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読書日記.7「なぜあなたは愛してくれない人を好きになるのか」

社会学者の上野千鶴子さんが帯にコメントを出されていたこともあり、この本を読んでみました。

なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか (文庫ぎんが堂) https://amzn.asia/d/2AuVCwt

【概要】
・自分の「心の穴」を知るのが幸せへの道。
・「心の穴」とは、「こういう状況だと、こういう気持ちになる。こう行動してしまう」という感情や考え方のクセのこと。
・心の穴をふさぐことはできないが、その存在に苦しめられないようにすることはできるし、当人が苦しまなくなることで、周囲との関係も良い方向に変えていける。
・自分の「心の穴」に向き合おうとせずに、「相手で埋めようとする」ことが、特に女性の陥りやすい恋のあやまち

・恋することって、結果的に「自分に欠けていた部分が何なのか、強制的に気付かされること」人は自分自身を知るために恋に落ちる。付き合って他者と深い関係になれば、必ず摩擦が起き、その他者と自分の「心の穴」が見えてくる

・恋愛は幸せになるためにするのでなく、「自分の心の穴に気付かされる」ためにする。自分を知った時、「もっと生きていきやすい自分に変わりたい。そのために、何を手放すか、今の自分をどう受容するか」を真剣に考えられれば変われる。結果的に幸せになれる。

・最良のパートナーは、「あなたと出会ったことで、よい方向に変わっていく男性
┗あまり無理しなくても二人がそれぞれ「生きていきやすいように」「相手を肯定できて、自分を受容できるように」変わっていける相手。愛され・愛すために「自分の在り方」に目を向けられる人。

▪️理想の人
→その人の存在によって、あなたが「自分を受容してもいいんだ」ということに気づける人

・理想的な二人
恋する男と、愛する女
┗真面目な男が女に恋したことで彼女が自己受容でき、付き合い始めてからも彼は彼女を恋し続け、彼女が彼をバカにせず、甘やかさず、受容・肯定し続けることで、「彼の恋が愛に変わっていく」パターン

相思相愛
┗お互いを尊敬し合い、「パートナーがいるから、自分は自己受容できてるんだ」という自覚が双方にあり、そのことを感謝し合えているパターン
※女から恋されると、それだけでインチキ自己肯定しちゃう男が多い。

・愛することとは、「相手を肯定すること
→自分で自分を嫌いな人、自分自身で受け入れていない人は、恋した相手を愛することも、愛せるような相手に恋もできない。

▪️あなたを幸せにする相手の見分け方

自分の意思で自己受容しよとしている男性
一緒にいることでお互い、いい方向に変わっていける

→愛し合えるのは「相性」と「タイミング」

◾️恋人との喧嘩の仕方

相手への怒りは、自分と相手の心の穴への怒り

◾️恋人との仲直りの仕方

自分の心の穴を見つめ、何をして欲しかったかを話し合う

◾️恋人との別れ方

あきらめるとは、明らかにすること
愛するために、自分の心の中を見つめ直す


・恋は、「破れるか/うまくいき恋が愛に変わるか」のどちらか。恋した人は、やがて人は人を支配できないのを知る。ふさがらない自分の心の穴がどんな形なのかを浮き彫りにするために恋をしてしまう。恋の本当の目的は、相手を得るのではなく「自分をわかる」ことにある。

〜詳細編〜
・彼の特徴で、あなたが気に入ってるや気になったところは、あなたが自分の気づいていない「自分にないと思ってる」ところか、「自分と似た」ところ。
→心の穴をふさいでくれそうと思う人ほど、「あなたの心の穴の苦しい部分に刺激してくる人」。あなたを苦しめてるのは、彼でなく、「あなた自身の心の穴」。一方彼も同様。

→いつのまにか恋が憎しみに変わるのだなく、恋の相手に心の穴を埋めてもらおうとする人にとって、恋することは苦しめられ、憎むことと、傷つけ苦しめること

→恋の相手を憎むのは、「苦しい部分」が反応して始まった恋だから。憎み続けるのは求め続けること

・彼にも「心の穴」がある。彼の魅力と悪いところは同じもの。

・追いかけられると逃げたくなるのは、
➀怖がり型(彼が好きなのは本当の自分じゃない)
➁見下し型(この程度の男に好かれるなんて)
→どちらも、自分を好きでないから

・親が自分に「どんな心の穴をあけたか」を知って、自分は「人から、どんなことをされると傷つくのか」「自分はどのように人を傷つけてしまうのか」ということに気づくのが大切

・親との関係でうまく処理できなかったものを、今の恋の相手との関係で「再び感じる」ことで、乗り越えようとしている

・「私のやりたいことが彼のして欲しいこと」に、「彼のやりたいことが、わたしのしてほしいこと」になっていくのが愛。
→見返りを求めずに、するのが嬉しいことだけする

・愛されたいという気持ちが強いあまり、人に愛してもらうことを求め、自分からは「相手を愛する」ことをせず、愛されるのを待つ。だから愛されない…という悪循環。
→愛されようとするのをやめる

・惚れっぽい人は「つねに自分を変えて欲しいと思ってる人
→このままじゃだめ!が他人への欲望という形な変換された衝動が「誰かへの恋」

・疑わしい恋をしてくる相手は、あなたに媚びてくる。あなたを受容したいのでなく、自分のものにすることで支配したいから。

・欠点は直さなくていい。その罪悪感が、相手を傷つける

・甘やかすことと受容することは全く違う。
→本当なら受容できない相手の言動を見て見ぬフリするのが「甘やかす」
相手を失うか関係なく、相手の「あり方」をそのまま認めるのが「需要する」

【感想】
自己受容できていない人は、「この人なら自分を変えてくれるかも…」思う人に恋をし、彼の嫌なところが見える度に、相手を憎み、やがて相手を支配できないことに気づく…。
求めるからこそ、相手を憎む。ただ、これは彼を憎んでるのでなく、「自分の心の穴と彼の心の穴」に対する怒りの感情なのだと気づいて、自分の心の穴に向き合い、本当はどうして欲しかったかを二人で真剣に話し合う。そうすれば、愛に変わっていくかもしれない…。
もしくは、そもそも「理想的な相手」と巡り会う大切さもわかりました。

自分と相手も欠点が悪いのでなく、欠点に罪悪感を抱くから、相手は傷つくんだと知りました。

この本は、自分にも相手にも「心の穴」があり、それが魅力でもあり弱点でもあるので、扱い方を自覚して対話する大切さを教えてくれました。

全体的に、まるで、恋愛小説かのようなタッチでリアルに男女の心情が描かれていて、あっという間に読める本でした。自分の心の穴も見つめ直したいと思います。

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