Cotyledon

Cotyledon(コチレドン)と読みます。 猫と本とチョコレートが好きです。

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Cotyledon(コチレドン)と読みます。 猫と本とチョコレートが好きです。

最近の記事

雨上がり

 子どもの頃、泥だんごを作るのが大好きだった。握るとぎゅっと硬くなる、泥だんごに向いている土がある。雨が上がり湿った土は作りやすかった。おにぎりみたいに、いや、おにぎりよりももっと力を入れて、ギュッギュッと握る。綺麗な丸い形になるように、少し手の中で転がしながら握っていく。形ができたら、さらに手の中でコロコロと転がして、まんまるにする。  次は、まんまるになった泥だんごに、サラサラとした粒子の細かい土をかけていく。少し湿った泥だんごに、乾いたサラサラの土がくっついていく。これ

    • 白玉みたいに

       文章を書きたい気持ちはあって、でもなんだか頭の中がまとまらない。そんな感じだ。  このところ、自分の気持ちがトゲトゲしているのがわかる。疲れているんだろう。私のトゲトゲがなんとなく子どもたちにも伝染している気がする。ごめんね。子どもたちも新学期、環境の変化で疲れているはず。今ここで止めておかないと、と思うのだが、なかなかこれが難しい…。  それでも、書き始めると少し気分が落ち着いてくる。不思議なものだなあ。私のトゲトゲを抜いてしまって、柔らかいなめらかな白玉みたいになり

      • 大好きだよ

         先日、友人がこの世から旅立ってしまった。気持ちの整理ができず、感情がふわふわとしている。何かしているときはいいのだけれど、ふと空白になったとき、ブワッと感情の波が押し寄せてくる。  彼女との付き合いは、それほど長くはないけれど、大切に思っていた友人だ。子どもが小学生の頃、地区の子ども会の活動を通して知り合った。子どもの学年は違ったけれど、いつもにこにこ話しかけてくれる彼女に、わたしはほんわかとした気持ちになっていた。子どもたちが小学校を卒業し、子ども会との関わりはなくなっ

        • Sちゃんのこと

           何度かnoteに書いた私の友人(Sちゃんという)のことを書いてみたいと思った。私にとって、とてもとても大切な人だ。  Sちゃんと私は、幼稚園から高校までずっと一緒だった。小学校の時は、何度か同じクラスになったこともある。中学校では同じ部活で、高校では3年間同じクラスだった。こうして書くと、幼い頃から、仲良しだったように思えるが、全く違う。Sちゃんと私が仲良くなったのは、高校に入ってからだ。仲が悪かったわけではなく、お互い自分とはタイプが違うと思って、何となく距離を置いてい

        雨上がり

          ピクミンと夜の散歩

           娘に誘われ、『Pikmin Bloom』というアプリを入れた。お散歩ゲームというのかしら、歩くとピクミンが育っていく。ピクミン、かわいいのだ。とても愛らしい。  今日は夜少しだけ、時間があった。天気も良かったので、なんとなく気持ちが良い。散歩に行こうかな、と思った。夜8時頃、スマホを持って家の周辺を歩くことにした。  玄関から出ると、春の気配がした。春らしいにおいがする。いつのまにか虫の鳴く声もしている。もう春なんだなあ。夜の空を見上げたりしながら、家の周辺を歩く。暗いの

          ピクミンと夜の散歩

          母のこと

           母のことは好きだし、尊敬している。けれど、今まで私が出会ってきた女性の中で、一番謎なのは母かもしれない。小さい頃は、それほど気にしていなかったが、自分が大きくなるにつれ、母のことがわからなくなった。何を思ったり、感じたりしているのか、わかりにくい。愛情は深い人だとは思う。私のことを心配したり、大切に思ってくれているのはわかる。でも、母のことがわからない。  うちは商売をしていたので、母は一見人当たりも良く、社交性もあるように思われる。けれど、ずっと地元にいたにも関わらず、

          母のこと

          春にまつわる思い出あれこれ

           春は好きだ。私の中での春の記憶は、子供の頃の記憶が一番濃い。大人になっても、車から春めいてきた景色を見るたびに、心が少し躍る。路肩に車を停めて、外に出たい衝動に駆られる。 ①おままごと  幼い頃、おままごとが好きだった。母からもらった赤い小さなトランクに、いらなくなった食器を詰めたものが、私のおままごとセットだった。私の家の裏には、空き地や畑があったので、そこから春の草花を摘んできて、お皿に並べておままごとをしていた。ほとけのざ、かたばみ、オオイヌノフグリなど、春によく咲

          春にまつわる思い出あれこれ

          掃除の邪魔から火星まで

           食後、リビングに掃除機をかけていた。椅子に座ったままスマホをみて動かない娘が邪魔なので、 「ちょっと邪魔だからどいてよ。」 私が言うと、娘は椅子の上に立ち上がり、私を見おろしている。そうじゃない、椅子からどいてほしいのに。足元は掃除機かけられるけど、そういうことじゃないんだよ、と伝えると、 「そういう人が宇宙に行くんだからね!」 と、訳のわからない返答。人にない発想っていうのが大事なんだよ、と力説する。 「じゃあ、宇宙に行ったらお土産買ってきてね。」 もう諦め半

