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大雲 牛大郎
2024年9月29日 18:36
僭越ながらY君が書いた演劇の脚本を読ませてもらいました。 この脚本の主人公がY君の投影であるとするならば、君が現在考えていることや誰かに訴えかけたいことを偽りなく脚本に描けていたと思いました。また、世界から主人公に与えられた苦しみの描写から、Y君自身が普段から感じている鬱屈した想いが伝わってきました。 さて僕がY君に聞きたいのは、この脚本に記されているたくさんの言葉は、本当にY君自身の言葉
2024年6月9日 12:54
世間的に名の通る有名大学の医学部でなければ受験は受けさせないし学費も払わない、と父からずっと言われ続けてきた。僕はその父の言いつけを守れるようにひたむきに勉強をしてきたのだが、どうにも医学部に入学できるような学力は身に付かず、この春三度目の浪人生活が決まった。「成人になったんだし、これからは実家にお金を入れなさい」と父に言われたことをきっかけに、去年から僕は地元のファミレスでバイトを始めた。だ
2024年6月2日 17:29
人類のみなさまへ。これは私の決意表明です。 敢えて「人類のみなさま」と人類とは違う対場に自分を置いて皆様に語りかけることが、私が人類であることを辞める第一歩です。 私は物心が付いたときから自分が人間の肉体を持って生まれたことに違和感を覚えていました。漠然とではありますが、日々自分のあるべき姿・形はこれではないという想いを持って過ごし、幼い頃に自分の本来の形を探すかのように三角や四角や丸の積み
2024年4月21日 13:21
暇つぶしに昨年話題になった邦画を観始めると、映画の中盤でシゲさんが出演していることに気付いた。 その映画でシゲさんが演じるのはワタリガニの正しい剥き方を主人公にレクチャーする漁師の一人で、画面の隅の方でも異様な存在感を発揮しているその姿は、あの時と変わらず紛れもないシゲさんだった。「シゲさん、頑張ってるんだ」 映画はそのシーンの後、ワタリガニをコチュジャンベースのタレで漬け込むか、それとも
2023年12月3日 18:47
そういえばハチ公前で待ち合わせをするなんて大学生以来だ、と美沙希は気付いた。 金曜日夜の渋谷駅前は待ち合わせをする人で賑わっており、改札を抜けてハチ公の近くに歩いていくだけでも一苦労だった。 それこそ美沙希が上京したばかりの頃は待ち合わせの度に「こんな人だかり地元のお祭りでも見たことがない」と驚いていたものだが、あれから六年が経ち社会人になった今では人の多さにはもう何も感じなくなっていた。そ