ブリコルひらい

「ブリコルひらい」は、平井・小松川の魅力を発掘・発信し、地域の方々と「街」を考える場で…

ブリコルひらい

「ブリコルひらい」は、平井・小松川の魅力を発掘・発信し、地域の方々と「街」を考える場です。さまざまなイベントを企画し、その成果をwebや紙面上で展開してゆきたいと考えています。モチーフは地域と縁のある「金魚」。金魚たちと一緒に、「街」の魅力を探してみませんか?

最近の記事

『ブリコルひらい』vol.02が刊行されました!

『ブリコルひらい』vol.02が刊行されました! 今回は「逆襲の小松川」と「喫茶店をめぐって」特集の二本立てです。平井の本棚さん店頭もしくはHPから購入できます。vol.1も増刷しておりますので、あわせてご覧いただけると幸いです。 https://shelfhirai.thebase.in/items/73244923https://shelfhirai.thebase.in/items/73244923 荒川放水路から再開発までの小松川近現代史、 マンション下の商店街

    • 東京のかなり右側の街         

      僕が平井という街に出会ったのは意外と古いけど、実は何年も何年も無沙汰をしてました。でも今年になってウェブの仕事で平井と再会し、その後に『散歩の達人』(交通新聞社)でかなり歩き回り、「やっぱり僕はこの街が性に合ってる」と思ったんです。「好き」っていうよりは、性に合うって。 とてつもないモノに出くわす訳じゃない、ベタな下町風情がある訳じゃない、名所旧跡も観光スポットもネットでバズるとこでもない、だけど何だか歩いてると自然と頬が緩んで、鼻歌のひとつも出てきそうな塩梅。 平井って

      • 金魚は何を見つけたのか?─編集後記─

        4月から始まったnote記事もはや3ヶ月。 ここまで、13本の寄稿記事と3本のお知らせ記事をお届けしました。 「金魚」を一つのきっかけに、小松川・平井のまちの魅力を再発見してゆく。 そんな目的から更新を続けてきましたが、今回はここまでの記事を振り返りながら「金魚」がどんなものにたとえられ、何を見つけたのか、考えたいと思います。 まずは、活動のスタートにもなった、平井五丁目駅前地区再開発事業地の仮囲いの記事。1枚1枚の金魚たちには、書き手の想いが「色」や「模様」として表現さ

        • 逆井の富士塚

           7月1日は富士山の山開き。平井には富士山のミニチュアが3つあることを皆さんはご存じですか。平井の富士(諏訪神社)、逆井の富士(浅間神社)、安養寺の富士(安養寺の境内)です。  富士信仰についてインターネットで調べてみると、浅間信仰、村山修験、富士講など、いろいろあって。そうとう昔から、最初は山岳信仰に始まり、仏教と習合して山林仏教として発展し、さらには霊山信仰的と・・。だんだん難しくなってきたので途中でギブ。  まっ。そんな感じで信仰が広まって、各地で民衆がミニチュアの

        『ブリコルひらい』vol.02が刊行されました!

          ご近所目線、旧中川雑感

           江戸川区のお隣り、江東区に長く暮らしています。私たちってば、東京の東側の下町で、ハザードマップの常連であるゼロメートル地帯。平坦で、“さんずい”を抱える川の街。とりわけひょこっとこちら側(江東、墨田側)にはみ出ている平井にはモーレツな親近感を抱いていますが、「あっ、違う街!」と強く感じさせられるのは川の流れ。平井の川はうねっているのです。  その姿は数字の3を反転させ伸ばしたようなうねうね。平井の川である旧中川はこのうねうねで平井地区を囲んでいます。江東区は江戸期に輸送用

          ご近所目線、旧中川雑感

          金魚とガソリンスタンド

            金魚すくいをする場所の名は「ガソリンスタンド」である。そう思っていた。  平井駅南口を出て商店街をひたすら真っ直ぐ歩き、喧騒が遠のいたあたりで小松川地区に入る。さらに進むと、1軒のガソリンスタンドが現れる。駐車場とうっかり間違えてしまいそうな静かなスタンド。そこで、しばしば「金魚すくい大会」が行われていた。  もう20年以上も前のことである。今ではなぜそんなことになったのか、皆目わからない。本当に“大会”だったのかもわからない。大きな赤い長方形の水桶が3つ、本来車を

          金魚とガソリンスタンド

          Hirai_kingyo_layer

          「平井は、どこにでもある郊外の街ですよ。」 古本屋の店番をしている時、このセリフをお客さんに対して何弁言ってきたか分からない。北西にそびえ立つスカイツリーを視界から外すと、街の色が透明になっていく感覚をよく覚える。再開発の真っ只中というが、果たしてこの街には何があるのか。街の魅力ってどう伝えればいいのか。 初めからぼやきで始まってしまい恐縮ながら、この手の自虐は平井住民の特権と思ってご容赦頂きたい。とにかくボヤボヤ街を歩いていると、日常のあらゆるものが右から左にただただ流

          Hirai_kingyo_layer

          猫と金魚

           金魚といえば落語とは浅からぬ縁がある。そのものズバリのネタがあるのだ。「猫と金魚」と呼ばれているものがそれである。実は落語には珍しく作者がはっきりしていて、漫画家の田河水泡氏が作ったものと言われている。「のらくろ」を描く前の落語作家の頃の作品だが、これは時代を超えて今でもやり手が多いネタである。内容としては実に漫画的。 …ある商家。隣の家の猫に金魚を食べられないように、旦那が番頭に「金魚鉢を湯殿の棚に上げておくように」と頼む。物の分からない番頭は「金魚鉢」を棚に上げて旦那

