Suzum0ri_mamoru

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空想モノ大好きな労働者のアカウントになります。  わたしの中から這い出た世界を、気に入ってくれる人が一人でも増えてくださると嬉しい。とても嬉しい。  オリジナル現代異能ファンタジー「万華のイシ」を執筆しております。(`・ω・´)ゞ

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  • 長編連載小説「万華のイシ」各話まとめ

    現代日本を舞台に、「病魔」と呼ばれる異能を宿した少女たちの苦悩と闘いを描く、「ミステリ×異能」の完全オリジナル現代ファンタジー!◆◆◆現在、第一編「無我炸裂」公開中!

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※物語の根幹に触れるようなネタバレはしませんが、ゲームの仕組みを紹介する過程で序盤のスクリーンショットは使うので、ご承知おきください※ 突然だが、普段あなたは何語を喋り、読み、書いているだろうか? 「何を当たり前なことを……」 「日本語に決まってるじゃないか」 おっしゃる通り。 この記事を書いている私も、読んでくれているあなたも、日本語という言語を当たり前に使っている。 当たり前過ぎて普段はあまり意識しないことが1つ、ある。 それは。 言語とは、必ずしも意図した通

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      一気読みはマガジンをどうぞ! 前話はコチラ!! エピローグ 「――――つっ……」  消毒液臭い建物を出た瞬間、視界に突き刺さる光の眩しさと空気の熱がオレを出迎えた。  あれから二、三日しか経っていないはずなのに、いつのまにか梅雨が終わって季節は夏本番を迎えつつあるらしい。 「はぁ……どぉりで暑いわけだ」  誰を恨むでもないけれど、出てきた建物を睨みつける。  この、厚生省直轄の病魔発症者用医療施設には窓がほとんど無い。  内部は全域で空調が適温を維持しているとはいえ、お

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        一気読みはマガジンからどうぞ! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-9 舞台の裏で     ◆◆◆◆  爆散と捕食の病魔が激突していた頃。  誰もが視界に入れていながら、何らかの超常によって誰の意識にも留まらない建物が、人口密度日本一の首都には存在する。  そこは内装を見る限り何かのオフィスビルだったらしいことまでは読み取れるものの、電気はおろかガスや水道といったライフラインは一切届かない張りぼて状態で、だというのに明らかに人の息遣

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          一気読みはこちらから! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-8 人間だから  姫毘乃女学園に静寂が戻ってから何分後か、何十分後か。  夜風に吹かれて身震いした伊南は、寒さで目を覚ました。  咄嗟に体を起こそうとして、全身の筋肉と関節が痛みの悲鳴を上げていることに気付く。  諦めて身を横たえると、何やらゴツゴツとした感触が背中から伝わってくる上、そこに天井は無く夜空がそのまま見える。お世辞にも寝転がって身体を休める環境とは思えなかった。

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          一気読みはマガジンから! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-7 捕食の力 「ッシ!!」  伊南の懐へ飛び込む最後の一歩で大きく跳躍する。  全ての反動を受けた瓦礫が、土煙を上げて後方へずり落ちる。 「――――っ……」  一秒にも満たない浮遊の瞬間。  その一瞬の中で視線が交差したオレたちは直感する。 「「次で終わらせる」」  空中へ躍り出たオレには無視できない弱点が存在する。  それは、落下の軌道をほとんど制御できないことだ。

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          冒頭から一気読みならマガジンから! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-6 再接近 「……面倒臭ぇことになったな」  大量の粉塵が舞う中、口元を袖で覆いながら小声で呟く。  どうあれ、やるべきことに変わりはない。  捕食の異能で以てヤツの暴走を止める。  そのために必要なのはどうやって攻撃を完遂するかという方法論だ。  正面から叩き込むのは難しい。爆散はオレの異能そのものすら雲散霧消させるうえに、例え侵食を成功させてもその途中で反撃を

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          一気読みはマガジンからどうぞ! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-5 譲れないもの  床にへたり込み、教室廊下側の壁に背を預ける伊南を正面から見下ろす。  ひと息に片付けてしまいたいが、このまま捕食をもう一度仕掛けたところで先の二の舞になることは目に見えている。  あと一歩踏み込めば身体に触れられる距離で、オレたちは睨み合う。 「持ってる人間の台詞ね」  ムカつく、と伊南は吐き捨てる。 「『自分自身』を全員が持っているなんて思わない

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          1話から一気に読むならマガジンで! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-4 その差は経験値  この時、想定外が二つあった。  一つは侵食中に伊南が対応してきたこと。  触手によってとあるモノの在処を探り、ソレを対象人物から抽出することがオレの異能の本質。  その攻撃を受けた相手は「奪われる」ことへの本能的な恐怖と、それを相殺しようと分泌される脳内物質によって恐と快が入り混じった状態に陥る。  これまでに下してきた連中は中条を含めて例外