          掃除の邪魔から火星まで

          息子のホワイトデー

          「ねえ母ちゃん、やっぱり手作りがいいかな?」  ホワイトデーの前、息子から相談があった。ホワイトデーのお返しは、手作りにするかどうかである。女子からもらってきた様子はない。返すとしたら、ばあちゃん、ひいばあちゃん、お姉ちゃん、私である。ばあちゃんたちは、孫が作ってくれたとなると、とても喜ぶだろう。 「手作り、いいんじゃない?」 と、私は返事をした。  ホワイトデーの前日の夜、息子はせっせとワッフルを作っていた。ホットケーキミックスを使った簡単なレシピだ。時折私に確認し

          息子のホワイトデー

          時々は真剣勝負で

           子どもたちが小学生の頃、わが家でオセロが流行ったときがあった。子どもたちが、私に勝負を挑んでくるたび、こちらも毎回本気で勝負に臨んでいた。手を抜いたことはなかったと思う。小学生相手に大人げないかもしれないが、ほとんど私が勝っていた。それでも、子どもたちは何度でもチャレンジしてきた。  オセロでは勝てる私だが、神経衰弱などは苦手だ。覚えられない。若い脳には勝つ気がしない。毎回負けるのは私だった。記憶系のゲームは子どもたちの方が断然得意だ。  子どもに対してどうするのが正解

          時々は真剣勝負で

          I was born

           娘の高校の国語の教科書を読んでいた。 「I was born」  吉野弘さんの詩が目に入った。これは、私が高校1年生の時に教科書で読んで、いちばん印象に残っていた詩だ。高校生の時、何度も繰り返し読んだ。30年近くたったのに、まだ変わらず、ここにあった。  当時16歳の私は、この詩を読んだ時、表現の仕方に驚くと共に、鳥肌が立つような感覚をおぼえた。授業もしたのだろうが、先生の解説は全く覚えていない。この詩は、散文詩で、映画のワンシーンのように私の心に残っている。儚げな文

          もったいない

           日々、おもしろいことがあふれていると思う。色々なこと、書き留めておけばよかった。私の人生、たくさんおもしろいことがあったと思うんだけれど、ほとんど忘れてしまっている。なんてこと。  noteを始めてからは、おもしろかったことや忘れたくないことは、とりあえず下書きに書いているので、忘れてしまうことは減った。それでも、昨日、なんかおもしろいことあったんだけどな、という感じで次の日には忘れてしまっていることもある。  子どもたちのことにしても、小さいうちから、こうして書きためて

          もったいない

          生まれる前の記憶

          「生まれる前の記憶なんて、あるのか?」 と信じていなかった。私なんて最近の記憶でさえ怪しいのに。今も半信半疑ではあるが、娘との小さい頃の会話で、もしかしたらと思うことがあった。  まだ娘が保育園で、おしゃべりがある程度できるようになったくらいだったから、3歳頃かと思う。その頃、弟の方はまだ赤ちゃんだった。娘が始めた話が、生まれる前の記憶のようであった。作り話かもしれないが、なんとなく事実と重なる部分もあり、おもしろかった。だいたいまとめると、このような話だった。  娘の作

          生まれる前の記憶

          立志式

           息子は中学2年生。息子の通う中学校で立志式があるとのこと、案内が来た。どんな大人になるのか、それぞれが立志の誓いをみんなの前で発表するそうだ。中学2年生、人前でどんなふうにふるまうんだろう。    立志式の案内を渡しながら、 「母ちゃん、べつに来んでもいいで。」 息子は、そんなことを言う。 「意地でも行ってやるから。」 と返しておいた。  息子は家ではボソボソっと話し、よく聞き取れないことも多い。みんなの前で、きちんと発表できるのかしら、と私は少し心配していた。    

          皺の数だけ

           娘の動作がおもしろくて私が笑っていたら、娘が言った。 「母ちゃんはしあわせやね。こんなことで笑えるって。」 「そうね、私しあわせよね〜。」 と答えた。 「思い出し笑いもさ、なんかしあわせだよね。」 と娘が言う。 「思い出し笑いがしあわせってことは、歳をとるごとにしあわせが増えていくんやね。そう考えると、歳とるのも悪くないね。」 「皺と共にしあわせも増える。」 「上手いこと言うやん。」 そんな会話ができることがしあわせなのかもしれない。 皺は増えて欲しくな

          皺の数だけ

          最近、よく娘が後ろをついてくる。後追い?いやいや、もう高校生だし。 「どうしたん?」 て聞くと、 「ピクミンになったの。」 とのこと。 ピクミンなら、ついてきても仕方がない。 「かわいいね。」 と言ったら 「そういう時は、愛いやつめって言うんだよ。」 と。 ・・愛いやつめ。

          最近、よく娘が後ろをついてくる。後追い?いやいや、もう高校生だし。 「どうしたん?」 て聞くと、 「ピクミンになったの。」 とのこと。 ピクミンなら、ついてきても仕方がない。 「かわいいね。」 と言ったら 「そういう時は、愛いやつめって言うんだよ。」 と。 ・・愛いやつめ。