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デザイナーはマーケティングができなくていいのか?

問いではじめていきなり結論です。
「デザイナーはマーケティングをできなくてももちろん構いません。」
個人の好きでやればいいと思います。ただしデザインを依頼される内容は件数ともに将来的に「限定的」になってくるでしょうね。まだそこまでの波はきていません。ただし10年後、20年後の日本で、いま存在するグラフィックデザイナーやアートディレクターという、活版印刷とPCの発展を通じてアメリカが生んだこの職業は近い将来何か別の職業に集約されていくでしょうね。あるいは根本的に求められる職能が変わるのか。
そこで私が思うのは、デザイナーは視覚表現という枠組みをとっぱらって、マーケティングはやっておいた方がいいんじゃないかなって思うんですよね。今日は、そのお話を理由を含めて簡潔に書いていきます。

ちなみにクリエイティブディレクターとは何をする人か、その職能とデザイナーの違いを過去の記事で書いています。2年ほどまえの記事を改めて読み返しても、相変わらず的をついたことを書いてるなと思うわけですが、それはさておき。



先に背景の話から。

ここ2、3年のコロナ禍から始まるDXの流れで多くの企業は変革を半ば強制的に求められてきていて、その変革において、クリエイティブに求められるものは、いわゆる「即戦的であること」。「わかりやすくあること」。が求められていると感じます。より商業色がつよくなってきているというか。業績や認知向上といった結果が早くでるもの、効果が目にみえてわかるものをほしがります。
かつて団塊世代以前のデザイナーが活躍していた数十年前はどうだったのでしょう。いまよりもっとデザインワークにアート性が認められていましたし、それを提供するための時間や潤沢な予算も設けられていました。これをもとにデザイナーは、現場において表現を思いのたけ追求できた時代はありました。いわゆる「つくれば売れる」時代背景です。ご興味があればデザイン史をしらべてみてください。私の師にあたるデザイナーも嘆いています。

さて、今はどうでしょうか??

デザインはアートではないため自由競争経済の影響をもろにうけます。となると経済市場のすべてのデザインは「需要」にもとづいている「サービス」なわけですから当然ニーズに答えられるデザイナーが生き残ります。ではその市場や顧客ニーズとは何か?
これをちゃんと考えられるデザイナーが、これからデザイン市場に参加する特にZ世代以降のデザイナー志望者、現役デザイナーに求められていると考えます。
もっと言えば、ニーズ視点より先の「インサイト視点」といいますか、顧客がきづいていない潜在的ニーズに解答をもたらせるデザイナー、クリエイティブディレクター。

「そう! そう! それがほしかったんだよ!」


それを言わせられるデザイナー。クリエイティブディレクター。わたしは少なくてもそこをめざしていますし、そういうデザイナーが少なすぎる日本で、すこしでも後続を育てたいとも思ってます。
そしてここにいたるには絶対的に「マーケティング視点」がないと無理なんです。

依頼されたものをそのままやるではだめなんですよ。

なぜか?
それは、企業側から依頼された課題でさえ、「間違っている」ケースがあるからなんです。


問題 → 課題(解決策)


企業はつねに何かの問題を抱えながら成長していきます。その問題に対して、その解決策となる課題をもとめています。とくにブランディング、プロモーションに関しては特に、企業は課題の設定がよくわかってません。マーケティングによほど精通してなければ「よくわからない」が本音だと思います。

では、「問題」は見えていても「課題」設定をまちがっているケースが多い場合、それを指摘できるか? それを正しくガイダンスできるか? これははっきり言って、根本的な問題解決を任されたクリエイティブディレクターの役割なわけです。さらに言うと、「マーケッター目線をもったクリエイティブディレクションしかなしえない課題解決なんだと思ってます。


ではここでデザイナーの方、これから志す方、修練中の方は

「じゃあ、いったいどうやればマーケティング目線をつけられるの?」

と思われるとします。これはもう自分で学んでいくしかないと思いますし、可能であれば実践、経験をつめる場を自分で求めていくしかないわけです。


最後に。
わたしがここ数年で、団塊世代以前のデザイナーやその関係者の方々から聞いてきた声が以下のようなものです。

「いいデザイナーはもういないよ」
「デザインは死んだ」
「デザイナーという職業がもう面白くない」
「デザイナーはもう生き残れないのでは」


ある意味でその通りだと思います。
言葉はわるいかもしれませんが、変化にアレルギーがある層には辛い時代なんだと思います。
ただ「変化」を楽しめばいいのに。って思いますね。
いかがですか?

新しいルール、新しい価値観、コロナを通じてわたしたちは、ある確約された日常のルールや安定でさえ、翌日には約束されなくなることを目のあたりにしてきています。
予測不能な勢いでパラレル的に広がる変化はこれから数十年で加速度的に早くなると言われています。そんな時代に、なくなる職業はさっさとなくなればいいし、ニーズがないものにしがみついてる時間はもう無駄でしかないですね。そしてもっと言えばデザインは別に死んでもなく、クリエイティブ思考はAiに完全に代替えされるわけでもないんですよ。


役職というものをこえていくというか。
名前がまだつけられない職業がどんどんうまれてくる時代に、役職とかもどこまで意味があるのかさえ疑問が湧くというか。

私たちの選択如で何だってできるんじゃないんですかね。
これからも。

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