          縁と金魚と平井

          平井駅北口の再開発が行われ、2025年初春には新たな商業施設やマンションが生まれるとのこと。 地元の人が再開発に関心を持つきっかけづくりとして、平井に縁のある約200名の方々が金魚の絵を描き、それらは無機質な工事現場の壁を見事に彩る。 詳細はこちらから↓ 東京から離れて半年以上が経つけれど、私もその企画にお声がけいただき、久々に色鉛筆を手に取る。 どんな金魚にしようかあれこれ悩んだ結果、このような金魚が生まれた。 コンパスでいくつもの円形を描き、七宝柄をつくる。 「初春

          縁と金魚と平井

          路上水族館

          街の一角を活用して個人が営む園芸活動を「路上園芸」と称し、好き勝手に見守っている。 玄関先、建物と道の境界や、室外機の上。建物が密集している街中では、ちょっとしたスペースに鉢植えが溢れ出し、即席の「庭」が生み出される。 庭がないから。なんとなく置いてみた。様々な理由があるだろう。車の衝突防止やゴミの不法投棄防止といった、実用的な意図を伴う場合もあるようだ。 路上園芸は、家と公共空間との境目に存在するもの。それゆえ、半分はそのおうちの方のものでありながら、半分は街にも開かれて

          金魚すくい(金魚の思い出①)

          ※「金魚の思い出」では、編集メンバーそれぞれの思い出をリレー方式で綴ってゆきます。 金魚にはロクな思い出がない。 そんな出だしから始めたら、趣旨と異なると怒られるだろうか。しかし、金魚もきっと秘密を抱えた人には掬われてくれない。そう思って、沈んだ思い出にポイを入れてみる。 まずは小学生の頃。私は再開発地域である小松川の団地のようなマンションに育った。むろん、金魚が江戸川区の名産であることなど知らなかったし、そもそも近隣に金魚掬いの屋台が出るようなお祭りも神社もなかった。

          金魚すくい(金魚の思い出①)

          金魚の記憶~1970年代の平井随想

          私の頭の中にはフィルムが入っている。静止画と映像、これを巻き戻し再生しながら記憶をたどる癖がある。Googleマップのストリートビューのポンコツ版。「金魚の記憶」と脳内検索すると、縁日、夜店の金魚すくいの映像が出てきた。 1970~76年頃の数年間だけ、平井4丁目にある道了寺の縁日では路地に夜店が出ていた。お寺さんに確認したら、徐々に画像のピントがあってきた。橙色の照明、射的、綿菓子、スーパーボールにヨーヨー釣り、発電機の音、人のざわめき。父に連れられ、そぞろ歩くのが楽しか

          金魚の記憶~1970年代の平井随想

          平井でデジタル金魚が泳ぐ日

          1.プライドオブ平井平井に住み始めて12年が経った。平井の近く、小岩~亀戸の総武線沿線ということでいえば20年になる。「平井に住んでます」と言ってもすぐに分かってくれる人はなかなかいない。だから「錦糸町・亀戸の隣にそんな場所があるんです」と言ったり、「ざっくりスカイツリーの方です」と言ったり、「江戸川区です」と言ったりすることもある。でも私は、そんな「知る人ぞ知る」場所であり、川と川に挟まれたゆったりのんびりとした住宅地であるということをけっこう気に入っている。 私は、好き

          平井でデジタル金魚が泳ぐ日

          たゆたうまちの思い出

          地形をこよなく愛する人たちは「スリバチ地形」という言葉を使う。 高台と高台の間に挟まれた窪地で、まるで食器の「スリバチ」形状になっている地形を指す。 平井は、旧中川と荒川に挟まれ、海抜0メートル地帯。 平井という地名の由来は諸説あるが、「平たい・江」で、「江(え)」がなまって、「井(い)」に転じたという説がある。 「川に囲まれ、平井の人は平井から出ない」と住民の間では合言葉のように言われるが、 川と川の間のまちの中が平らな江(入り江のこと)だとすれば、 「平井」というまち

          たゆたうまちの思い出

          平井の金魚の絵が、東京新聞(4月18日 特報欄)に掲載されました!

          4月18日付の東京新聞特報欄にて、平井の金魚の絵の記事が掲載されました。 金魚の絵の作り手となった、ひらいルミナルの方々のインタビューに思いを巡らせる素敵な記事です。 企画全体を統括した、津守恵子さん。 「平井駅前は今後、再開発され新旧住民が入り交じっていく。金魚を描くことで地元の歴史にも目を向けるきっかけになったら」という言葉が、ブリコルひらいの活動を表しています。

          平井の金魚の絵が、東京新聞(4月18日 特報欄)に掲載されました!

          平井駅高架下の壁画のはなし

          東に進む総武線が亀戸を出て線路が大きく左に曲がるあたりから、車窓に見える建物が低くなってくる。亀戸中央公園の木々を抜け旧中川の土手に差し掛かると、ああ帰ってきたな、という感じがする。平井駅で降りる人は全く知らない人でもなんとなく仲間のような気がするし、平井を知っている人に会うと嬉しくなる。 先日たまたま知り合った方とも、お互い平井の出身ということで話が弾んだ。この間久しぶりに帰ったら、駅の雰囲気が変わっていて驚きました、という。ひとつしかない改札のコンコース周りに店舗群がオ

          平井駅高架下の壁画のはなし