナミ 第一話

           果てしないエスカレーターを登りきると、ねずみ色のモノレールはすでに停車していた。発車時刻までまだ数分あるはずだ。振り返ると、登ってきたエスカレーターはあまりにも長く、まるで井戸を覗いているようだった。いやに涼しいモノレールに乗車すると、ホームとは逆側の窓からは灰色の雲と真っ青な海が見えた。海は、透き通った青や深い青というよりも、いかにも工場地帯に面した海の色だった。  今日は、湾の埋め立て地にある倉庫にて袋詰めするアルバイトだった。分かっていることは、労働時間が八時間、うち

          【連載小説】イザナミ 第一話

          【小説】タイトル:未定①

          男は、草むらを駆ける 常に10歩先は、濃霧のせいで見えない 顔に霧がかかり、その霧は水滴となる 男にはそれが汗か霧かの区別がつかない これ以上速度を上げたら、足が絡まって転ぶんだろうなと、男は自身の姿を俯瞰的にみて思う 何から逃げているのか、何に向かっているのか男にはわからない ただ、なにかが追ってきていることはわかる 駆ける、駆ける、駆ける 少し離れた丘の上に白い壁が見える 行き止まりか、それともどこかへ繋がる入り口か わからないけれど、男は駆ける 今踏んだ土が跳ねる、跳ね

          【小説】タイトル:未定①

          では、なぜ今道徳が大事か

          価値観の多様性が認められてきた現代では、物事の善悪の根拠が不明確になりやすい。具体例を出そう。例えば、なぜ、売春は駄目か。法律に抵触するから?それは確かにそうだが、ではその法律の根拠は何だろうか。社会の風俗を乱すから?では、どこの組織にも属していない女性の売春を否定する根拠は何か?つまるところ、モラル・倫理観など、曖昧なものだろう。だが、個人主義的で自己責任社会の現代においてモラル・倫理観は多様性のアンチテーゼとなりうるのではないだろうか。先ほどの例を用いるなら、売春は確かに

          では、なぜ今道徳が大事か

          価値観の止揚

          私には、他人と同化したい欲求があった。具体的に言うと、憧れの人物や好きな人と同じようになりたい、同じようになってほしいと思うことが度々あったのだ。例えば私は、霜降り明星の粗品が数年前から好きだが、しゃべり方をかなり似せていた。長年寄り添っているカップルは口調や仕草、表情までも似てくると言われているが、私の場合は、主体的に他人に寄せていた。これだけ見ると、私はただのイタいやつでしかないのだが、厄介なことに、私はこの同質化を他人にも求めてしまっていた。 私には彼女がいるが、生ま

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          「建前の正義」と「本音の正義」/あなたは本当に正しい?

          正義とは何か。法律を守ることか。ではその法律は正しいのか。人間が作ったのに? 正義には、二種類ある。「建前の正義」と「本音の正義」である。「建前の正義」とは、マニュアルを守ることで、法律を遵守することだ。レジ打ちしているときにお客様が一人並んだらヘルプを呼ぶことで、法定速度を守ることだ。だが、現実はそう甘くない。スーパーの従業員は常に自分の仕事に追われている。法定速度を守っていたら渋滞の原因になるかもしれないし、場合によってはあおり運転される可能性もある。 では、「本音の

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