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英語で考える多文化共生〜初芝立命館高等学校でのGlobal English Camp〜

お久しぶりです! Bridge Projectのゆいかです。この夏はお陰様でワークショップも多く、充実した日々を送っていました。今回の記事では7月27日・28日に初芝立命館高等学校で実施した「Global English Camp」について書きます。

みんなでゲーム!

概要

初芝立命館中学校・高等学校では毎年、立命館コースの生徒さんを対象に2日間の英語集中プログラムを実施されています。一つのテーマについて英語で学んだり、話したりするイマージョンプログラムです。Bridge Projectが初めて本プログラムをコーディネートさせていただいたのは2022年。高校1年・中学1年、それぞれ2日間のプログラムで、英語で国際理解や多文化共生を扱いました。
そして、今年2023年にも高校1年生の「Global English Camp」を担当。今回のテーマは「Journalism of a Multicultural Japan」で、多文化共生について考えることが目的でした。高校1年生約150名が新聞記者になり、16ヶ国出身の英語講師20名をインタビュー♪日本に住む外国人の経験、背景、困りごと等を取材しました!

先生と一緒にインタビューの質問を考える

外国人住民は日本社会の一員

日本在住の外国籍住民は2022年末に300万人を超えました。それでも、未だに「日本人と明らかに違う」「テレビや映画で見る遠い人たち」「人手不足を補う労働者」という具合に異質な部外者として見られることもあり、日本に定住する一人の市民として、そして、日本社会の一員として扱われにくいという現状があります。この「他者化(Othering)」という現象は島国である日本では特に顕著で、日本国籍を取得した人や日本で育った外国ルーツの人でさえも、見た目等から「日本人じゃない」他者として扱われてしまうことがあります。
実際には、外国籍住民や外国にルーツを持つ人たちは、日本人と共に日本社会を支える大事な仲間です。私は学生と共に、そんな仲間がどんな背景を持っているのか、日本社会をどう見ているのか、何に困っているのか、一人一人が過ごしやすい社会にするにはどうしたらいいのか考えたく、今回のカリキュラムを提案しました。

直接会って話すことの大切さ

「他者」を身近な存在として感じるためには、直接会って話すことが大切。そして、表面的な話だけではなく、違いや共通点、価値観や困っていることなど、より深い対話が必要不可欠。
今回は2日間という短い期間ではありましたが、高校1年生の皆さんはイタリア、アメリカ、インドネシア、ミャンマー、パキスタン、バングラデッシュ、オーストラリア、イギリス、ナイジェリア、マレーシア、モザンビーク、ハイチ、インド、エストニア、エジプト、ジャマイカの16か国から来る20名の英語講師と時間を共に過ごしました。講師の出身地、日本に来た理由、滞在歴だけではなく、日本の好きなことろ、日常で困っていること、自国との違い、カルチャーショック等について学生が自ら質問を考え、インタビューをしました。最後には、その結果をプレゼンテーションにまとめ、英語で発表しました。

ハラールやコミュニケーション・スタイルなどの文化の違いに気づく

今回はイスラム教徒の講師が多かったこともあり、宗教の話や食文化の違いが話題に挙がることが多々ありました。ハラール、ベジタリアン、ぺスカタリアン、ビーガンなどの言葉について、質問をする学生もいました。
また、日本語を学ぶことの大変さや、多言語でのサポートが少ないことが課題として取り上げられる一方で、コミュニケーション・スタイルの違いで生まれるすれ違いについても議論されていました。異なる文化背景を持った外国人住民にとって、日本の規則や文化的規範に沿って「空気を読む」ことは難しい場合があったり、直接的なコミュニケーション・スタイルに慣れている人からすると、婉曲的な表現の裏に隠される意図が理解しにくいことがあります。コミュニケーションの壁が理由で、日本人の友達がなかなかできないという講師の声も聞こえてきました。
また、「Gaijin seats」(電車等で日本人が外国人の隣に座らない)などの人種差別についての話が出た際に、学生がとても驚いていたのが印象的でした。

ちなみに、「What do you like about Japan?」という質問に対して一番多かった答えは、安全性、四季の美しさ、交通機関の利便性、日本食でした。

発表の様子

私たち一人一人にできることは?

最終日のプレゼンテーションでは、学生の皆さんが考えた「私たちにできること」を聞くこともできました。

提案例
・英語のサインや多言語でのサポートを増やす
・異なる文化や国について理解を深める
・より積極的に多様な国籍の人とコミュニケーションをとる
・食事の選択肢を増やす
・電車などでの「Gaijin Seats」に注意する

発表の様子「私たちにできること」

まとめ

多文化共生の実現には時間、協力、地道な努力が必要です。今回の「Journalism of a Multicultural Japan」のように、学生時代から当たり前のように多様な背景・魅力・強み・困りごとを持った仲間と出会い、対話し、共感し合う機会が増えれば、共生への道が開けると信じたいです。
ご依頼をいただいた初芝立命館高等学校の先生方、一緒に多文化共生について考えてくれた学生の皆さんと英語講師の皆さん、Thank you very much!

休み時間に意見交換をする先生たち


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