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家族のこと

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私は家族が大好きです。変わり者で破天荒な父と優しく器のでかい母、ちょっと早めに空へかえった兄の話を主に書いています。
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#闘病

父の薬

父の薬

最近の私は職場でも薬のセットをして、実家でも薬のセットをしている。

81歳の父、70歳になろうという母どちらもこれまで健康であり、定期的な受診や内服薬とは無縁の人たちであった。

父は去年の冬に新型コロナに感染した。
年齢も年齢なので心配していたが微熱と関節痛くらいで軽症であった。
その後、数日間あけて母と私も感染したが母が最も症状が強く救急を要請したほどであった。

「俺のせいでお前達に感染さ

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父とロボット

父とロボット

その後の父である。

その後の父とは1回目の胃がんの手術を終えた父のことである。
あと1ヶ月ほどで2回目の手術を受ける予定となっている。
今度の手術は厄介な、大きい方の癌が相手である。

前回の手術は胃の下の方にある早期の胃がんを内視鏡で切除するものであった。
医師たちも「きれいに取り切れました!」と満面の笑みで話しており心から感謝した。

ただ「病理検査の詳しい結果次第では全摘の可能性もまだあり

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父の決断

父の決断

最近の父についてである。
簡単に言うと普通に過ごしている。 

父の「普通」が一般的に「普通」かどうかは今は置いておくとして、とにかくリウマチであることも進行性の胃がんであることも本人も家族も忘れてしまうほど普通に過ごしている。

先日、外科チームの医師達から手術に関する説明を聞いてきた。

「胃の下方にあるものは開腹しなくても取れる可能性がある。
上方のクソデカがんは開腹術となる。
この場合は二

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父が泣いた日

父が泣いた日

年明けにリウマチと診断され、その治療が開始となった途端に胃がんが見つかった父。
リウマチと胃がんの両方を診てもらえる病院を紹介され、先日はじめてその病院を受診してきた。

病院へ向かう途中「実を言うと俺はまだ半信半疑なんだ。こんなにメシが旨いのに胃がんなんておかしいよ。」と父は何度も繰り返した。
そう思いたい気持ちが強かったのだろう。

そんな父の期待を裏切り、診察室で見せられた画像では胃の上方に

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