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ロゴを客観的に評価できる基準がなかったので作りました。「BDQ®」開発のご紹介

企業やブランドは、ロゴタイプをなぜ自動生成してはいけないのか?
そして、ブランドに関連するデザインのよしあしを決める決定打は何か?

お客さんや見る側の価値観か、あるいは数字で表される成果としてのデータなのか、あるいはデザイナーの主観としての審美眼が決めるのか。
評価されるデザインとは、文化が違うと評価されるデザインの傾向も異なるという事実が、国内外のデザインコンペに出品してきて実感しました。
さらに極論を言えば、人が評価をするデザインがいいとは一概に言えませんし、何かの成果や業績に直結すればデザインの役割は果たすのでしょうけど、それがいいデザインかはわかりません。デザインコンペで評価されるものがいいデザインかというと、それも謎ですね。

そんな疑問を抱きながら18年間。私はデザイナー、クリエイティブディレクターとして、事業は主にブランディングに取り組んできました。お客さんの悩みに向き合いながら主には、ブランドコンセプト立案から、ロゴやウェブサイトなどの企業の顔となるブランドツール制作のコンサルやデザインに携わってきました。

数々のブランドツールがある中で、特にロゴというのはブランドのエッセンスを伝える重要なツールです。たかがロゴ、されどロゴと言ったところで、決して自動ツールで生成して済ませるものではありません。なぜかというを、ブランドの象徴となるものは、ブランドの「顔」として機能するものであり、それゆえにしかるべき「ケア」が必要だからです。それも、「多角的かつ広範囲な視点からの、細心のケア」です。顔のケアをいい加減にする、洗わない、肌の手入れもしないと、不潔として誰にも相手にされないわけです。

持論になりますが、ロゴは審美的な価値観からつくるものではありません。ロゴが目指すものは、「美しさ」ではなく、「同一視」としての機能をまず伝える必要があるからです。つまり「そのロゴはそのブランドが発信したものである」という認識を与えることがまずは必要です。
そして、それだけでなくそのブランドの顔を記憶させることが必要になります。記憶さえるためには様々な視点からロゴを捉える必要があるのではないか?と私は考えて、「BDQ」フレームワークを作り上げました。

わたしたちは何かのコンセプトや言葉は、それ単体では記憶に落とし込みにくいため、感情を伴う体験が必要になります。英単語帳を開いても文章としての情景がなければ単語は頭に入りませんし、感動しない料理はすぐに食べたことさえ忘れますよね。

こうした感情喚起をブランドツールなどの視覚情報で行おうとする場合、トリガーとなるある種のルールが存在しているのではないかと考えまして、それを一つ一つ紐解いていったら、6つの評価軸が見えてきた。というところでして、それを以下の名前にてフレームワークに落とし込んだんです。

ブランディングデザインクオリティー(BDQ)®

Branding Design Qualityの頭文字からBDQ®としました。
これのフレームワークの持つの基準軸は以下になりますが、詳細はここのノートで語ると膨大な記事量となるため、興味がありましたらリンク先でみてみてください。そこでは、6つの基準について詳しい解説を掲載しています。


独自性
画一性
展開性
差別性
継続性
連想性


この6つをすべて伸ばしていけばいいのかというと、そう簡単にはいかないというのが、基準を見出した後に気づいたことです。
というのも、この6つにおけるそれぞれの2つ1組の要素には対となるパラドックスが存在していることに気づきました。

独自性 ←→ 連想性
画一性 ←→ 展開性
差別性 ←→ 継続性

たとえばロゴを作っていたとして、それの「独自性」を高めていけばいくほど、「連想性」が落ちていいきます。つまり、わけのわからない造形は、それ自体がオリジナリティを帯びていきますが、当然見る側にそれが何かを連想させることは難しくなります。
あるいは、「画一性」としてロゴをあらゆる掲載媒体で統一させていく場合、掲載媒体といっても、デジタル、紙に応じて、サイズ感や見る側の端末サイズなどバラバラです。媒体に応じて視認性が変わるものは効果的な情報とは言えません。つまりいかにうまくロゴを展開させていくかという「展開性」の問題があります。
または、差別化を意識しすぎて本来企業やブランドがもつ本質を伝えにくくする恐れもあるのが、「差別性」と「継続性」の問題です。継続性とは、ここでいうロゴが、時間を得てリブランディングが行われて形が変わったとしても、同じ発信者のものであると認識させられる力をいいます。


6つの基準に関しては以下のブログで、有名企業の事例を写真付きで解説しています。


結論とはなりますが、最後に一体BDQ®は何のためのものなのか?お伝えしてこの章を締めたいと思います。

ロゴをはじめとしたブランドツールに記憶させる力が不足している場合、その情報は存在する意味は私はほぼないと考えます。
伝わっても、忘れ去られるものに貴重なリソースを割くのか、あるいは記憶されて、愛されるものを大切につくりあげるのか、それはわれわれデザインやブランディングに関わる担当者や経営層の熱量とアプローチ次第ですね。

こうした、ロゴをはじめとしたブランドの視覚情報のクオリティーを上げる理由が何かわかりますか?
それは顧客エンゲージメントを上げる力があるからです。その結果としてブランド力を向上させることに繋がります。さらにブランド力を上げることで、経営の持続が容易になっていきます。これがBDQ®が目指すものです。

[BDQの役割]

ブランドツールのクオリティー向上
(6つの基準をクリアしていく)


感情喚起力が高まり情報伝達効率が上がる。
より記憶されやすくなる


顧客エンゲージメントが向上に貢献する

ブランドファンからのロイヤリティが向上する

業績向上で経営の持続化やイノベーションを可能にする

結果として、さらなるブランド力強化につながる
クリエイティブへの投資が可能になる


次回の記事では、以下をフォローアップを予定してます。

  • BDQは具体的にビジネスの何を解決させるのか?

  • BDQはロゴにしか適用できないのか?

  • BDQは誰のためのものか、その使い方、応用の仕方


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