【詩】最後に会いたい、と。
じゃあ、
もう、
会わないってことでいいの?
と、たかし君から連絡があったのは
22時過ぎ。
その夜はとても疲れていて
すでにベッドの中の私は返信せず
眠った。
午前3時。
ひどく喉が渇いていたのか、
変な夢を見たせいなのか目が覚めてしまった。
なかなか寝付けない。
たかし君にどう返信しよう。
あれだけ、終わりにしようと言っていたにも
拘わらず、返信に迷うなんてね。
ホットミルクを飲みながら
ぼんやりしていた。
「うん。そう思ってる」
と返信。
そのまま私はうつうつとしながら
起床時間である朝6時を迎える。
久々の出社日の金曜日。
おはよう。美伊
俺はずっと一緒にいたいと思ってたけど
しょうがないね。
そう、美伊はしょうがないと思ってる。
俺最後に会いたい。
また会えばずるずるとなれ合いの関係性が
続いてしまうよ。
でも、俺は最後に会いたい。
美伊、会わない?
俺は会いたい。
私は
正直迷っていた。
でも、、、
「美伊は最後だからこそ、会わない。会いたくないの」
メイクを済ませ、髪を束ねる。
ブルーグレーの落ち着いたジャケットに
同色のタートル。
ブルーと白のツイードのミニスカートで
くずれすぎないオフィスカジュアル。
ピアスはシルバーのコンビネーションで。
ノートPCをビジネスバッグに入れ、
部屋を出た。
もう、これで終わり。
そう、終わりだ。
金曜日の朝の
大通りの冷たい空気を吸い込み
私は足早に駅に向かった。
今日、土曜日は予報どおり
冷たい雨が降った。
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