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ブランドの強みを最大化する方法 [PR編] 

人は忘れるいきものです。たまに昨夜の食事さえ思い出せなかったりしませんか? そして当然ですが、興味がわかない企業のブランド商品は覚えられません。私にはムリです。
みなさんは記憶していないものを買ったことはないはずです。「覚えていない」ものは当然ですが認知していないため買えません。そのため、業態、ジャンル、商圏を超えた販促における共通課題とは、まず先に「覚えてもらいましょ」ってことです。

今日はシリーズ最後の章[強みを伝える]PR編です。

ブランディングは市場・顧客リサーチから始まり、コンセプトを打ち立て、VIなどのブランディングデザインをつくり、今日説明するPR段階でコミュニケーションデザインを通じてはじめて世の中に売り物がでていきます。
このPRにおいて大切なことは、

「その情報、ホントに伝わりますか?」


重要ですね。
意外と伝えた気になってる。伝わるはずだと思っている。でも相手には伝わっていないどころか、見られてもいない、なんてよくある話です。
今日は以下の流れで説明をしていきます。

人の記憶のメカニズム

人は興味があるものを簡単に記憶する

では、興味を持ってもらえるには何がもとめられるか

プロモーションの考え方と手順




「商品・サービスの強みを、記憶してもらうためには?」



「伝わる情報」を考える場合、わたしたちは「記憶」のメカニズムまで気を配る必要があるんです。そこで人が記憶しやすい情報って以下のものです。


1 複雑でないこと
2 複数回にわたり知覚できること
3 興味のあること
(4 過度の刺激があること)
←これは割愛します


たとえば以下のような方向で対応を考えることができます。


1 複雑でないもの →デザインで情報をシンプルにする
2 複数回にわたり知覚できるもの →なんども見られるPR施策にする
3 興味のあるもの →商品便益・独自性を伝える


ここでポイントとして、自分にメリットをもたらすものは簡単に覚えるはずです。この観点から、3の「興味のあること」が、プロモーションにおいてもっとも大事にしたいポイントと言っていいと思います。ではここで問いです。


「興味をもたせるには、どうすればいいの?」



これにおいて、まず前提として以下のいずれかしかありません。


  A  商品サービスが、すでにある
   
  B  商品サービスが、まだない


ここでBの段階から興味を強く引ける商品開発ができればベストですが、比較的プロモーションはAのケースが多いのではないかと思います。Aは、売りたい商品やサービスがある。それに対して


「興味をもってもらいたいが、PRの仕方がわからない」


という声は実際に多いです。
これには以下の基本的な手順を踏むことをお勧めします。もちろんすべてのケースで、この工程がうまくいくわけではありません。

マーケット・顧客リサーチ

商品・サービスのコンセプト立案

販売戦略・広告戦略

PR実施


文章にすると上記を以下のようにまとめられます。


顧客ニーズに基づいた商品開発を行い 
→(リサーチ)
しかるべき媒体で顧客の興味の引くしかけと 
→(販売戦略・広告戦略)
商品に合った、わかりやすい情報で
 →(デザイン)
発信を継続的に行うこと
 →(PR)


事例ですが、たとえばみなさんの企業でシャンプーを売りに出すとします。
シャンプーは老若男女問わず使われるものなのでCMのようなマス広告をうてば問題ないでしょうか? これには商品を実は必要としない層が存在した場合に無駄な広告費が膨大にかかります。リソースが無限にあればいいのですが、プロモーションは決まって時間とコストにリミットがあるわけです。
では、その限られたリソースをどこに当てはめていけば、最大の効果を出せるのか。これがいわば販売における戦略です。そして販売戦略を具体的な見える形で市場で伝えていく行いが広告戦略です。
この販売戦略・広告戦略はリサーチから導きだされたターゲットのインサイトやマーケット動向、競合他社の動向を踏まえた商品コンセプトをもとに、差別化を行いながら計画をして、PR施策を制作、実施につなげていくのが通例です。
ちなみにこのPR施策の制作においてはデザインの話で脱線しますので、以前に一度書きましたがまた機会を改めて書きなおします。

「強み」の捉え方と伝え方を最適化することで、
同じものがより認知され、
同じものがより多く売れる
ようにすること。これが
「マーケティングとデザインの役割」なんじゃないかと思っています。

なんのために(目的)

だれにたいして(ターゲット)

なにを(商品・サービス、あるいはブランドとしての認知)

どのように訴求するのか(PR施策)

あらためて、最後に。
プロモーションにおいては、上記のフローのうち何が一番重要かというと

目 的 (ゴール)



ですよね。なんのために限られたリソースを割いて行うのかの部分が「目的」です。この部分を常に見落とさないことを条件に

1 関係者に目的が共有されていること
2 届ける人、ターゲットがみえていること
3 そのための戦略がたてられていること
4 その戦略のために必要な具体的な実行プランがつくられていること
5 実施後の効果測定から次の戦略につなげていくこと



プロモーションの運び方、考え方はここで紹介したかぎりではありません。昨今のDXの動向もあり、マーケティングノウハウのアップデートは著しく常に市場や経済動向に合わせて変化しつづけてきています。
一方で、変わらないもの、変えてはいけないものがあるとしたら、その「取り組む姿勢」だと思っています。

常に現状までの成功方を疑い、再評価をしながらプロモーションを進める姿勢が現場のマーケッターのみならず、「デザイナーにでさえ」求められると私は考えます。

次回はデザイナーという立場で、マーケッターとしての資質の重要性を書いていこうと思います。


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