新たなマイコスメ

輝きながら
ドレッサーのセンターで鎮座している
新しいデパコスの乳液
初めて使う夜

ワンプッシュ手の甲に伸ばしてみる
極上のしっとり感
塗って無い方の手の甲のカサカサ感に
年齢を感じ落胆する
だが
前向きに考えれば
コスメでこれだけ変われるということだ
カワイイは作れる

朝が来る
乳液を塗った顔に触れる
モチモチ感が凄い
塗らない方がマシだと思う位
合わなかったファンデも
綺麗に乗って
神ファンデに変わった

中途半端なものをいくつも買うより
コスパもタイパも最高
今まで愛用していたコスメから
初めて乗り換える気が起きた

導入美容液
導入乳液
化粧水
化粧液
美容液
クリーム

今までは
これらを揃えないと気が済まなかった
自尊心が地の底に落ちているので
地層の如くデパコスを塗りたくった
顔面だけはハイブラにしたかった

容姿の事で虐められた記憶が消えない
学校の先生でさえ
可愛い方が得と話していてショックを受けた
人に物事を教える教師と言う存在が
皮一枚で人間を評価する事に
そしてその考えを
生徒に植え付ける事に腹が立った
私は先生に反論したが
理解される事は無く
こんな考えの人とは
分かり合える事は無い
人はそれぞれにいい部分がある
それが分からないなら教師失格
こんな大人になりたくないと思った

けれども今
美への強過ぎる執着から逃れる事が出来ない
ノーメイクで歩くのが怖い
眼鏡姿を見られたら死ねる
ドブネズミのように扱われた日々
もうあの場所には戻りたくなくて足掻いている

私の自尊心も
ただひとりの大切な誰かに出会う事で
満たされるだろうか
そうしたらデパコスも
必要がなくなるだろうか

いや
そんな事は無い
秒で考えを改めた
人に頼るのはやめろ
人に自分の人生を委ねるな
特に弱ってる時に寄ってくる様な
ハイエナみたいな男は絶対やめろ
私は1人の完結した人間で
私にとってのパートナーは
私を彩るデパコス以上には存在しない
大切なパートナーには
もう出会っているのだ

虐められていた
あの頃の私を
とびきり愛でたい
ノーメイクの私を肯定してあげたい
頭が良くて
お絵描きが上手で
話も面白いと言ってあげたい

それでもまだ
あなたが世の中が怖いというのなら
メイクという武器を装備して
一緒に外に出よう

新たなマイコスメとの出会い
私のビューティーが
もっと楽しくなりますように