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          マガジンから一気読みできます!以下リンクからどうぞ 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-3 激突 『音代は……うん、そうですね。けどさっきの別谷さんの言葉を借りれば、あの子だけじゃなくて、姫毘乃っていう環境があってこそ今のわたしなんでしょうね。……そう考えると、姫毘乃に進学するよう勧めてくれた両親も関係してくるのかも』 「これまでに異能を使って殺してきた三人の人間は全員、お前自身が『自分を形作った存在』だと言っていた相手だ。なら、次に

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          マガジンにまとめてるので頭から一気読みできます! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-2 変転  中等部建屋の一階窓からは窺い知れなかったことだが。  旧館三階教室の廊下側――内部の構造は既に五割以上が破壊されていた。  前回訪れた時は内装品が撤去されただけで形としては教室のままを保っていた旧館も、今は所々の支柱を残してだだっ広い解体現場と化している。  それもただの解体現場と違い、砕かれたコンクリートや壁材といった残骸は一切見当たら

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          1話からはここからどうぞ! 前話はコチラ!! 5章_炸裂-illness≠barbaric- 5-1 決戦場 ◆二〇〇五年 六月二十六日  そこは、二十三区の一等地とは思えないほど広々としている。  門から建物までの広場には円形の池があって、水瓶を担いだ白い石造りの像が注ぐ水は月明かりに照らされて乱反射している。その池を囲むように整備された植込みが、相変わらずこの広場を洋館の前庭のように仕立て上げていた。  その奥に鎮座する建物は全面が赤いレンガ製。壁のところどころ

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          1話からはこちらのマガジンに纏めてます! 前話はコチラ!! 間章_講義-vol.4- 「そもそも、の話なんですけど」  思い出したように等々力が口を開く。 「うん?」 「どうして国は、厚労省は、特認証なんてものを発行してまで軽度発症者を一般社会に馴染ませようとするんでしょう?しかもあれって入れ墨ですよね?一番目立つ場所にあんな入れ墨を彫られて、『普通』に溶け込めるわけが無いじゃないですか」  別谷の顔にも刻まれている、バーコードの形をした指定疾患特別認可証には当人の個人

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          冒頭から一気見するならこちらから! 前話はコチラ!! 4章_遁逃-true intention- 4-6 追跡  伊南江美の自宅は廃工場から洗川を挟んで反対側、電車で六駅南下したエリアにあった。  周囲に高層マンションがほとんど無い閑静な住宅街の只中、他の家に紛れるように佇む二階建ての一軒家。  正直、想像と違った。  都内で一軒家に住めている時点で親の稼ぎは並以上なのだろうけれど、思ったよりも「普通」というのが偽らざる本心だった。  ただし、普通なのは外観だけだ。

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          1話からはこのマガジンにまとめています 前話はコチラ!! 4章_遁逃-true intention- 4-5 夢の終着  がちゃり、と重厚な音を響かせる錠にもビクついてしまう。 「……ただいま」  なるようにしかならない。  出たとこ勝負な心持ちで静かに扉を開くと、祈りが届いたのか家の中は真っ暗だった。  玄関で仁王立ちする母、なんて図を想像していただけに少し安心する。 (けど、あの母様がそのまま寝るなんて)  携帯を持つようになる前は放課後にどこで何をするのかを毎日

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          1話からはこのマガジンにまとめてあります 前話はコチラ!! 4章_遁逃-true intention- 4-4 回帰  わたしはいつの間にか自宅門扉の前で立ち尽くしていた。  どことも知れない水路から■■を■■して■■■■■■ ■■■■■良かった。  水浸しになった靴下、風が当たるだけでやけに冷たいと思ったら、どうやらすっかり真夜中になっていたらしい。  初夏の夜空らしく雲が多く蔓延りつつ、その隙間には小さな光点がぽつりぽつりと寂しく瞬いている。  手元に携帯電話も

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          1話はここから読めます 前話はコチラ!! 4章_遁逃-true intention- 4-3 誰かの夢act.2     ◆◆◆◆  ひどく不快な夢を見た。  あまりに現実離れした光景で、スプラッター映画でも見ているような。  そのくせ、まるで昨日のできごとのように精緻で、生々しい。  悪夢と正夢を混ぜて煮凝りにしたような、そんな夢。  その日の雨は本降りだった。  傘を差していても端部から滴る雫やアスファルトからの跳ね返りで、腰から下がどんどん湿っぽくなっていく

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